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200話 反撃は続く

おぉ(*ºoº*)!200話まで来ました!(実際は201話)


ここまでお読みいただきありがとうございます♡

これからもお付き合いいただけたら嬉しいです!

 見物人も居なくなった後、洗濯も終えて部屋に戻ると、念願のバスタブがあった。


 わーい!

 今夜はここでお風呂に入れるぞ。


 イヴォンネは私とミーア達と入れ替わりで洗濯をし始めたので、今のうちに魔石に魔力を溜めておこう。



 しかし・・・

 魔石に魔力を溜めるのは良いのだが、コレをどうやって使えば良いのだ?お湯が出る魔石にすればいいか・・・でも、出続けたら溢れるな。


 まぁ、いいか。

 魔石を使ったことにして普通に魔法を使おう!


 それなら冷めないお湯を溜めておけば楽だろう。

 あ、減らないってのもいいな。


 うーん・・・。



 そうだ!


 まず適温のお湯を溜めて・・・と。

 私の魔力が溜まった魔石には『現状維持』の魔法をかけて、お湯にぶち込む。


 これで魔力が切れるまでいつでも適温で清潔な風呂に入れるはずだ。前世でいう24時間風呂である。イヴォンネにもきっと喜んでもらえると思う。




「お待たせ。いや〜♪ 貴族に洗濯押し付けられる心配もなく自分の洗濯できるっていいわ〜!」

「それは何よりだ」


「じゃあ、食堂へ行こうか」

「うん、行こう。腹が減った」




 食堂へ行くと結構込み合っていた。

 食事を取りに並ぶ生徒は10人ほどだろうか。


 まだ気を使って並ぶのを戸惑っている平民らしき生徒もいるが、私達は貴族を気にすることもなく普通に並んで、待っている子達も呼んでみた。

 女生徒は洗濯場での騒動を知っている子だろう、おずおずと私達の後ろに並んだ。

 その様子を訝しそうに眉間にしわを寄せて見ている貴族もいたが、知らん顔をする。


「大丈夫だ」

「う、うん・・・」


 あと5人で順番が回ってくるという頃、大勢の男子生徒が食堂に入って来た。多分高等部1〜2学年くらいだろう。

 そして当たり前のように私とイヴォンネの前に並ぼうと近付いて来たのだが、譲ろうとしない我々に目を吊り上げて怒鳴った。


「早く退け!」

「何故退かねばならんのだ?」

「は?何を言ってるんだ」

「何故先に並んでいる我々が退かねばならぬのだと聞いている」


「なにをっ!」

「分かった!この眼鏡チビ、編入生だ。ここの常識を知らないんだよ」


「そうか…よく聞け眼鏡チビ。平民は貴族である俺達より先に並んではならない。分かったら退け!」


 胸を張って言うことか。


「そんな常識はない。勝手に学園の法を変えるな」

「なっ!!」

「この学園では身分による差別はご法度、罰せられるのはお前達だ」


 言い合いをしているうちに順番が来た。


「ほら、すぐに順番が来る。大人しく待て」

「なっ!このチビ!!」


 チビチビうるさい奴だ。


「イテテテ!」


 殴りかかって来るのを片手で受け止めてイヴォンネに言った。


「イヴォンネ、同じもので良いから私の分も頼む」

「はーい!」

「君達も続いて」

「は、はい!」


 ビクビクしながら私達のやり取りを見ていた平民の女生徒達も促してやると、調理のおばちゃんはニコニコ笑いながら手際よく次々と料理を出して行く。



「離せっ!」

「殴りかかって来たのはそっちだろう?私は受け止めただけだ」

「クッ!」

「ほら、すぐに順番が来ると言ったではないか、もう次だぞ」


「クソ!覚えてろ!」

「ああ、そこまで忘れっぽいわけではないので安心しろ。お前の顔は覚えた」

「・・・・・・!!」


 ブッ!

 ププッ…!

