90.腹を括りました
中々更新日が安定しなくて申し訳ありません
思いの外時間が取れずにズルズルときてしまっているので安定していきたいです
「いやー、ごめんね。いきなり来ちゃって。迷惑だった?」
「そんなことはない。むしろ驚いてしまいすまなかった」
「驚かせるつもりだったから気にしなくていいよ」
「ああ、ならよかった········」
しばらくして落ち着いた俺とレイナは一旦装備を外してから先に寛いでいる2人の近くに腰をおろした。すると俺が座ったタイミングでリンは近寄りさも当然の様に俺の膝の上に座ってきた。前にもこんな事はあったんだが······慣れないな。当たり前といえば当たり前なんだけど。レイナとは違い軽く柔らかい感触と共にいい香りがしてくるなんとも······って俺は何考えてるんだ。馬鹿な事は考えるな。
そんな俺の気持ちを他所にリンはニコニコととても嬉しそうである。そしてこの冒頭の会話に戻る訳である。
それにしてもレイナは俺の今の状態に思うことは無いのだろうか?いや、前からリンの事も考えておけとは言われてたから今更文句は言わないだろうが·····正直それでも俺は居たたまれない気持ちがあるんだけど。そう思い横目でレイナを見ると既に何処からか取り出した酒を手にレヴィアと飲み交わしていた。気にしないんかい。俺は再度なんとも言えない感情になっているとリンは俺の両手を手繰り寄せ自分のお腹の方へと持っていった。
「········リン、何してるの?」
「えへへー、こうすると落ち着くかなぁって」
「いや、落ち着かないんだけど·····てかさっきまでダンジョンに居たから血や汗とかで臭いと思うんだが」
出来れば離れて欲しい。自分の臭いって落ち着いた場になると意外と気になるんだよ。するとリンは俺の胸元に顔を近づけ匂いを嗅ぎ言った。
「んー、確かにするけど今はこうしたいから気にしないよ」
「気にしないって俺が気にしてるんだが······それとわざわざ嗅がんでいい。この状態でも臭っているだろうが」
「そうなんだけどね。でもそうじゃないんだよね」
リンはそう言うと俺の方へと体重を預けはにかんだ。相変わらず可愛らしい笑顔だな。
「どういう事だよ······まぁ、とりあえず満足したろ?降りてくれ」
「まだだーめ。もう少しこのままが良い」
「さいですか」
手繰り寄せた腕をきゅっと掴み離さないリンに俺は観念し言った。
「あらあら、仲が良さそうでなりよりですね。少しはレイナも構ってあげてはどうですか。寂しそうですよ」
「べ、別にしなくてもいいし寂しくはないからな。最近俺が独り占めしてたし····別に気にしなくていい」
レヴィアは俺とリンの様子を面白そうだと思ったのか茶化してきた。レヴィアの言葉に動揺したのか一瞬言葉に詰まりながらも言い返しはしたものの、それでもやはり寂しく思ったのかレヴィアの隣から俺の隣に移動してきた。
レイナの行動にレヴィアは意地の悪い笑みを浮かべながらも言った。
「そうは言いつつ移動してるじゃないですか」
「········うっせえ」
むすっとした表情でそう返しつつチビチビと手にしている酒を飲んでいる。そんなレイナを見たリンがふと思った事を口に出した。
「·······レイナって随分変わったって言うか可愛らしくなったよね」
「はぁ!?か、変わってねぇだろ!?」
リンの一言にレイナは顔を真っ赤にしながら声をあげた。リンとレヴィアはレイナの驚き様から分かっていなかったのかと呆れた顔をしていた。
「んー、最初会った時と比べた随分違うんだけど」
「レイナ。付き合いの短いリンでも分かるくらい変わりましたよ。まぁ、私達はルゴウと付き合いはじめてから変わっていったのに気づいてましたが······最近は特にそう思ってましたよ」
「い、いやいや。そんな事無いだろう·····ルゴウもそんなことは無いって思ってるだろ」
「いや、同意を求められても素直にうなずけないんだが·····正直に言うと可愛らしい行動が多かったぞ」
