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オーギュ様ご帰還の日

夜が明けました。

結局私は、一睡も出来ないまま朝を迎えました。

さすがの私も、今後の事を考えると呑気に寝ていられませんでした。


今日はオーギュ様がご帰還される日です。

討伐隊の帰還は、市民も出迎えてちょっとしたお祭り感覚です。沿道には人が集まり、王都の城門から王宮の隣にある騎士団までの道のりはパレードのような感じになります。


私も婚約者として、おめかししてオーギュ様をお迎えする予定でしたが…

今はお迎えどころか、ここから出る事すらも叶いません。


沿道を行くオーギュ様はさぞかしご立派でしょうに、その晴れ姿を遠目ですら見る事も叶わないなんて…悲し過ぎて心が張り裂けそうです。

それに何よりも…お怪我をされなかったか、ご無事かどうかを確認したかったのです。


どうせなら逮捕されるなら、ご帰還になられた時のお姿を見たかったです。

いえ、逮捕される様な覚えは全くないのですけど。


今の私に出来る事と言えば、せいぜい聖女の祈りでオーギュ様に祈りを捧げるだけ。

せめて青虹玉を介して、私の気持ちがオーギュ様に伝わるといいのに…


でも、王族殺害容疑がかけられた私の青虹玉など、オーギュ様には忌まわしいものかもしれません。

オーギュ様は真面目過ぎるほどに忠誠心の篤いお方ですから。

せめてあの石だけでもオーギュ様のお側に…と思うのは我儘でしょうか…


お昼過ぎには、この牢のある場所にも市民の歓声らしい声が届きました。

きっとオーギュ様たちが騎士団に到着されたのでしょう。

騎士団の建物は王宮のすぐ隣にあります。残念ながらこの場所からでは騎士団の建物は見えませんが…


結局この日は、何の呼び出しもなく、ただ部屋に拘束されているだけでした。

陛下達も討伐隊が戻ってきたため、何かとお忙しいのでしょう。勿論、オーギュ様も。


何もないというのは、かえって不安や恐怖を育てるのだと、私は生まれて初めて実感しました。

この部屋のある区画は殆ど人の出入りがないようですが、時折部屋を見張る騎士たちの靴音が響きます。靴音が近づく度に呼び出しだろうか…何だろう…とドキドキするのですが、これは結構きついです。

いくらなんでもいきなり処刑…という事はないとは思いますが…


それでも、王族への加害は理由に関係なく死刑です。

しがない伯爵家の娘など、十分な捜査なしで処刑されても仕方ないのかもしれません。

そうなれば、我がフェリアール家は反逆者の一族として爵位や地位は剥奪の上、よくて平民に降格か国外追放、場合によっては一族まとめて処刑です。

王族への加害は、それほどまでに厳しいのです。


こんな事なら、殿下からの招待を受けなければよかったですね。

もちろん、一伯爵家に殿下からのご招待を断る事などできませんが…

仮病でもなんでも使って辞退しておけば…

いいえ、殿下とリアーナ様が呪いについての正しい知識をお持ちでいらっしゃったら…

そう思わずにはいられません。


…って、あれ?

おかしいですわね。

そもそも、どうして私が殺害容疑者なのでしょう?

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