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天才たちの対決、あるいは明かされる過去

【前回の答え】A

雨の降る日に出かける。

問題文の「の」は、連体修飾節の中で主語を表す「が」に置き換えられる用法(主格)であり、この選択肢も同様です。

1.賢者と、トイレの神様

「ねえ、けい。人生において『詰み』の状態って、実は意外と心地いいのかもしれない」

放課後の廊下、バケツを抱えた鈴木太郎が、悟りを開いた修道士のような顔で僕に話しかけてきた。昨日、二人の少女に秒速で振られた男の言葉とは思えない。

「それは、これ以上失うものがないという無敵感のことかい?」

「そう。美咲ちゃんには軽蔑され、佐伯さんには『気持ち悪い』という、ある種の文学的な評価をいただいた。今の僕は、レートがマイナスになっても驚かないよ」

太郎は鼻歌を歌いながら、ペナルティであるトイレ掃除へと向かっていった。AI監視網の「恋愛禁止」に対し、彼の心拍数は、今や凪のように安定している。

僕はその背中を見送りながら、眼鏡のブリッジを押し上げた。

「……負けることが救いになるなんて、AIロボットも想定外だろうね」


2. 図書室の数式

図書室の最奥、古い百科事典に囲まれた席に、佐伯玲はいた。

彼女は僕が近づくのを待っていたかのように、一冊のノートを広げた。そこには、僕もよく知る複雑な数式が記されている。

EA = 1 / (1 + 10^((RB - RA) / 477))

「イロレーティングの核心。この社会を支える『絶対正義』の数式よ」

玲は冷たい声で言った。

「そうだね。レート差が500あれば勝率は約9割。格上が勝ってもレートはほとんど動かないが、格下が勝てば世界がひっくり返る。」

「でも、このシステムには『ほころび』を防ぐための、少し意地の悪いルールがいくつかある」

玲はノートを指で叩いた。

遺伝的凍結ジェネティック・ブロック: 三親等以内の家族・親族間では、バトルが発生してもレートは一切変動しない。これは親から子へレートを「相続」させるズルを防ぐためだ。

72時間の冷却クールダウン: 同じ相手とは三日に一度しか有効なバトルができない。何度も戦ってレートを譲渡する「ロンダリング」を防止するためだ。

十倍の報い: 意図的に負ける行為をAIが検知した場合、失うレートは通常の十倍。さらに一ヶ月間のクイズ参加禁止、つまり社会的な沈黙が課される。

「クイズだけの観点から考えれば、まあよく出来ているとは思うよ」

僕は感心したように頷いた。

「葉安木総理は、人間がどれほど狡猾かを知り尽くしている。だからこそ、このルールは『誠実に戦う』ことしか選べないように設計されているんだ」

「本当にそうならいいけど…」

囁くような玲の言葉は僕には届かなかった。


3. 放流された怪物

「……それで、君がこの時期に転校してきた理由も、その『合理性』の一部なのかな?」

僕の問いに、イエスともノーとも答えず、玲はぱたりと本を閉じた。

「知っている? 『クイズ生態系維持法』」

「……ああ。圧倒的高レート保持者が現れると、そのエリアのレートが循環しなくなり、全体の知識レベルが停滞するという理論だ」

「平均レート1400台の海に、私のような2800台が居る訳だけど、まあ負けることなんてないわね。でも、レートの移動は最低保証の±1だけ。結果、その社会が死ぬのよ」

だから、彼女は「放流」されたということだろうか。

似たような状況を生み出している天智慧への対抗馬として。生態系のバランスを整えるための『調整弁』として。

「他の学校が私を欲しがらなかったわけじゃない。でも、政府は私をここに置くことに決めた。あなたと私を戦わせ、滞ったレートを大きく動かすために」

「ボタンが掛け違っていたら僕と君の立場は逆だったということか…。僕たちが戦えば、勝者は『3000』という神の領域に近づき、敗者はいったん地に落ち、再びのし上がってくるのを待つことになる」

僕は自分の胸元の「2876」を見つめた。


4. 学校の外側

「天智くん。明日の放課後、学校の屋上で私と目を合わせて」

玲が立ち上がった。

学校という「聖域」では、通常は目は合ってもバトルにはならない。それは、知識を詰め込むためのインプット期間を保護するためだ。

しかし、いくつか用意されたバトルフィールドであれば双方合意の基、バトルが承認される。

「なぜ、僕と戦いたがるんだい?政府の思い通りになる必要なんてないのに…」

「……レートの停滞は貴方にとっても歓迎されることでは無いはず。それにきっと貴方とならいい勝負が出来ると思う。ただそれだけよ」

彼女は鞄を肩にかけ、立ち上がった。

そのとき、顔を真っ赤にした山田教子先生が飛び込んできた。

「天智くん、佐伯さん! 大変よ! スクールバスのタイヤが……誰かにクイズ形式のパズルでロックされてるわ!」

どうやら、平穏な放課後はまだ遠いらしい。



今回はクイズシステムの説明回でした。

地味にレート計算が面倒ですね。今いくつか分からなくなるし、ズレていると計算し直しだし…


【問題】

大地の変化に関する問題です。火成岩のうち、マグマが地表付近で急激に冷えて固まってできた岩石を何といいますか。

A.変成岩

B.深成岩

C.火山岩

D.堆積岩

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