終えるまでやめるな、さもないと変わらない
ジレンマは、いっしょうけんめいに木を切っています。
カーン。
カーン。
いっしょうけんめいに、よく切れないオノで木を切っています。
キツネはジレンマに言いました。
「つまらない決まりばかりじゃないか。それなら庄屋さまにオノを返すとき、いっしょに川の石も渡せばいいんだ。庄屋さまのオノなんだから、庄屋さまが削ればいいんだ」
キツネはぷりぷりと怒ります。
「オノの刃がこぼれて役に立たないと、ケチんぼの庄屋さまに言ってやればいいんだ」
「とんでもない。庄屋さまにそんなことを言ったら、もう僕にオノを貸してくれなくなるよ。僕の使いかたが悪いから、オノの刃がこぼれたんだと言われてしまうよ」
カーン。
カーン。
「オノを貸してもらえなくなったら、僕は生きていけなくなるよ。僕には木こりしかできないからね」
カーン。
カーン。
「それなら、ええと、どうしたものかな」
キツネは、うーんと考えました。
しばらく考えると、ぴんと耳を立てました。
「そうだ、こうすればいい。すごいことを思いついたぞ」
「なんだいキツネさん。すごいことって」
「1日に木を10本切らなければいいんだよ。最初から1日10本なんて、無理だったんだ」
キツネはえへんと説明します。
「庄屋さまに言えばいいんだよ。木を切るのは、1日に8本に減らしてくださいって言えばいいんだ」