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昔話

2020.10.12

大幅に改稿しました。

粗方の内容は変わっていませんが、誰が何の神かは少しだけ変更を加えました。

本編にはあまり影響がないかと思われます。

 始まりは、無だった。

 始まりがなければ終わりもない、何も無い混沌の世界。ある時、混沌から運命がいでた。

 運命はやがて意志を持ち、始祖の女神となった。

 女神は混沌に手をかざし、まず『光あれ』と言われた。

 すると、混沌の中から光が出てきた。光は辺りを照らし、やがて光が当たらぬところに闇ができた。

 女神は生まれた光と闇を見て、光と闇とを分けられた。そして、光を昼に闇を夜にされた。また、自らの代わりに昼と夜とをそれぞれ統べる太陽と月を創り、それらがあるべき『天』を創られた。

 やがて、光は希望と夢、闇は真理となりて、それらを律する二柱の神が生まれた。

 女神は新たな神の誕生を喜び、夢と希望をアリエス、真理をスコルピウスと呼び、彼らの姿を牡羊と蠍として『天』に記した。


 そうして、『天』と『地』とが分かたれた。


 女神はまた言われた『大地あれ』と。混沌から大地がいでた。

 大地は広く広く世界を覆っていった。光と闇と、天空と大地が抜け出た後に残ったのは水だった。

 水は広く広く世界を覆っていった。大地すらも水に飲まれ、大地は水よりも狭くなった。

 女神は生まれた大地を陸と水を海とした。

 やがて、陸と海からまたそれらを律する二柱の神が生まれた。大地は恵みとなりて風と共にあった。水は癒しとなりて自由を求めた。

 彼らがいでたことで、地にも水にも生命が息吹いた。

 女神はそれぞれをアイゴルニオ、フィシェテュエと呼び、彼らの姿を山羊と魚として『天』に記した。


 息吹いた生命をより豊かにするために天の二神と地の二神は考え、力を合わせて水を空と地へと循環させる天候を創った。

 そしてまた、それを律する神が生まれた。雷を放ち、勇気を試す神が生まれた。

 始祖の女神は神をレオンと呼び、獅子として『天』に記した。


 やがて、混沌だった世界には空間となり時間が流れ出した。

 時空は途絶えることの無い流れとなった。やがてまたそれを律する一柱の神が生まれた。流れを律する神を始祖の女神はアクアリウスと呼び、その姿を水瓶として『天』に記した。


