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82話 閑話〜それぞれの視点

 〜ゴードンとローレンティア〜


「父上への手紙はこんなもので良いだろうか」

「読ませてもらいますね、お兄様」



「ええ、良いかと思います。説明は十分出来てるのではないでしょうか」

「ただ、父上もいきなりの話で驚くかと思うから、他に何か安心出来るような言葉が必要な気がするんだ」


「それでしたら、私のこの魔力解放の話も書いてはどうでしょう。いかにアシュリーが親身になってくれたか、いかにアシュリーが多方面に優れているか、お父様もお分かりになられるのではないでしょうか」


「魔力解放のことは、それほど大っぴらに話しても良い事ではないだろう」

「そうですね・・・」


「でも、まあ、魔法指導に変更してもらったから、魔法も上手くなった・・・と書く程度なら良いかもしれないな」

「そうします!では、私からの手紙ということで書きますね」

「ああ、ローラの言葉の方が良いかもな。頼むよ」

「はい!」



「それにしても・・・準備も結構大変そうだな。この、川で採ってくる貝の量が半端ない!」

「でも、それが真珠の『かく』となる物で大事だと、アシュリーは言ってました」

「ああ、本当にそんなことが・・・」


「できるのです!」


「そうだな。アシュリー様が出来ると言ったのだからな」

「そうですよ。アシュリーですからね♪」

「ははっ!アシュリー様だからな!」






 〜ゴッドフリーとハロルド〜


「父上はデヴィッド君の本当の名前を知っていたというのは本当ですか?」

「ああ、名前だけ知っていたのだが、それが帝国の第三皇子の名だとは知らなかったのだ」

「どういうことですか?」


「・・・いや、実は、クラリッサから調査中の情報だと聞かされて、その名をデヴィッド君の前で言ってみてくれって頼まれたのだ。その名を聞いた彼の反応が知りたいのだと」


「そうだったのですか⋯。それにしても、クラリッサもヘクターも情報量が多いですね」

「ああ、二人共に優秀だ。おかげで彼はあっさりと自分のことを話してくれたからな」


「アシュリーのおかげも大きいでしょう」

「そうだな・・・」


「ウェリントン家のことも、ローラのことも、コーク領のことも、アシュリーのあの行動力には驚きますね」

「ああ、一度聞いたり見たりしてしまうと放置できないのであろうな。後先を考えていないからできるということもあるが」

「まあ、そうでしょうね」


「しかし、出来そうにもないことをやってのけようとする気概は誰にも負けんだろう。実際やってのけるからな」

「そうして誰もがアシュリーを信頼するようになるんですね」


「オンブロー伯爵もテニスン家の長男もそうだ。アシュリーが関わると人が変わっていく」

「ふふっ!モーランド家の長男もですよ」

「ああ、あの・・・ふはっ!コークの姫さんと踊っておった時は真っ赤であったな!可愛いものだ」




「そういえば、アシュリーにしては今回の保養施設の話は断念したようだ」

「それは珍しいですね」


「あれほど簡単に諦めるとは驚いた。もう少し落ち込んだりするかと思っておったが、全くスッキリした顔をしておった」


「自分が救えない人がいることを、アシュリーは既にちゃんと理解しているのではないでしょうか」


「そうだな・・・聡い娘だ、きっとこれまでにエイドリアンのことも色々考えたに違いない。光魔法が使えるようになっても、それを無闇に使ってはいなかったのが証拠であろう」


「そうですね・・・私なら喜んで使っていたと思います。まぁ、元々アシュリーは魔法より武術にしか興味がないですが…」

「確かに・・・」




「痛みを止める魔法は、まずは私が習得しないといけないのでもう少し後になりますが、魔術医師長には習得してもらおうと思います。彼も喜んで引き受けると言ってました」

「そうだな。2区から5区の魔術医師長にも連絡を入れてもらおうか」

「承知しました」


「魔術医師長が習得して実践をしてから今後の広め方を熟考していくのが良いだろう。新しい魔法の習得はそれくらい念入りに進めていく必要がある」


「アシュリーはどんどん新しい魔法作ってますけどね・・・」

「言うな・・・」



「薬のことはどうしますか?」

「どう、とは?」

「アシュリーの好きにさせますか?」

「ああ、そういうことか」

「教会の薬師から薬草の図鑑を何冊か借りて来ていますから、そのうち何かすると思うのです」


「うーん・・・薬というのは怖い気もするが、何か良い発想をしてくれるのではないかという期待もある」

「それは私も同感です」


「しばらく様子を見るしかないだろう」

「分かりました」


「出来たものは、必ず一番に自分に報告するよう、それだけは約束させておくように!」

「分かりました!!」






 〜クラリッサ〜


 驚いたわ!

