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こんな良い女、現実にいるわけがない  ―詰んだ中年男が「取りに行かない恋」で人生をやり直すまで  作者: 早乙女リク


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第14話 何も起きない時間が、続く (恒一視点)

 何も起きない時間が、続いた。


 連絡もない。

 約束もない。

 終わったとも、続いているとも言えない。


 そういう時間だ。



 俺は、

 それに慣れている。


 仕事も、

 だいたい同じだ。


 手応えがないまま、

 日だけが進む。


 うまくいっている実感も、

 完全に失敗した感覚もない。


 ただ、

 続いている。



 高瀬里緒から、

 連絡は来なかった。


 だからといって、

 不安になるほど

 期待していたわけじゃない。


 そう言い切りたい。



 ただ、

 気づくと

 一日のどこかで

 スマートフォンを確認している。


 癖のようなものだ。


 通知がないことを

 確かめるために。



 俺は、

 自分から連絡しないと決めている。


 必要としない。

 追わない。


 それは、

 彼女に対してだけじゃない。


 自分の生き方そのものだ。



 連絡しない理由は、

 いくらでもある。


 忙しい。

 用事がない。

 今は余裕がない。


 どれも、

 嘘じゃない。



 でも、

 連絡したい理由も、

 正直、見つからない。


 会いたい、と言うほど

 自分は素直じゃない。


 話したい、と言うほど

 余裕もない。



 だから、

 何も起きない。



 仕事を終えて、

 夜になる。


 部屋は静かだ。


 テレビをつけても、

 内容は頭に入らない。



 ふと、

 思う。


 もし、

 このまま何も起きなかったら。


 それは、

 自然な終わりだ。


 無理に意味を作る必要はない。



 俺は、

 この状態を

 悪くないと思っている。


 期待しない。

 期待されない。


 それは、

 安全だ。



 でも同時に、

 少しだけ、

 息苦しい。


 何も起きないというのは、

 何も試されないということでもある。



 俺は、

 逃げていないつもりだ。


 でも、

 動いてもいない。


 その違いを、

 ちゃんと区別できているかは

 分からない。



 「取りに行かない」


 それは、

 自分を守るための選択だ。


 でも、

 守っているだけで

 何かが始まることはない。



 それでも、

 俺は待つ。


 理由がないまま

 動くのは、

 昔から苦手だ。



 里緒が、

 どんな判断をしたのかは

 分からない。


 分からないままでいることも、

 一つの選択だ。



 何も起きない時間が、

 続いている。


 それは、

 終わりかもしれないし、

 途中かもしれない。


 俺は、

 そのどちらでもいい顔をして

 今日も眠る。


 本当は、

 少しだけ違うくせに。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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