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婚約破棄?待ってました!

「アルレット、お前との婚約を破棄する!」


私はアルレット=フェリエール。伯爵家の長女で、現在花の17歳。

今日は珍しく婚約者でもあるジスラン第三王子に呼び出されたから何事かと思ってお伺いしたけれど…


部屋に入った途端にいきなり婚約破棄を言い渡されました。

王族のくせに挨拶もなしとは、もうため息しか出ません…


しかも殿下の隣には、麗しい令嬢が並んで座っています。

赤みのある金髪はふんわり柔らかそうで、オレンジ色の瞳はキラキラ輝いていて、何と言うか…もう、守ってあげたい!と思わせるタイプですね。


一方の殿下も輝く銀の髪に晴れ渡った空色の瞳、女性とも見紛う繊細で秀麗なお顔をお持ちで、二人並ぶと実に絵になる組み合わせですが…一つ問題が…


それは、婚約者の私を差し置いて、と言う点です。

この国は兄弟でもない婚約していない男女が、同じ部屋で二人きりと言うだけでも問題ですが、同じソファに座る二人の間には殆ど隙間がないなんて、人に知られたら大問題です。

うん、この時点で言いたい事は理解したわ。でも…


「理由を伺っても?」


とにかく理由を聞かなければ話は始まらないので、私は義務感から理由を尋ねました。

正直言って理由なんてどうでもいいです、婚約破棄してくれるなら。

軟弱でナルシストで訳ありの王子、王子の事情で否応なしに決められたというのに、歩み寄ろうともしない男に愛情を持てるほど私は優しくありません。


「お前が俺の婚約者になった理由は知っているな」

「ええ、勿論です。殿下が呪いにかかりやすい体質でいらっしゃり、私に聖女の力があるからです」

「そうだ。お前が選ばれたのは聖女の力故。だったら、同じ聖女の力を持つ者ならば誰でもいいという事だ」

「そうですわね」

「よって俺は、同じ聖女の力を持つ、このオランド侯爵令嬢リアーヌと婚約し直す事にした。伯爵家よりも侯爵家の方が俺の後ろ盾としてふさわしいしな。お前の力はもう必要ない」

「…左様でございますか。では、婚約破棄の件、承りました」

「ふん、聞き分けがいいな…まぁ、騒がれても面倒だからいいが。では下がれ」

「はい、失礼いたします」


そう言うと私は一礼して部屋を辞しました。

殿下の隣では、リアーヌ様がお綺麗な顔を歪め、蔑むような目で私を見ていたけれど…


正直に言いましょう、婚約破棄、万歳!

これが喜ばずにいられましょうか…!


そう、私はこの婚約を、死ぬほど嫌がっていたのです。


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