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青虹玉と呪い

「青虹玉…?」


殿下から出てきた言葉に、私は驚きを隠せませんでした。

青虹玉は聖女の力がある者で、一定の力があれば作る事は可能ですが…

あれは一生に一度、たった一つだけ作る事が出来る希少な物です。

それに…


「そうだ!青虹玉だ!あれがあれば、呪いを一生退ける事が出来るんだろう?」


ああ、この事はご存じだったのですね、殿下も。

確かに青虹玉は、呪いを退ける力があります。


誰かを想って聖女が力を籠めて出来上がるのが、青虹玉です。

その出来上がった青虹玉を相手の身体に取り込ませ、取り込んだ人への呪いを青虹玉を作った者に変換し、一生呪いから守る。

これが青虹玉の真の使い方です。


つまり、青虹玉を作って相手に渡すという事は、相手の呪いを引き受けるという事。

これは、力がある限り二人分の呪いと戦わなければいけない事を意味します。

そう、呪いの数や量によっては、命の危険にもかかわるのです。

だからこそ、私が殿下の婚約者に選ばれたのです。


でも、私の青虹玉はもうオーギュ様にお渡ししています。

私とオーギュ様は結婚するのですし、私が自主的に作ってお渡ししたので問題ありませんが…


そんな大事なものを、殿下に差し上げる義理なんぞ、微塵もございません。

ええ、婚約者でもなんでもない赤の他人に、青虹玉を渡せと言うなんて意味が分かりません!


「大変申し訳ございませんが…それでしたらリアーヌ様がお作りになった青虹玉をお使いになってください」

「リアーヌからはもう青虹玉を貰った」

「ええ?」


 それは意外でした。あまり力があるように見えなかったリアーナ様が青虹玉をお作りになったなんて…

あれは聖女の力の結晶なので、かなりの力と時間をかけなければ出来ない代物です。

それをもう、私が作るより先にお作りになったとは…

リアーナ様って、思った以上にお力があるようです。


「それならリアーナ様の青虹玉をお身体に取り込んでは?結婚されるのでしたら問題ありませんよね?呪いをリアーナ様に引き受けて頂ければよろしいのではありませんか」

「は?」

「ええっ?」


え?どうして二人とも、そこで驚かれるのかしら?

青虹玉の使い方、ご理解していなかったのかしら?

ああ、それともまだ正式に婚約していないから出来ないとか?

でも…別に純潔は関係ないし、問題ないと思うのだけれど…


「呪いを引き受けるって…」


リアーナ様が目に見えて戸惑われていますが…どうなさったのでしょう?

私と殿下の婚約は、最初から呪いを引き受けるためのものです。

それが解消され、新たな婚約者がリアーナ様になった今、リアーナ様が呪いを引き受けるのはある意味当然なのですが…


「殿下と私の婚約は、最初から呪いを引き受けるためのものでした。それが解消され、リアーナ様が新しい婚約者になられたのでしたら、そのお役目はそのままリアーナ様のものとなります」

「そ、そんな…」

「青虹玉は聖女の力。二人から受け取れば、殿下の御身に何が起こるかわかりません。最悪お命の危険に晒される可能性もあります。さすがにそれは陛下のご命令を破る事になるのでお受けできません」

「…」


リアーヌ様が青ざめて黙り込んでしまわれましたが…大丈夫でしょうか?

そして、さすがに殿下も、力の二重掛けには慎重のようです。それもそうですね、下手をすると今以上に状況が悪化しますし、最悪命の危険もあるのですから。


「分かった。では、青虹玉をどう使えば呪いを防げるんだ?」

「それは…ただ、青虹玉を飲み込まれるだけですが…」


 あれ?そんな簡単な事もリアーナ様はご存じではないのだろうか…何だか嫌な予感がしてきたわ…でも、青虹玉を造られたというし、単に忘れてしまったのかしら?

何だか雲に包まれたような変な感じがしますが、リアーナ様は殿下の婚約者で聖女の力をお持ちなのです。滅多な事はないでしょう。

そのまま私は、殿下の元を辞したのでした。



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