24章 乗車に燥ぎし勇者
小説を更新をするイエーガー!
進撃の巨人が面白いです。
立体起動とか描写できる表現力が欲しい(涙)
綾奈の再教育を何とかくぐり抜け、制服のネクタイを協力してもらいながら結んでいると、昨夜状況報告をした後会議に行くと出て行った武藤翁が恭介と共に戻ってきた。
俺も警護の為に同行するか提案したのだが、家の守りを頼まれたので辞退した。
何でも組同士のケジメ話らしいが……どうなったのだろうか?
「おはようございます、武藤翁」
「おお。おはよう、アル。制服似合っておるな」
「そうですか?」
「うん。アル君引き締まった身体してるし、身長高いし、脚長いからモデルさんみたい。
ルックスもいいし。ちょっと髪も弄るねー」
そう告げた綾奈によって整髪料で無造作だった髪型を整えられる。
「はい、これでOK。うん、ワイルドでヤバめな感じだけどカッコイイよ♪」
綾奈に促され、姿見を見る。
昨夜も感じた違和感。
鏡に映る俺。
誰よりも一番よく知っている筈だが、制服を纏い少し不安そうに見つめ返すそいつがどこか見知らぬ他人に見える。
「ありがとう、綾奈。ところで武藤翁、敵対組織との話はついたのですか?」
「その件じゃが時間も時間じゃ。学園まで送るので、詳しくは車の中で話そうと思う」
「どうぞ、こちらへ」
恭介の案内で地下駐車場へ通される。
黒塗りの大きな車がそこには数台も控えていた。
「お~素晴らしい!」
何気に初自動車デビューである。
俺は逸る気持ちを抑え、恭介が扉を開けてくれるのすらもどかしくいそいそ乗り込む。
ふわふわのクッションに驚き、飲み物が内蔵された肘掛に感嘆し、適度な温度に保たれつつゆったりしたスペースを堪能。
王国御用達の馬車に匹敵し兼ねない豪奢な内装である。
「アル君子供みたい」
可笑しそうに微笑みながら隣りに乗り込む綾奈。
「おう。色んな国へ行ったが、初めて挑戦する乗り物、食事、習慣などはいつも緊張させられるさ。でもそれが何よりの楽しみなんだよ」
俺だって最初っから勇者だった訳じゃない。
一旗上げてやると故郷から出て来た冒険者の一人だった。
数奇な運命に導かれ、出会いと別れを繰り返し、仲間に支えられながら勇者となった。
しかし今でも俺という人物の根底には冒険者としての探求心が燈っている。
だから仲間と共に巡った旅は苦難の連続であったが苦痛ではなかった。
知らない事を知る。
それこそが冒険者というより人間をの本質的な衝動なのだろう。
「まあ天下のメルセデスじゃからな。少々高くつくが、性能も安全性もピカ一じゃ」
「一応シートベルトは締めて下さい。乗り慣れてないアルの為、安全運転はしますが車酔いすると大変なので」
「えーっと……シートベルトってこれか?」
身体の脇にあるベルトを取り、指し示す。
「そうそう。手伝ってあげるね。これをここに嵌めて……はい、これでいいよ」
綾奈の主導により、俺は座席に固定された。
シートと一体化したような柔軟性は他に例えようがない程快適である。
「それじゃ出発します」
「よろしく頼むぞ、恭介」
「安全運転でお願いしま~す」
「お~凄い! お~速い!」
綾奈の指摘通り子供みたいに燥ぎながら、今日から通う事になる学園へ車は走り出すのだった。




