定時で終える人もいる終えられない人もいる
ジレンマは、いっしょうけんめいに木を切っています。
カーン。
カーン。
いっしょうけんめいに、よく切れないオノで木を切っています。
キツネはジレンマに言いました。
「あのケチんぼの庄屋さまか。いや待てよ、それならいい方法があるぞ。オノを2本貸してくれれば、1日に11本の木を切ると約束すればいいんだよ」
「1日に11本も木を切れないよ。10本がせいいっぱいさ」
カーン。
カーン。
「オノが2本あれば、11本なんて簡単に切れるさ」
「そうじゃないんだよ。1日に切っていい木は10本までと決まってるんだ」
カーン。
カーン。
「みんなが切りたいだけ木を切ったら、山から木が無くなってしまうからね。ひとりが1日に10本しか切っちゃいけない決まりなんだ」
カーン。
カーン。
「なんてつまらない決まりなんだ」
キツネはあきれてしまいました。
「それならこうしよう。川の石をひろって、家に持って帰るのさ。帰ってから、ゆっくり家でオノを削るんだ。そうすれば朝、川に行ってオノを削らなくてもいいだろう?」
「だめなんだ。オノは毎日、仕事が終ったら庄屋さまに返さなくちゃいけないんだ」
「むかし1日10本の決まりを破って、夜にも木を切った木こりがいたらしいんだ。だからオノを毎日返さないといけない決まりができたんだよ」