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これ、最後まで書ききれるかな〜(笑)
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これは、私がこの監獄みたいな施設に入れられて間もない頃の話だ。
私には、施設に入る前の記憶がない。いつの間にか施設にいた。当初はわからないことだらけだった。わかることは、名前と生年月日と血液型。
それと、もう二つ。
私は《特別》だということ。そして、雨の日だったということだ。恐らくは、それらが原因でこの施設に連れてこられたのだろう。
だが、その特別感というのだろうか。なんというのか。こんな能力は誇れるものでないのだけれど、施設に入った初日にそれは勘違いなのだと思い知らされた。
はじめに違和感を感じたのは、施設内で自己紹介をした時だ。施設のとある講義室に連れられた私は、数名の子ども達と出会った。年齢はそれぞれで、年上か年下か。
見知らぬ場所で、突然、群に投げ込まれた感覚を覚えた私は不安と孤独に襲われていた。
「初めまして。興梠凛です。宜しくお願いします。」
普通の自己紹介をしたつもりだった。だが、
「宜しくお願いします。(まる)だってよ。ウケるー」
頭の痛くなるレスポンスだった。
「なにこいつ、なんかヘン……」言葉には出さなかったがとりあえず、笑顔でそう思った。
すると……。
「『なにこいつ、なんかヘン……』だってよ。こいつのがヘンだよな(笑)」
周りが騒ついた。笑っている。特徴も個性もなく。みんなが同じ笑い方をして。
恍惚とした。
「ここは異常だ……」
次にシーンとする。沈黙は詩的とも言うが、この場においては例外だと思った。詩的どころではない。とても暴力的だ。
『異常じゃない奴なんてここにはいねぇよ。新米。お前も異常だからここにいるんだ』
その直後から、妙な視線が私を付きまとうようになった。
前方以外からの視線。上や下、横から、四方八方から監視されているような。
施設には、来たばかりだが逃げ出したくなった。私は《特別》なんかではない。この施設には、私以上の《特別》がごまんといる。理性ではなく本能が「逃げろ」と言っていた。
全力で駆け出し、出口に向かう。しかし、皆に阻まれた。何よりここは監獄なのだ。幾つものセキュリティを突破するなど不可能だった。諦めるより他ない。
観念して不意に天井を見上げると、天窓があった。
雨が降っている。いつも通りの雨。そう……。
それは赤く、紅い、静脈血のような鮮紅色の雨。
途端、激しい動悸に襲われ、息がつまり、覚えのない映像が流れ込んでくる。
目の前で誰かが倒れ、こちらを向いて手を伸ばしている。その誰かは苦しそうに、血の雨を降らせながら何かを呟いていた。
「ウッ……」
その言葉を聞き取ることが出来ないまま意識が遠のいていく。
そんなさなか、遠くからは嘲笑が聞こえたような気がした。
以前の作品は自分を試す為に、毎日投稿を心がけていました。完成まで毎日欠かさず書いて投稿する。今回もできるでしょうか。友人が今、毎日投稿しています。自分のなんか比にならないくらいの描写力です。私はというと……。楽しくやっていきます!