 クククク・・・


 所々から潜めた笑い声が聞こえる。

 確かに面白い程に阿呆な貴族だった。



 二人分のトレーを運んでくれたイヴォンネに礼を言って席に座ると、待ち構えていたようにイヴォンネが畳み掛けてきた。


「ちょっと!ヨーコってば強いのね!自分より大きな男の人を片手でパシっと止めちゃうんだもん、かっこ良かったわ!」


 一緒に並んでいた女生徒達もウンウンと首を縦に振っている。何か首振り人形が並んでるみたいで面白い。


 せっかく平民の女生徒が何人かいるので風呂の順番について聞いてみたら、順番は貴族の後でも構わないが、結構遅くなる事が多くて困ると言う。

 酷い時は10時近くになる事もあるそうだ。


 ふむ・・・これは時間制限が必要か?


 彼女達が他の平民の意見も集めてくれると言うのでお願いした。ならば私は貴族の意見を集めてみようか・・・。一方的な調査は良くないからな。



 そんな事を考えていると、先程の阿呆貴族達が食事を終えて立ち上がったのが視界に入った。

 案の定、奴らは自分が使ったトレーを片付けずに出て行こうとしたので呼び止めてやろうと思ったら・・・


「おい、片付け忘れてるぞ」


 近くに座っていた男子生徒が言った。


「なにっ!?」

「こ・れ、片付けて行けよ」

「そんなの・・・」


 何かを言いかけて口をつぐみ、「チッ!」と舌打ちをしてトレーを持った。

 あれは、言われたのが年上の貴族だと分かったからかもしれない。平民の言うことを聞いたわけではないのだが、改善していこうという気のある貴族もいるのだと思うと嬉しくなった。


 例えそれがクラスメイトであってもだ。



 あれはバレてるな・・・。


 グッジョブポーズしてくるしな・・・。



 とりあえず、私もコソッと親指を立てておいた。






 部屋に戻る途中ふと思い立って、イヴォンネにあのミーオンとかいう貴族令嬢の部屋を知っているか聞いてみた。


「うん、私達の部屋の真上だったと思う」

「そうか、ちょっと行ってくる」

「え?なんで!」


「風呂の順番についての意見を聞きたいからだ」

「ええー!それをわざわざあの人に聞くの?」

「他に適任が思い浮かばない」

「ポリセキナ様やローレンティア様の方が良くない?」

「駄目だ。彼女達では、彼女達によく思われたくて本音を言わないかもしれない。まぁ、逆もあるがな」

「そうだよ!ミーオン様に聞かれたらミーオン様に同意しないと…って思うよ」


 確かにどっちもどっちか。

 どうするのがいいか・・・。



「寮監にお願いするのはどう?」

「それは名案だ!」


 全員に聞いて回るのは寮監にも迷惑だろう、ここはアンケート用紙を準備して回収してもらうのが良いな。


「イヴォンネ、ありがとう!」


 早速準備しよう。

 どうせなら、男子寮の分も同時進行だ。


 だが、男子寮の寮監ってどんな人だろうか。女子寮の寮監のように良い人ではなかった場合、情報を握りつぶされる可能性がある。


 よし、ここはデヴィッド君に聞いてみよう!


 イヴォンネを「ゆっくり入って来い」とお風呂にぶっ込んでから、デヴィッド君を探して・・・


『デヴィッド様』


「あれ?」


『デヴィッド様、アシュリーです』

『あ、アシュリー様だぁ♪ どうしたの?』


『お聞きしたい事があります。男子寮の寮監はどのような方でしょうか』

『うーん・・・どっかの貴族の四男だったかな?』


 貴族の四男・・・それは微妙な・・・


『悪い人じゃないけど、権力には弱そうな感じ?』

『あ、何となく分かりました!』


『何か頼み事?』

『はい、お風呂の順番についての意見を寮生全員から聞きたいのです。その方法として、紙に書いたものを寮監に回収してもらうのが一番ではないかと思ったのですが・・・』


『男子寮の奴らは、テストでもなきゃ、紙に書いて提出なんて面倒なこときっとやらないと思う』


 そうか!


