第7話 会う前から、評価を終わらせにいく (里緒視点)
日程を決めたあと、
私は自分の行動を少しだけ冷静に眺めた。
勢いではない。
感情でもない。
ちゃんと考えた上での選択だと、
自分に言い聞かせる。
*
会う理由は、まだない。
ただ、
会わないまま終わらせると、
判断が宙に浮いたままになる。
それが、
一番気持ちが悪い。
*
神崎恒一に期待しているかと聞かれたら、
即答で否定する。
条件は揃っていない。
年齢も、仕事も、生活も。
現実的に考えれば、
可能性は低い。
だからこそ、
私は今回、
評価を終わらせに行く。
*
店は、
仕事帰りに寄れる場所にした。
特別感のない、
普通の店。
ここで特別な感情が生まれたら、
それはそれで問題だ。
*
会う前に、
頭の中で基準を整理する。
曖昧な話し方をするか。
自分を大きく見せようとするか。
こちらの反応を探ってくるか。
どれか一つでも強ければ、
そこで終わり。
*
私は、
恋愛に期待しているわけじゃない。
むしろ、
期待しないための確認だ。
「ダメだった」と
納得するための時間。
*
電車の中で、
ふと思う。
私は、
なぜここまで慎重なのか。
答えは簡単だ。
過去に、
“条件を無視した選択”をして、
痛い目を見ている。
同じことは、
繰り返さない。
*
神崎は、
悪い人ではないと思う。
それは、
もう分かっている。
でも、
悪くないだけでは、
続けられない。
*
だから、
私は最初から
期待を持たない。
期待しなければ、
失望もしない。
これは、
自分を守るための態度だ。
*
待ち合わせ時間が近づく。
私は、
深呼吸を一つする。
今日の目的は、
判断を終わらせること。
好意を確認することでも、
距離を縮めることでもない。
*
もし、
「やっぱりダメだ」と思えたら、
それでいい。
その時は、
きちんと切る。
曖昧なまま続けるより、
よほど誠実だ。
*
私は、
自分にそう言い聞かせて、
改札を出た。
この先にあるのは、
未来じゃない。
結論だ。
そう思っていた。
――この時点では。
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