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詩 具合が悪い

作者: WAIai
掲載日:2026/06/10

「具合が悪い」


休憩時間中、俺が言うと、彼女がびっくりしたように振り向いてくる。


「ちょっと失礼」


猫みたいに、小さくて可愛い手。

それが俺の額に当たってくる。

ひんやりして、まるで冷蔵庫を開けた時のような冷たさだった。


「ちょっと!! 熱があるんじゃないの?」


彼女が真っ赤な顔をして、声を張り上げる。


俺は「え?」と鈍く返し、自分の顔に触れてみる。

確かに熱いような、熱くないような、自分ではよく分からなかった。


「保健室に行こう、保健室」

「おう」

「先生!! 保健室に行って来ます」


教室に来たばかりの先生にそう言うと、彼女は俺の手を引っ張っていく。


もっと心配して欲しいとか、馬鹿な考えをしていると、彼女が怖い顔で言ってくる。


「どうして早く言わなかったの?」

「だって…気のせいかと思って。放っておけば治るかと思ったんだけど」

「もう!! 私にはすぐに言ってよね」


保健室に着くと、先生が声をかけてくる。


「どうしたの?」

「彼、熱があるみたいなんです。みてもらえますか?」


女の先生なので気軽に喋りやすいのか、先生が彼女に体温計を渡してくれる。


「はい、脇にさして」


言われるまま、椅子に座り、体温計が鳴るのを待つ。


「あなたは教室に戻りなさい」


先生が彼女に言うと、「でも…」と心配そうだった。

だから、俺が告げてやる。


「大丈夫だ。自分のことは、自分でできるから。ありがとうな」

「…うん」


まだここに残りたいみたいだが、先生が「行きなさい」と言ったので、彼女は後ろ髪を引かれるように、頭を下げて行ってしまう。


ピー、ピー、ピー。


ちょうど体温計が鳴り、見てみると、38℃だった。


「あらあら、これはまずいわね」


先生はそう言うと、俺に聞いてくる。


「早退する? それとも、病院に行く?」

「…早退します」


病院は苦手なのでそう言うと、先生が聞いてくる。


「うちに誰かいる?」

「いません。寝て何とかします」

「そう。お水をたくさん飲むこと。本当は薬をもらったほうがいいだけど」


頬に手を当て、先生が息を吐く。

俺は体温計を渡すと、はっきりと言う。


「親が帰って来たら、何とかします」

「そのほうがいいわね。カバンを取りに行ってらっしゃい」


先生に言われ、俺は廊下に出る。

すると彼女が隠れていて、「しーっ」と指を立ててくる。


「どうだった?」

「熱があるみたい。38℃だってさ」

「さ…!! 嘘でしょ!!」


彼女は心配そうに、手に触れてくる。

何故が安心し、俺は優しく答える。


「早退する。うちで寝るから、大丈夫」

「病院に行かなくて、いいの?」

「親が帰って来たら、行くから。心配してくれてありがとうな」


彼女はこくんとうなずくと、残念そうに言ってくる。


「私も早退できればいいんだけど…」

「駄目。ちゃんと俺の分まで、勉強するんだぞ」


頭を撫でてやると、くすぐったいのか、くすくす笑う。

俺ははーと熱い息を吐くと、歩き出す。


「カバンを取りに行かないと」

「先生にも言わないと」

「そうだな」


授業がおこなわれているので、静かな廊下。

2人の足音だけが響く。


「あとで電話かLINEしてもいい?」

「おう。頼むわ」


俺が嬉しそうに言うと、彼女は安堵したようだった。

心配かけて、ごめんな。

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