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オヤジ2  作者: 矢島大佐
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第9章1

 横田の基地から掻っ払われた核弾頭装備の巡航ミサイルを追いかけて、オレ達は相模原の市街を南下した。

 ミサイルを持ち逃げした裏切り者の腹黒伊東と南の国の一行は、奴等が知らねぇ間に、こっちの発信器を背負い込んじまったから、どこに逃げたって位置は判る。

 軍用六輪駆動車の助手席に収まったロン毛野郎が、追跡用受信機を操作しながら、数分毎に奴等のトラックの位置を調べてるぜ。

 …受信機のデータが正しけりゃ、南の国の奴等を乗せたトラックは、ミサイル共々、どうやら東名高速に乗っかって、西に向かったらしいのよ。

 桐山の話じゃ、昨日の輸送船攻撃の騒ぎから引き続き、オレ達を雇った北政府がC国製潜水艦の哨戒活動をやってるから、武装した日本人民国の奴等だって大磯や小田原辺りで船積みなんか出来やしねぇ。

 そんな状況だから、南の国の奴らはどうしたって静岡や、名古屋辺りまで逃げなきゃならねぇって訳よ。

 …北海道の北政府も、そこまで躍起になるんなら、オレ達に援軍ぐらい送ってくれても良いだろうが、そう簡単に行かねぇのが、今の国際情勢って奴らしい。

 兎にも角にも、奴等のトラックに追い付いて、ミサイルを奪い返さなきゃ、そのうち札幌辺りにキノコ雲が立ちのぼる。

 それでオレは、相模原の補給廠から持ち出した軍用六輪駆動車を、八王子街道に進めたんだが、奴等との差がどうにも縮まらねぇ。

 歯痒い思いで横転車両を跳ね飛ばし、ゾンビの死骸を踏んづけながら129号国道を南下していくと、メーターパネルの片隅に、嫌なモンが見えちまった。

 …「FULL」って書いてあるメーターの針が、左端スレスレになっちまってるんだ。

 オレは、元がダンプの運転手だから、燃料計とサイドミラーにゃ気を遣ってる…。

 横田の滑走路で、きっちり確認したときにゃ、そいつの針は真ん中辺りにあったから、燃料パイプのどこかが壊れちまったんだろう。

 …きっと中島のアホの流れ弾が、タンクに孔でも開けたに違いねぇ。

 オレは、罵り声を上げながら、ロン毛野郎に状況を説明したのよ。

 …奴は、チットばかし考え込んでいたが「このまま行っても追い着けねぇから、厚木の基地に向かってくれ」って言いやがる。

 厚木ってのは、アメちゃんの航空基地で、綾瀬市に有るらしいんだが…、そこで戦闘機を掻っ払うつもりなら、到底無理ってモンだろう。

 何しろ、半年以上放って置いたんだから、機体が残ってたって、動かせる訳は無ぇはずよ。

 …そしたら奴は「ゾンビの国に潜入するため、自分が乗ってきた軽飛行機が、基地の滑走路に有る」って言うじゃねぇか。

 どうやらロン毛野郎は、オレ達の後を追いかけて、北海道から軽飛行機で単身乗り込んで来たらしい。

 南の国の奴等に捕まっちまのを恐れて、横田じゃなく厚木の基地に着陸すると、オレ達に合流するために、そこから相模原に歩いて行ったんだと。

 奴の話じゃ、小型機のセスナだから航続距離も知れたもので、片道限りの特攻機らしいが「タンクにゃ、幾らか燃料が残ってるから、上手くすれば二、三百キロは飛べるだろう」って話なんだ。

 …馬鹿野郎!。それを早く言わねぇか。

 オレは奴の指示に従って、綾瀬方面に軍用トラックのハンドルを向けたのよ。

 燃料が尽きて、トラックのエンジンが止まる前に、基地まで行けりゃいいんだが…

 桐山の野郎は、手持ちの無線を使って、行く先が変更になったことを荷台の奴等に伝えてる。

 飛行機の話を耳にした途端、中島のアホが「脱出だ。脱出だ」って、トラックの後部ガラスをぶっ叩きながら騒ぎ出した。

 「中島よぅ。お前の脳みそ…、ほじくり出してやろうか?」

 例えゾンビの国を脱出したって、帰る先が放射能だらけになってたら、オレたちゃ死んだも同然なんだぜ。

 そんなメガネ猿の遠吠えを無視したオレは、ロン毛の指示に従って、トラックを進めたんだ…。

 六輪駆動の轟音を聞きつけて、道路に飛び出してくるゾンビ野郎を挽肉ミンチに替えながら、R246の立体交差を左折すると新相模大橋が見えてきた。

 …追突事故で火災にでもなったんだろう。橋の上にゃ五、六台の乗用車が、焼けただれた赤錆姿を晒してる。

 車線を邪魔するワンボックスの乗用車を、六輪駆動のバンパーで跳ね飛ばすと、割れたワンボックスの窓ガラスから、白骨化した頭蓋骨が飛び出した。

 蒸し焼きになった怨念か、トラックのボンネットの上に落ちたそいつは、恨めしそうに暫くこっちを睨んでた。


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