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神器使いの子鼠  作者: ホルス
1/1

神器の紛失と急用の依頼

「う、嘘でしょ・・・・・・」

 大変なことが起きた。リルストが短剣の神器を失くした。

 リルストはガイラスから訓練を受けたものの神器がなければただのガキ。戻っても仕事をすることが出来ない。

 それに失くした物も不味かった。神器は厳重に管理しても時が経てば煙のように消える代物。最悪の場合二度と神器は戻ってこない。

 キャラバンの団長であるガランはすぐさま指示を出す。

「神器の話はいくらか聞いた事はある。だがまだ希望はあるはずだ。ちょっとお前ら二人で脱衣所見てから四人で探して来い。俺は保安所に行ってくるから。他の奴らは明日の準備だ」

「「はい!」」


「うむ脱衣所には無かった」

「もしかしたら、盗まれたのかもしれぬ」

 三人の調べによるとなかったようだ。

 この場において消えたという言葉は禁句だった。

「それで小僧の神器を見たことがないのだが、レイラちゃんは見た事あるのか?」

 キャラバンの男の一人が聞くと、リルストが答えた。

「うん。あの神器はお姉ちゃんかお姉ちゃんが認めた奴しか見せてないから」

 リルストの話を聞き、もう一人の男が提案する。

「では俺とレイラちゃん。お前とリルストの二手に別れて探そう」

「そうだな」

 四人は二手に別れて探すことにした。

「あの子がリルスト・ファントリーか。何やら問題が発生したようだな」

 四人を物陰で見ていた男が一人。その男はこの街に似合わぬ正装のような服を着て、分厚く重い本を持ってページをパラパラめくる。

「!短剣がないのか。私も探さねばならぬな」

 男はそう言うと、分厚い本をパラパラめくって調べ始めた。


「ですから。その短剣を譲っていただきたい」

「何でだよ。てか何で知ってんだよ」

「マニアの勘かな」

「はあ?」

 分厚い本を持った男は一つの盗賊が住む家にたどり着いた。

「私は短剣を集めるのが趣味でして、珍しい短剣が手に入ることを予感してここに来たんですよ」

 男は盗賊に嘘をついた。男に短剣集めの趣味はない。

 盗賊は少し考えると懐にある、使い慣れた短剣を取り出しニヤリ顔。

「いいぜ、お前の言う短剣は譲ってやる」

「そうですか!それはありがたい」

「ただし、お前の全てをいただく!」

 盗賊は不意を突いて短剣を男に突き立てる。だが、

「ああ、読んどいてよかった」

「!?」

 男はあらかじめ知っていたかのような口ぶりで避けた。

「この後、何回も短剣で突き立てられるんだよね。開いておくべきだったよ、もう」

 男は少し後悔したような顔で言う。

「傷だらけになっちゃうな。服も新調しないと」

「ごちゃごちゃうるせーぞ!」


「なかったね・・・・」

 リルストの方は武器屋や骨董商を回ってみたが神器の短剣は出回っていなかった。

「だがそれは、盗んだ奴がまだ持っていると事だ。そいつが盗賊であることを想定して武器を取りに一旦戻るぞ」

「うん・・・・・」

 こうして二人はキャラバンに戻ろうとすると、少し可笑しないざこざに会った。

「おとなしく、捕まりやがれ」

「あのう、もういいでしょ。流石に譲ってくれません?」

 争っているのは二人の男、片方は盗賊でもう片方は傷だらけになりながらも本を読んでいる。

「ええと、目の前にあの短剣の持ち主が見えてるんですが・・・・」

「ああ~ん?うげっ!」

 盗賊はリルストを見るなり逃げ出した。

「だ、大丈夫?」

 盗賊から解放された男はホッとしたのか近くの壁にもたれ掛かり、リルストは心配して話しかける。

「私は大丈夫だと思います。早く、あいつが君の神器を持っています」

「!?な、何で僕が神器を持ってるけど今ない事を知ってるの」

 リルストは驚いて思わず聞く。

「私は君と同じ神器使いですから。あいつはこの後、ビーグラント商店前に現れます。急いで!」

「ビーグラント商店はこっちだ。行くぞ小僧」

「う、うん!」

 リルストとキャラバンの男は盗賊を捕まえるためにその場を立ち去った。

「頼みますよ。我が国の救世主になりえる者よ・・・・・」

 男は傷の痛みに耐えながら立ち、その場を去った。


「あの男が言う事がほんとなら、奴はここに出て来るはずだ」

「そうだね」

 リルストとキャラバンの男はビーグラント商店の前に来た。

 少しすると、先ほど神器使いの男と争っていた盗賊が歩いてきた。

「よし、行くぞ」

「待って」

 キャラバンの男が捕まえに行こうとするのをリルストは止めた。

「何だ?取り返すんじゃないのか?」

 キャラバンの男は疑問になり、リルストに問う。

「捕まえるけど、真正面にぶつかりあったら勝てないよ。あっちは武器持ってるんだし・・・」

「そ、そうか・・・・」

 リルストの強さは殆ど神器のおかげと言っても過言ではない。またキャラバンの男も武器を扱う事もあるが、それが仕事ではないのであまり強くはない。

「ではどうやって取り返す?」

 リルストは少し考えて答える。

「おじさんが後ろから手を掛けて、そしたら反対側に逃げるだろうから僕が待ち伏せてタックルする。もし短剣を振り回したりしたら何とかして」

