オランド侯爵家の末路
あれから一月後。
私は陛下から呼び出しを受け、オーギュ様と共に登城しました。
ジスラン殿下の調査が終わり、私も関わった者として結果を知る権利があると呼んで下さったそうです。
あれからオランド侯爵様とリアーヌ様は、殿下殺害未遂の容疑で厳しく取り調べられました
聖女を騙る事も罪ですが、やはり呪いと化した青虹玉をお渡しした事は殺害未遂とみなされました。
殿下が、リアーヌ様から受け取ったもので間違いないと証言されたのが決め手となったそうです。
全てはオランド侯爵が、リアーヌ様の願いを叶えようとしたのが発端でした。
殿下に一目惚れしたリアーヌ様は一時期、殿下と結ばれなければ生きている意味がないと思い詰められたのだとか…
侯爵は聖女の力も呪いも懐疑的で、目に見えないものなら誤魔化せると思ったそうです。
その頃、聖女の力を持つ娘が侯爵家で働き始め、別で青虹玉を譲り受けるという偶然が重なったのも大きかったのでしょう。
侍女の力を込めたお茶と青虹玉をリアーヌ様に持たせ、力がある様に見せたそうです。
実際、お茶で殿下の呪いは弱いながらも防げたのですが、これがよくなかったのでしょう。
侯爵は最後まで聖女の力に否定的でしたが、貴族籍を剥奪の上、南方の鉱山で死ぬまで無給労働となりました。
リアーヌ様は自分は何も知らなかった、殿下をお慕いし力になりたかっただけだと仰っていたそうです。
でも、殿下が寝込まれると私に罪を被せようとしたため、誰もその言葉を信じませんでした。
彼女も貴族籍を剥奪の上、国内で最も厳しいと言われる神殿で、死ぬまで無給奉仕となりました。
また、聖女の力を使っていた侍女も、王族殺害の共犯として一生神殿で無給奉仕となりました。
殿下の呪いを受けているのではと心配していましたが、大聖女様の話では青虹玉の持ち主は亡くなっているらしく、呪いの力自体は弱かったようです。
ただ…殿下の身体と呪いへの耐性が弱すぎて重体になったんだそうです。
「刑が軽すぎるのではありませんか?」
三人の処分に、その様な声が上がりましたが、それを収めたのは宰相様でした。
「いいや、今まで優雅に暮らしていた分、死ぬまで働く方が辛いでしょう。特に元侯爵は持病もあります。長くはもちますまい…」
「…左様ですか…」
知らぬ仲ではないお二人の末路に、皆様、複雑な思いを抱えておられるようでした。
「元侯爵は…妹君の二の舞を恐れたのでしょうな…」
「ああ、エレイン様か…」
エレイン様とは、侯爵の妹君だそうです。
本気で陛下をお慕いしていましたが政治的な理由で選ばれず、その後失恋を苦に寝込んでしまったそうです。
そんな中で流行り病を得て治癒魔法を受けたのですが、甲斐なく亡くなられたのだとか。
「彼も…妹君の事がなければ、ここまではしなかったのでしょうが…」
そうでしたか。
どうして聖女の力を信じないのかしらと思っていましたが、そんな事情があったのですね。
それに、リアーヌ様の思い詰める性格が妹君に重なったのかもしれません。
オランド侯爵家は伯爵家に降爵の上、お二人とは全く繋がりがない方が継承される事となりました。
家族は領地で監視付きの生活を一生送る事になるようです。
お二人は近々、それぞれの流刑地に送られるそうです。