『うん、それより権力者に回収させた方が集まるよ』

『権力者・・・』

『この寮生で一番高位の貴族はコナー・ハミルトン様だよ』


 なんと!

 コナー様はハミルトン侯爵家のご子息だったのか!


『うん、アシュリー様知らなかったの?噂になってたのに』

『噂ですか?』


『あの孤高のコナー様が、眼鏡の小さい子と仲良く勉強会をしていたって』


 眼鏡の小さい子・・・多分「眼鏡チビ」の事だな。


『ははっ!分かっちゃった?』

『先程何度か言われました』

『そうなんだ、何かあったみたいだね。僕も見たかったなぁ〜♪』


 見なくて良し!


『アシュリー様、コナー様と仲良いんでしょ?頼めないのかなぁ・・・無理そうなら、僕が回収してもいいよ♪それほど権力ないけど』

『仲が良いというわけではないのです。ただ算術を教えているだけで・・・』

『え!?そうだったの?』


 あれ?

 これって言わない方が良かったかな?


『大丈夫、僕は口は堅いよ』

『はい!内緒でお願いします』


『じゃあ、僕と兄上でお風呂の順番についての意見を集めるね』

『良いのですか?』

『うん!面白そう♪』

『ありがとうございます!』


『またこうして思考でんわしてきてね♪ アシュリー様と頭で会話すると、普通に話すよりすっごい面白いから大好き!』


 そ、そうか・・・


『うん♪』


 次は男子寮の様子も見たいから、その時は協力してもらおうか・・・


『え?アシュリー様、男子寮にも侵入するの?』


 ん?


『あ、そうか。くろべえ君に隠れていれば誰にもバレないね!』


 んん?


 あっそうか!

 頭で考えた事は全部伝わるんだった!


『うん、今までずっとそうだったよ。だから面白いんだ〜♪』


 そ、そうか・・・そういう事か・・・。


『男子寮に来るなら、まず僕の部屋へ来るといいよ♪』


 まだイヴォンネは風呂だ。

 少しなら良いだろう。


『分かりました、今すぐ行きます!』


 思考電話を切って、ちょっと反省した。

 まぁ、デヴィッド君にはこの言葉使いが演技ではなく本性だと大概バレていると思うので今更か。


 とりあえず、男子寮の調査だ。


『クロベェ!デヴィッド様の所へ!』


ブォン!



「いらっしゃ〜い♪」

「おう、よく来たな」

「お邪魔します!」


 部屋の造りは全く同じなので、特に違和感もなくデヴィッド君の部屋に降りると、ムハンマドもいた。

 そうか、同室なんだな。


「男子寮で何を調査するの?」

「洗濯を押し付けられているかどうかを調査します!」

「そっか、僕は洗濯場には行かないけど、兄上は前はよく行ってたよ」

「ムハンマドは洗濯を自分でしているのですか?」

「今は洗浄魔法ってのを教わって練習中だから行ってないけど、前は毎日行ってたぞ」


 そうか・・・。


「俺が洗ってると、貴族の奴らはそそくさと逃げてくんだよな・・・」


 ふむ・・・それは押し付けようとして洗濯場へ行ったら、いたのがムハンマドで驚いて去って行ったという所だろう。


「これは女子寮より頻度が高そうですね」

「男子生徒の方が洗濯物多いんじゃない?洗浄魔法は少なくとも水魔法は使えないと出来ないし、本当に綺麗にしようと思ったら、水と風と地の魔力が必要かな。そうじゃないとどんどん薄汚れていくらしいよ」


 そうだったのか!

 デヴィッド君は詳しいのである。


 地の魔力は何の為に必要なのだろう…漂白剤になるような鉱物があるのかな?自分は『綺麗になあれ』と願えば綺麗になってしまうので、魔法の原理は全く理解していなかった!