 作戦としては穴が多すぎるが、無策で行くよりはいいかもしれない。

「分かった。それで行こう」

 二人は作戦を決行した。


「ちょっと、お前さん」

「ああ?」

「短剣返せ!」

「あっ!」

 盗賊はキャラバンの男に声をかけられて逃げる。

「逃がさない!」

 待ち構えていたリルストが盗賊にタックルする。

「うわっ!」

 盗賊は倒れ、そのはずみで神器の短剣が零れ落ちる。

「やった!」

 盗賊を倒したリルストは猫のように神器に飛びつき、取り返した。

「何事ですか!」

 この物事に察知して街の保安隊員が駆け付ける。

 キャラバンの男が保安隊員に事を説明する。

「私とこの小僧はキャラバンナンバー4075923の団員だ。この子の護身用の短剣を入浴中に盗まれてしまってね。探していたらこの者が持っていたので、各自で取り押さえたとこなんだ」

 保安隊員は手に持っている紙と照合し状況を判断した後言う。

「分かりました。今回は大目に見てあげますが、今度からは保安部隊に任せてくださいね」 

「はい!」

「済まなかった」

 保安隊員は盗賊が逃げないように捕まえて連行した。

 保安隊員が盗賊を連行しその姿が見えなくなった後、リルストは神器をいつもの場所に戻した。

「よし!」

 神器を失って落ち込んでいたリルストの顔に笑顔が戻った。

「お姉ちゃんと合流してキャラバンに戻ろう!」

 

 リルストはレイラの組とも合流し、キャラバンに戻る。

「良かったね。見つかって」

「うん」

 四人はキャラバンに到着すると、まだ店を出していないのに誰かうろついている。

「「あ!」」

 リルストの組には見覚えがあった。あの傷だらけの神器使いの男である。

「おう、待っていたよ」

 あちらもこっちに気づいたようで、傷だらけでありながら笑顔で手を振っている。

「怪我大丈夫なの?」

 リルストが駆け寄って、状態を聞く。

「大丈夫ではないが、傷は恐らく全て浅い」

「この人だれ?リルスト」

 レイラの方も男に駆け寄り、正体を聞く。

「初めまして、レイラ・ファントリーで合ってるかな?」

「!?」

 レイラもリルストと同じように驚いた。

「な、何で私の名前を・・・・・傷の手当しましょうよ」

 男はキャラバンの車両に案内された。

 男はレイラの手当を受けながら話し出す。

「いきなりで済まない。先に自己紹介をすべきだったね。

 私の名前はビールン・ルフルスト。ゲントラークス国の神器使いさ。

 私の神器はこの本。この本には自分以外の人間の名前や行動が記されている。

 私はね。この本に記されている事に従って、リルスト君。君を待っていたんだ」

「ゲントラークス国って、まさか!」

 レイラには聞き覚えがあった。数日前の新聞で載っていた国だ。

「そうだよ。私の母国は先日占領された・・・・・・・国隷集団の手によってね・・・・・」

 国隷集団・・・・・国を乗っ取りその国を奴隷のように扱うことから名づけられた盗賊たち。少数で国を乗っ取ることから十数人は神器使いであると考えられている。

「私は乗っ取られる前にこの神器と出会い、この本に書かれている事を信じてともに魔の手から逃れた仲間と一緒に国を取り返す計画をしているんだ。その計画にリルスト君、君の力が必要なんだ。協力してくれるかな?」

「ダメです!」

 反対したのはレイラだった。

「リルストをそんな危険な場所に行かせられません」

 そんなレイラにリルストが言い返す。

「ぼ、僕、仕事でいつも戦ってるよ」

「そうゆう問題じゃない!」

 レイラの気迫は戦い慣れているリルストを圧した。

「確かにリルストは仕事で戦ってるけど、今度はガイラスさんがいないんだよ。それに国を乗っ取った相手に一人で立ち向かうなんて・・・」

「誰も神器使いは一人だけだなんて言ってないけど・・・・・」

「へ?」

 レイラの顔はリルストからビールンに移る。

「私とその仲間、ゲントラークス国奪還組織フライバーリベンは周辺国を私のように訪ねているんだ。それに私の神器のおかげで神器使いがどこにいるのかもだいたい分かるからね」

「でも、リルストを行かせるわけにはいきません」

 レイラはそれを譲らなかった。

「ねぇ、ビールンさん」

 ビールンに声をかけたのはリルストだ。

「何だい。リルスト君」

「じゃあ、僕に依頼してよ。オルディアゴーの一員として」

「!」

 驚いたのはレイラだ。ビールンは納得した。

「ではリルスト君に仕事を依頼します」

 ビールンは一つ軽い咳をしてお願いする。

「我が母国、ゲントラークス国奪還の力になってください」

 ビールンは膝を地に着け土下座した。その身構えから本気であることがまるわかりだ。

「分かった。その依頼受けるよ」

「本当か!」

 ビールンは顔を上げた。

「うん。そのためにガランさんにそこへ連れてってくれるようにお願いしに行こう」

「分かった。国が救えるならどんなどんな協力でもしよう」

 リルストとビールンはガランに提案をしに行った。

「・・・・・」

 レイラはただ立ち尽くすだけになってしまった。


があ、終わった。話はまだ続くけど話が思いつかない・・・・。(夏休み中は書かないから)

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