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こんな良い女、現実にいるわけがない  ―詰んだ中年男が「取りに行かない恋」で人生をやり直すまで  作者: 早乙女リク


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第12話 必要としないことで、守っているもの (恒一視点)

 高瀬里緒が、

 自分を必要としていないことに

 違和感を覚えているのは、

 分かっていた。


 あの表情は、

 よく知っている。


 戸惑いと、

 苛立ちが混ざった顔。



 俺は、

 人を必要としないわけじゃない。


 ただ、

 必要としてしまうと、

 壊す。



 過去に、

 何度もそうだった。


 頼る。

 甘える。

 期待する。


 その瞬間は、

 少し楽になる。


 でも、

 必ず後で

 返せないものが増える。



 金。

 時間。

 約束。


 返せないと分かっているのに、

 受け取ってしまう。


 それが、

 一番の失敗だった。



 だから、

 最初から線を引く。


 必要としない。

 期待しない。

 頼らない。


 そうすれば、

 相手の人生を

 巻き込まずに済む。



 里緒に対しても、

 それは同じだ。


 彼女は、

 自分の足で立っている。


 世界も、

 選択肢も、

 俺よりずっと多い。



 そんな人に、

 必要とされる立場に

 俺が立つべきじゃない。


 立った瞬間、

 崩れる。



 だから、

 価値を提示しない。


 将来の話もしない。


 希望も、

 可能性も、

 語らない。



 それは、

 冷たさじゃない。


 俺なりの、

 責任の取り方だ。



 彼女が言った言葉を、

 思い出す。


 「私と会うメリットって、

  あまりないと思いませんか」


 あれは、

 本音だった。



 俺は、

 正直に答えた。


 そうかもしれない。


 それでも、

 会わない理由には

 ならなかった。



 それ以上の言葉を

 足さなかったのは、

 逃げじゃない。


 誤魔化したく

 なかっただけだ。



 里緒が、

 何を求めているのかは、

 正確には分からない。


 でも、

 少なくとも

 「救済」じゃないことは

 分かる。



 彼女は、

 誰かを支えるために

 ここにいるわけじゃない。


 自分の判断を、

 自分で下したいだけだ。



 俺が

 必要としないことで

 守っているのは、

 彼女の自由だ。


 ――そう思っている。



 もちろん、

 それが正しいかどうかは、

 分からない。


 独りよがりかもしれない。



 でも、

 俺はこれ以上

 誰かの人生に

 借りを作りたくない。


 返せないものを

 受け取るくらいなら、

 最初から

 何も持たない。



 必要としない。


 それは、

 俺にとって

 一番安全な距離だ。


 里緒にとって

 どうかは、

 分からない。


 分からないまま、

 静かに待つしかない。


 彼女が、

 どんな判断をするのかを。


 俺は、

 それを尊重するつもりだ。


 少なくとも、

 取りに行くことは

 しない。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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