「~~~~~っ!?」
俺が素直に応えると顔を赤らめ、恥ずかしく思ったのか片手で顔を覆い俯いてしまった。本当に自覚無かったんだ。最初の頃の仲の良い友人の様に接していたのだが段々と違う反応見せるようになってきていたから反応に困る時が多かったんだけどな。
「でも私としてはルゴウと出会ったお陰でレイナがようやく多少は女性らしくなってきたのは嬉しい事なんですけどね」
レヴィアは酒を飲みつつ、レイナの成長を嬉しそう言った。まぁ、確かに女性らしい言動や行動はしてなかったよな。いや、今もあまり変わってないか。
「うっせぇな。余計なお世話だよ·····ったく。良いじゃねぇか別に」
「あらあら、可愛らしく拗ねちゃって」
「レイナってば可愛いねぇ」
レイナは恥ずかしさから回復したものの、自分が弄られるのが不服なのかむすっとしながら酒を飲み干し、新しく注ぎなおした。そんなレイナを微笑ましそうにリンとレヴィアが見つめていた。
俺はそろそろ2人が何故ここに来たのか聞こうとしたら、先にリンがふと思い出したかの様に言ってきた。
「そういえばルゴウに聞こうと思ってた事があるんだけどいい?」
「ん?何をだ?」
まぁ、目的を聞くのはこの後でも良いだろうと聞き返した。するとリンは俺の顔を見るためか体を動かし対面になるように膝の上に座り直して言った。
「ルゴウってレイナとどこまで進んだの?」
「へ!?」
いきなりの質問内容に思考が追いつかず変な声を出してしまった。リンは俺が理解してないと思ったのか俺の目を見ながら再度言ってきた。
「レヴィアから聞いてはいるんだけど、直接聞きたいなと思ってたんだ。ルゴウとレイナって実際どこまでシたの?」
「あー······えーっと·····」
そんなハッキリ聞くもんかね。動揺し過ぎてたぶん俺の目は泳ぎまくってるぞ。ハッキリ応えるべきなのだろうが········いや、決心はついてはいるんだ。今更怖じ気づくことは無いだろう。それに散々レイナにも言われていたからな。度胸だ、度胸。
俺は一度目を瞑り、気持ちを落ち着かせリンの目を見ながら言った。
「レイナとは恋仲として付き合いはじめている。体の関係も持っている」
俺がそう言うとリンは俺の目を見て何かを納得したのかニッコリと笑った。
「そっか。良かったぁ。レイナも良かったね。おめでとう」
「お、おう·····なんか先ですまないな」
「いいよ。こう言うのは早い者勝ちだと思うし」
「ありがとうな」
一瞬もしかしたら殺伐とした雰囲気になるかもと考えてしまったがそんな事にはならなくて良かった。俺は密かにほっと胸を撫で下ろそうとした時にレイナがリンに親指を上に突きだしながら言った。
「次はリンの番だから頑張れよ。ルゴウには説明したから問題ねぇぜ」
「うん、ありがとう」
············それ、本人の目の前で話す事なのかね?そりゃ俺も納得済みな事なのだが普通はこれ許される様な事じゃないだろう。もしかしたらこの世界ではこれが常識なのかもしれないが·····前世の価値観が邪魔してくるんだよなぁ。
若干置いてきぼりの俺を他所にリンは再度俺に向き合いながら口に出していった。
「レイナから説明あったと思うけどもう僕の口から一度言うね。あの日ポイズンスネークから助けてもらった時、一瞬だったけど人の姿に見えてそれがカッコよくて·····見間違えかなとは思ったんだけどそうじゃ無かったんだ。その後ルゴウに興味を持ちはじめてからはどんどん好きになっちゃって·····人間よりも人間らしいところとかも、全部好きになったんだ。だから、その·····僕の事も好きになってもらえないかな?レイナみたいに。いっぱい」
少し照れながらも口に出した言葉に俺もなんだか照れ臭くなって頬を指でかいてしまった。だが、俺は既に心では決めていた事なので手を止めリンを見つめ返し言った。