 今度、ロバート先生にちゃんと教えてもらおう。



「では、洗濯場を調査して来ます!」

「行ってらっしゃ〜い♪」

「頑張れよ!」



 男子寮の洗濯場に張り込んですぐ、キョロキョロしながら平民らしき男子生徒が洗濯場へやって来た。


「今のうちに・・・」


 貴族が来ないうちにやってしまおうと思っているのか、すごい勢いで洗い始めた。

 その洗い方では布が破れるのではないだろうか。



 しかし、彼の努力も虚しく、洗濯場にニヤニヤしながら入ってくる男子生徒2名。早速来てくれて助かるぞ、あんまり時間ないからな。


「おや?先に使われてるなぁ〜。俺達用事があって急いでるんだけど」


 そう言って、山盛りに洗濯物が入った籠を水場にデン!と置いた。


「ど、どうぞ!お先にお使いくださ・・・」

「俺達のも洗っといてよ」

「えっ!それは・・・」

「ああん?文句あるのか?」

「・・・えっと」


『クロベェ、奴らの洗濯物を取ってきて!』


ブォン!


 目の前から籠が無くなったのを見た、平民の男子生徒は目を真ん丸にして驚いているが、阿呆貴族達は気付いていない。


「じゃあ、俺達の部屋、38だから」

「洗い終わったら届けろよ」

「あの・・・洗濯物はどこに・・・」


「はぁ?ここにあるだ・・・ない!」

「おい!どこにやった!」

「いえ、僕は知りません!!」


「どういう事だ!」

「落として来たか!?」

「あんなもん落とすかよ!」

「探せ!」


 ハッと我に返った平民の男子生徒は、ギャーギャー喚いている貴族は放置して、そそくさと自分の洗濯を終えてその場を去って行った。



 ふむ・・・


 この臭そうな洗濯物はどうするか。



 デヴィッド君達の部屋に戻って、今あった事を話したら、


「俺が落し物だって言って寮監に届けてやるよ」

「お願いします!」

「ねぇ、それ洗っておいてあげたら?」


 ん?

 どういう事だ?


「落ちていた洗濯物を『兄上が』洗ってあげたって聞いたら、その貴族達どうするかな〜って思って」


 そういう意味か!


「そりゃいいな!ただ拾われるより衝撃的だ」

「ならば私が洗いましょう!」

「おお!アシュリー様の洗浄魔法ならピッカピカだな!」


 任せとけ!


『すっごーく綺麗になあれ!』


 洗濯物はピカーー!っと色々な色に光り輝き、買ったばかりかそれ以上に美しくなった。ちゃんと畳まれてるし!



「すげーな!じゃあ届けてくるわ」

「「行ってらっしゃ〜い!」」


 ・・・と言いつつ、デヴィッド君と二人でクロベェに運んでもらって後をつける。



 ムハンマドが寮監に洗濯物を届けている所へ、先程の阿呆貴族達がやって来た。


「ああ、君達の洗濯物だったのか!あんまり汚いから洗っておいたぞ」

「「えっ!!」」


 わざとだと思うが、ムハンマドの声は大きい。

 周囲の多くの人達が一斉にムハンマド達の方を振り向いた。


「洗濯はな、平民の生徒に押し付けるより属性の多い貴族に押し付ける方が綺麗になるぞ!」

「「ええっ!!」」


「あいつらムハンマド様に洗濯させたのか・・・」

「いや、平民に押し付けたのをムハンマド様が助けたのかも!」

「うわぁ!」

「あいつら終わったな・・・」


 色々な憶測が飛んでいる。


 ムハンマドは真っ青になる阿呆貴族にペコペコと礼を言われたが、「自分は大したことは何もしてない」と事実を述べて帰って行った。


 まぁ、本当に何にもしてないからな。




「おい、あの洗濯物見てみろ!」

「すごい綺麗だぞ・・・」

「ムハンマド様の魔法は素晴らしい!」



 そんな噂も広まった為、ムハンマドは必死で洗浄魔法を上達させなければならなくなったという、大変良きおまけ付きである。



 頑張れムハンマド!






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