 まさか、このタイミングで帝国の皇子だと名乗るとは思わなかったわ!


 旦那様にどうやって話そうか考えに考えて、名前だけ話して様子をみるつもりだったけど、旦那様も行動が早いわ!

 話したその日に行動するとは。

 さすがアシュリー様の親ね⋯。



 ゲームでは帝国の内情まで詳しく出て来なかったから、デヴィッド様のお話には引いたわ〜!

 アトール公爵とか執事のこともゲームには出て来なかったし、これから何が起こるのか分からなくて怖いわね。


 やっぱり、秋に行われるという『魔物討伐演習』の時に何か起こると思う。


 どうしようかな・・・


 どうやって忠告しようかな・・・


 何か、アシュリー様にはもう隠さなくてもいいような気がするんだな〜。

 あの性格だし。


「まあ!クラリッサも転生ですの!嬉しいわ!!」とか大喜びするだろう。


 そして・・・


 何かやらかす気がする。

 ゲームのシナリオ聞かせちゃヤバい気がする。


 でも確か、私が記憶取り戻した時に「悪役令嬢!」って叫んだんだけど、それでも何にも感じてなかったみたいだから、前世のアシュリー様は、多分ゲームのこととか異世界転生のラノベとか全く詳しくないタイプの子だったんだと思う・・・


 もし打ち明けるなら説明難しそうね。



 そういえば、何だかアシュリー様はデヴィッド様には結構肩入れしているような気がするのよね…。ギルフォード殿下はおもちゃにしてるのに。

 やっぱりデヴィッド様の身体能力が高いからかな?


 ふふっ!

 何でも鍛錬に繋げちゃうアシュリー様の脳筋ぶりは笑えるけど、まずはお二人が刺客に狙われても大丈夫なほどに強くなれるよう応援しないとね。


 次に何かあるようなら直ぐに打ち明けよう。

 そして、対策立ててもらおう。



 それにしても、アシュリー様って真珠のことにやけに詳しかったような気がするんだけど・・・私も真珠が養殖されてるのは知ってるけど、その方法まで知らないわよ?


 ホント面白い子♪


 今度はどんな魔法で真珠作るのかな〜。

 私もコーク領に一緒に行けるよね。

 兄さんも多分一緒よね。


 ふふっ!楽しみだな〜!


 遠方に出かけるなら、アシュリー様の動きやすい服を作りたいわ!ルイーズ領のあのストレッチ布、もっと欲しいわね!

 旦那様に頼んだら取り寄せてくれるかな?


 うん、頼んでみよ〜っと♪


 可愛いアシュリー様に似合う服を考えなくちゃ!




 可愛いと言えば・・・


 あの落ち込んだアシュリー様。


 可愛いかったな〜♪


 ちょっと不謹慎かと思ったけど、本当に可愛い!

 かいぐりかいぐりしたかった!!



 でも、これ以上悲しんでは欲しくないから、この長期休暇のうちはパン屋のザックには元気でいて欲しい。


 アシュリー様、ザックの病気が治らないって分かってはいたみたいだけど・・・あれは前にもそういった患者を知ってる風だった。

 もしかして、奥様かな?


 アシュリー様程の魔法が使えても治らないなんて、アレよね⋯多分。この世界でもあの病気はあるみたいね。アシュリー様も気付いてるんだ。

 ううん、私よりずっと前から知ってるんだ。



 ああいうアシュリー様を見てるから、私ももっと役に立てるように頑張ろうって思える。


 さあ、まずは、ストレッチ素材の制服を作りましょう!明日は仕立て屋を呼んで、休み明けの学園に間に合せないとね!





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