八話
朝は9時から12時まで電話。
それからはずっとアプリで連絡をしてくる。
夜になったらまた電話。
何をそんなに話すことがあるのかわからないが、色々とこちらも話題を提供し、あちらもそこそこ努力をしてくれている。
そのため、会話はなんとなく繋ぐことが出来ている。
しかし、私は息苦しくて仕方がない。
もともと自由人で会話よりも読書やネットをしている方が楽しかった私としては、かなり窮屈だった。
そして、付き合って五日目、私は言った。
「私、メールとか電話とかあんまり好きじゃないの。友達とも用事くらいしかしないくらいなの」
自分の忍耐力が思ったよりもなかったことに少々驚いた。
嘘は何一つ言っていない。
大体、会話するのを面倒臭がっていてクラスでも孤立している身だ。
一日中会話するのに耐えろという方が難しいだろう。
と、自分で言い訳をしてみるものの、結局私は彼を傷付ける道を選んだのだ。
自分が楽をするために。
彼は私の我儘を聞いてくれた。
「素直なのがちぃちゃんの良いところだよ」
と言って。
彼は優しい。
それは私を愛しているが故だろう。
私は彼が他に女を作っても怒らないだろう。
こんな彼女なのだし、私は彼に関心がない。
これは紛れもない事実であり、とても残念なことだ。
私は彼を愛していない。
でも出来るなら、あの人を諦めて彼を愛せたらと、思いはする。