「好きになってくれて本当に嬉しい事だと思っている。俺もリンの事は好きだ。明るく元気なところや人懐っこいところ。リンが俺に抱いているであろう感情も何となく分かっていた。ただ、これだけは言わせて欲しい。ゴブリンの俺で良いのか?」
「種族なんか関係ないよ。ルゴウがいいんだ。他の誰でもないルゴウという男の子が好きなんだよ」
「すまない。そしてありがとう。不誠実に感じるかもしれないけどこれからもリンと一緒に生きていきたい。付き合ってくれないか」
「こちらこそ宜しくお願いしますだよ!」
リンは嬉しさを体現するためか俺を抱き締めてきたので俺も背中に手をまわしそっと抱き締めた。リンは離さないと思ったのか更に腕に力を入れ強く抱き締めてきた。本当に俺はこっちの世界に来てから恵まれていると思う。人間ではなくゴブリンとして考えても十分にそう感じている。通常なら考えられないだろう。2人の恋人が出来るなんて。本当に幸せ者だ。
しばらくリンと抱きあっていると俺の腕を誰かがつついてきた。俺がそれに気づき顔を少しリンから離し目を向けると少しむくれた顔をしながら今度は袖をクイクイとひっぱているレイナがいた。
「······もういいだろ?今度は俺の番だからな」
ボソッとそう言うレイナを可愛らしく思い、リンの背中を軽く叩くとリンもレイナに気づいたのかくすりと笑い俺の頬に軽くキスをしてから離れた。
「はい、どーぞ。レイナも寂しかったんでしょ。僕は少し満足したから代わってあげる」
「べ、別に寂しくは······あったけどよ。えへへ」
強がりを言おうとしたが止め、嬉しそうに俺に抱き着いてきたので俺もレイナを抱き返してあげた。本当に思う。なにこの可愛い生き物。リンも可愛いんだがレイナの甘える時のこの破壊力はヤバい。
「レイナって本当に可愛くなったよねぇ。普段からじゃこれは想像出来ないよ」
「だよなぁ。俺も毎度そう思ってる」
「ずるいなぁ。ねぇルゴウ。僕もこれくらい甘えても良いよね」
「ああ、むしろ思う存分やってもらってもいいぞ······あ、いや時と場合によるけど」
「わかったよ!覚悟しておいてね」
ふんすっと両手の拳を握り気合いを入れているリンに苦笑しつつもレイナの頭撫でている。レイナってこうすると凄く嬉しそうにするんだよな。今度リンにもしてあげようかな。
3人の世界を作りはじめていると何だか不服そうな目線が突き刺さってくる。その発信源に目を向けるととても居心地悪そうに干し肉と酒を口にしながら恨めしそうにレヴィアが見ていた。
「微笑ましんだけどすっかり私の事忘れてない?イチャつくのは別に良いんだけど、私の疎外感が半端じゃないんですよ」
「あー、その·····すまん」
俺は申し訳無さそうに言うとレヴィアは雑に干し肉を齧った後、コップの中の酒を一気の呷った。
「いや、良いんですよ。こうなるように私がリンを連れて来たんですし。大体は予想出来てましたが·······正直これは予想以上だっただけですし」
こうなる切っ掛けを作ってくれたのはレヴィアのお陰だったのね。感謝しないとな。でもなんだか申し訳ない気持ちになるよ。
「さあ続き後にしてご飯にしましょう。出来合いで悪いのですがお店で食事を買ってきましたのでそれを食べましょう。さ、レイナもう離れて。少しは満足したでしょ」
レヴィアは気持ちを切り替える為に手を一度叩きそう言うと串肉や唐揚げやらを出し言った。レイナも「おう」と返事をしたが若干名残惜しそうにしていたので俺はもう一度頭を撫でると満足したのか俺から離れていった。これで落ち着くかと思ったが、リンが俺の膝の上に来ようとしたので食事中は止めようと説得しなんとか避けることが出来た。好かれるのは嬉しいんだけどお行儀が悪いからね。
ようやく今日の一段落がついたと思った俺は出された串肉等を頬張りはじめ、そして長い夜が始まろうとしていた。
善行 9/108
この後の展開は文章が長くなりそうだったので一旦区切らせてもらいました
たぶんお察しの通りだと思います
自分が変な事を考えなければですが·····




