第7章5
更に何発かの小銃弾を鉄製のドアに撃ち込んだ桐山は、オレ達に目で合図すると扉のノブに手を掛けた。
一箇所しか無ぇ逃げ道だ。グズグズしてたら、騒ぎを聞きつけ、腐れ野郎の団体さんが、後から後からやって来る。
…一、二の、三で、開かれたドアの向こう側に、小銃弾を撃ち込んだオレ達は、奴等の動きが止まるまで引き金を引き続けた。
スイカ頭のゾンビ野郎が、転がり落ちた戸口の奥には、男だか女だか判らねぇボロを纏った死人どもの、千切れた四肢や、はみ出した内臓が転がってやがる。
ゾンビの援軍が来ねぇ間に、オレ達はとっとと、マンションの屋上を後にした。
空になったマガジンを付け替えながら、非常階段を下っていくと、気配を察したゾンビ野郎がヨロヨロ集まって来やがった。
…狭めぇ階段だから、先頭の腐れ野郎をやっつけると、後の奴等は、将棋倒しに転がって、撃ってくれと言わんばかりに脳天をこっちに向けやがる。
そうなりゃ射的の要領と同じよ。
ぶっ倒した奴等に足首を噛まれねぇように、一匹づつ確実に仕留めながら階段を下って、マンションの駐車場に降り立った。
…やっと平地に降りたは良いが、マンションの影や通りの向こうから、銃声聞きつけボロボロゾンビ野郎がお出ましだぜ。
走り出した桐山の背中を、追いかけながら、中島のアホが、どうするつもりか聞いてやがる。
…奴の答えは簡単よ。
ここら辺りで、まともに動く車は、オレ達が昨日乗ってきた、アメちゃん仕様の軍用トラックしか無ぇだろう。
「そいつの所まで、何とか戻る」って言いながら、地下トンネルのエレベーターシャフトが有る倉庫の方に走って行きやがる。
行く手を邪魔するゾンビどもを、ロン毛野郎と中島メガネ猿が、腰だめにした自動小銃で始末しながら、三上とオレ達、足の不自由な二人組が遅れねぇように必死について行ったのよ。
西に三百メートルも走っていくと、見覚えのある建物が見えてきた。
昨日必死で脱出してきた、エレベーターがある倉庫だが、建物の前の駐車場にゃ、ゾンビの破片に、死にきれてねぇ腐れ野郎の、蠢く姿が見えていた。
南の国の装甲トラックが開けたらしい、シャッターの大穴を潜り抜けて、オレ達は倉庫の中に戻って行ったのよ。