 出来上がった世界を見て、女神は『美しい』と発された。すると、その言葉から新たな神が生まれいでた。美はシュティアと呼ばれ、牡牛として『天』に記された。


 始祖の女神は『天』に記された神達と常に共に在った。そこは『天界』と呼ばれるようになった。


 やがて門番として双頭竜が創られた。しかし、双頭竜は役目を果たさず暴れ回り、美の神シュティアの鏡を割って、怒り狂ったシュティアによって心と体を断たれた。

 女神はその心と体から新たな生命を作り出した。残った心と体の器はやがて生命を律する神となっていでた。

 体は生と流転となり、心は死と輪廻となった。やがて体と心はツヴィとリングと呼ばれ、二つで一柱の神となった。そうして、女神は彼らの姿を双子として『天』に記した。


 時が経つうちに双頭竜から生まれいでた生命は人間と呼ばれるようになった。

 双頭竜の心を持つ彼らは知恵を持っていた。やがてそれは知識となり、それを御する神が現れた。

 知識には探究心が芽吹いていた。知識はシュツェトクスと呼ばれ、射手として『天』に記された。


 やがて人間の間では交流が生まれ、幸福が生まれた。女神がそれを喜ぶと、それらを促す神が生まれた。

 交流は常に幸福を求めた。幸福はユングフラウと呼ばれ、乙女として『天』に記された。


 知恵を持った人間はやがて夜を照らす光を求めた。雷と大地は考え、炎を創り出して人々に分け与えた。そうして、人間がそれらを正しく扱えるように炎を御する神が生まれた。

 炎はやがて知識をもって技術となった。炎はカルノスと名付けられ、蟹として『天』に記された。


 やがて人間の間で諍いや争いが生まれた。女神はそれを悲しみ、哀れんだ。すると、それらを律する神が生まれた。

 それは裁きだった。裁きは統制を生み、真実を求めた。裁きはジュゴリブスと名付けられ、天秤として『天』に記された。


 呆れるほど長い時が流れた。


 美はやがて健康を生み、勇気はやがて軍神としても知られるようになっていた。


 全部で八十八の神が生まれ、女神はその全てを『天』に記した。

 やがてそれらは人間達によって、星座と呼ばれるようになった。

 そして人間達は太陽と月の流れにある十二の星座を尊び、象られた神達と始祖の女神を信仰するようになった。

 女神はそれを気に入り、特に強い力を持った十二柱の神達を上位十二神とし、それ以外を下位神とされた。


 しかし、それは上位神になれなかった神の怒りを産んだ。

 神達は納得していたが、一柱……ノエル=フューカスだけは違っていた。

 蛇使いとして『天』に記されたフューカスは、元は人間だった。敬虔な信徒だったが、道半ばで命尽きたところを生前の行いによって女神に情けをかけられて神となった者だった。

 力を御する神であった。嫉妬に狂って、それは悪意と暴虐を生み、やがて破滅を招いた。


 力から生まれた悪意と暴虐は、人間の心にいつの間にか住み着いた。

 人々は裁きの統制を離れて、再び争いを始めた。悪意は善人を咎人へと変え、暴虐は人間に他の命を刈らせた。

 人間の中で増幅した悪意と暴虐の心は、フューカスの力を増大させた。


 女神は悲しんだ。女神の悲しみで海は荒れ、雨が続いた。

 そんな女神を十二神達が説得し、やがて女神は十二神達と力を合わせて暴虐と悪意、力から生まれた七つの悪を封じた。


 しかし、人々の心に一度芽生えた悪意は消し去ることが出来なかった。

 仕方なく、女神は高潔な魂を持つ人間に自らの血と神の力を少しづつ分け与え、正義を以て悪を粛清する地上における代行者を創り出した。

 また、さらにその者達と世界を監視する為に美の神シュティアと地の神アイゴルニオが生み出した宝石から不死の者を創り出した。


 やがて長い時が流れ、その者達は『選ばれし者』『忍び』と呼ばれるようになっていった。


 呆れるほど長い時が過ぎ、フューカスと戦った時の傷が完全に癒えていなかった始祖の女神と十二神の力は徐々に弱まっていった。


 始祖の女神は後継者を探さねばならなかったが、他の神達は役目を負っていたので、後継者とすることは出来なかった。

 仕方なく、自らの血を分け与えた『選ばれし者』の中でも一番力の強い者を『天界』を統べる女王として定めることとした。

 再び自分が女神として『天』に戻るまで、何代も。


 呆れるほど長い時が過ぎゆく中で、神達は愛し合うようになり、子供が生まれるようになった。

 しかし、生まれた子は神にするにはあまりに精神が弱かった。

 そこで、女神は神の子を天界から地上に落とし、選ばれし者達と共に過ごさせ、精神を成長させた上で神として迎え入れることにした。


 自らと神達の後継者を定めた後、女神は深い眠りにつかれた。

 何代かの後、再び『天』に戻ると言い残して。



 呆れるほど長い長い時が過ぎた今。

 女王の守護の元…選ばれし者達はその力とその秘密を親から子、子から孫へと代々受け継いできた。

 更には選ばれし者同士で組織を作り、自分たちだけの世界を作り、技術を作り、その繁栄を遂げたのでした。

 幾度となく世界を救い、全ての命を愛し守るという宿命の元に。

初めまして。

日菜月です。

処女作…というわけではないですが、長編小説をネットに投稿するというのが初めてなので暖かい目で見守っていただければ幸いです。

亀さんペースの更新になるとは思いますが、よろしくお願い致します。

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