ラキア、待ってよ。
「ラキア、待ってよ。今は友達でいいから」
息を切らして追いついて、隣で歩き出しながら
ルシアは言いました。
「ありがとう。うん、友達でいよう。
ありがとう。うれしいよ」
なぜか、泣きそうな顔のラキアです。
「ラキア、友達なんだから、困ったことが
あるんだったら相談してね。最近、おかしいよ。
何か隠してることあるんじゃない?」
ラキアは下を向いて
「いや、大丈夫だよ。うん、心配ない。
こんな僕を好きになってくれてありがとう。
僕は幸せ者だな」
寂しそうに笑っています。
そしてすぐに、ルシアの顔を見ようとせず
急いで紫の館に戻っていってしまいました。
立ち尽くしながら・・・ラキアの様子に
ますますおかしいと思うルシアですが、
それ以上は聞けないままでした。
***
思い切ってラキアに気持ちを打ち明けたルシアですが
やっぱり失恋してしまいました。
アルバやマリンの気持ちが痛いほどわかって
落ち込むルシアです・・
アルバは、食堂から自分の部屋に戻ろうとしてふと
廊下の隅で泣いているルシアを見かけました。
ルシア、どうしたんだろう・・泣いてるなんて、はじめてだ。
心配になったアルバは、
「ルシア、どうしたの?大丈夫?具合が悪いの?」
聞くと・・・
ルシアは、急に作り笑顔をしようとしてうまくいかず
半泣き顔で・・
「今、アルバの気持ち、すごくわかる。ごめんね。
想像以上に失恋って苦しい。どうしよう。わたし。
立ち直れないかも・・」
アルバは、びっくりして
「え、ルシアも失恋って・・・告白したの?誰に?」
次々に質問して、しまったという顔になりました。
ルシアは、寂しげに
「ラキアに告白したの・・マリンや
アルバが告白しているのを見て・・私もって
というか、ラキアがなんだか遠くに行ってしまいそうな
急に不安になったの。そんなわけないのにね」
アルバは、ラキアの秘密を知っていますが
それをルシアに言うべきかどうか、言ったら
ますます心配するよね。でもでも
ルシアはラキアが好きだったんだ・・・
あ~~まったく気づいてなかった。
僕は、ルシアの何を見ていたんだろう
いろいろ考えてだまっていると・・
ルシアが「もしかして、何か知ってるの?
ラキアは遠くに引っ越すの?まさかね?」
アルバは、苦しそうに・・迷っていましたが
ラキアはきっと言ってほしくないよな・・
言ったらついてくるっていいそうだし。
僕だけだったら大丈夫だと思うけど・・
羽も、ひとつしか試作できてなくてまだ飛べるか
わからないし、う~~ん
ルシアが「ねぇ、なぜ黙っているの?教えて?」
アルバは「あ~~ごめん、ルシアはラキアが好きだったなんて
まったく気づいてなかった僕は間抜けだなって思ってて
その、あの、ラキアのことは・・・
そうだ、僕、今、失恋回復グッズを作ってるんだよ。
うん、ルシアにもあげるよ。マリンにもあげるんだ。
3つ作ろう。僕ら、失恋仲間だね。あはは」
無理やり泣きそうな顔で笑うアルバです。
ルシアは、はっとして・・
「アルバの気持ち、考えずにごめんね。でも何?
失恋回復グッズって・・ほしいかも」
泣き笑いしています。
笑ったルシアを見てほっとしたアルバは
「うん、大急ぎで完成させるよ。きっと役立つと思うよ
楽しいんだ」
作品のことを思うと元気になるのでした。
ルシアもそんなアルバを見て、心が和んでいきました。
昔からアルバってすごいものを発明するから
きっと今度もすごいかも?
「もしかして、もうできかけているの?見せて?」
明るく言いました。
アルバは嬉しくなって、「うん、いいよ」
アルバの実験ルームに案内します。




