88.新たな武器
遅くなり申し訳ありません
書き進めるのに難航してましてようやく仕上がりました
小休止を終えた俺達は部屋の中へと足を運んだ。たぶん魔方陣的なモノから魔物が召喚されるので作戦の建てようがないのでいつも通りに互いにカバーし合う形になるだろう。
中に入るなり来た道は閉ざされ後戻りは出来なくなった。これに驚く事は今更ない。やはり予想通り部屋の中央に魔方陣が浮かびあがるとそこから魔物が次々と這い出て来た。まず先に出てきたのが以前にも見たことがあるゴブリンキング、そして続く様にジェネラルとナイト、メイジが出てくる。そこに見たことはあるが明らかに違うヤツも出てきた。一見するとオークなのだが更にでっぷりと太らせ、自分よりも大きな斧を携えている。その周りにハイオーク、普通のオークも付き従えている。全部で20、30体は居るだろうか。
「おうおう、中々の数だな」
レイナは数の多さに嬉々とした声を挙げ、大剣を抜き正面に構えた。一方俺はというと予想以上の数に辟易としながら腰の剣を2本抜きながら頷いた。
「数が多いのは厄介だな·······やるしかないけどさ」
「おう、気張ってこうぜ」
「あいよ、背中は任せておけ」
「任せた!」
それを合図に俺達は深紅之羽衣、仙気を纏い駆け出していった。先ずは俺が大雑把に狙いを定め爆発重視のファイアボールを2つ手前と奥へと向けて放った。そして直ぐ様、次の攻撃への準備の為に今度はお馴染みのロックシュートを5つ俺の周囲に展開させておく。ファイアボールの爆発は前と後ろで3体づつ巻き込む事が出来たのはいい結果だ。その少し開けた空間にレイナが突っ込んで勢いを殺さず身体を回転させながら大剣を水平に薙ぎ払いゴブリンどもを斬りつけていく。俺も続く様に右手の剣で1体を右上段から斬りつけ、その勢いを軸に身体を回転させ水平に斬りつけていく。ゴブリンどももただ斬られていく訳でもなく俺とレイナに続々と斬りかったり魔法で攻撃してくる。それらを弾き返したり避けたり、レイナにいたっては片手に大剣を持ち替え近くのゴブリンを掴んでは盾にしたり投げ飛ばし攻撃の手を弛めはしない。オークはというと連携して動くゴブリンと違い自分がチャンスだと思ったタイミングで攻撃を仕掛けてくるので避けるのは容易であったり、またゴブリンどもを巻き込みながら攻撃してくる。こちらとしては数を減らせるので非常に有難いが敵で在ることには変わらないので倒させてもらう。
魔物の数がどんどんと減っていき残るはドでかいオークとハイオークが2体、ゴブリンキングとゴブリンジェネラルが3体となった。ゴブリンキングとドでかいオークは配下の数が減ったことにより漸く持っている武器を構えはじめた。俺とレイナは示し会わせたかのように一度魔物との距離を開けつつ、会話の出来る所まで近づいた。
「ようやくやる気になったようだな」
「重たい腰だことだ。余裕とでも思ってたんだろうか」
レイナは待ってましたという風に口許を吊り上げていた。かくいう俺も気持ちが昂っているのかつられて笑ってしまっている。いかんな。そこまで戦闘狂では無いんだけどな。レイナの影響か?
「ふっ、ルゴウもやっと戦いの楽しさを知ったってか?」
俺を横目で見たレイナがそういってきたので何とも言えない感情になりながらも誤魔化す様に剣を構え直した。
「それよりもさっさと倒すとするか」
「へいへい、だが後でしっかり聞かせて貰うよ」
やれやれと肩をすくめた後、真剣な表情でオークども見据えながら構え直し駆け出す態勢に入った。
「ゴブリンは任せたぜ。俺は······オークキングだ!」
そう言い残しオークどもに向かって駆け出して行ったレイナに合わせて俺もゴブリンに向かっていった。まぁ、何となく察していたから合わせれたのが幸いだな。この間ゴブリンキングと対峙してたからオークの方に行くだろうなって思ったんだよ。
そんな事は置いておいて目の前に集中しようか。俺の接近によりゴブリンジェネラルがゴブリンキングを守る様に前に出て迎撃体制を構えた。更に自分達の役割が決まっているのか盾持ちが他よりも前に立ち待ち構えている。展開させいるロックシュートをそれぞれに撃ち先手を打たれない様にした。狙いは適当なので盾で弾かれたり武器で防がれたりしたが予想の範囲内である。少しの隙さえ出来れば良かったからな。
俺はまず先頭にいる盾持ちに接近し、自分の持っている剣に仙気と魔力を乗せ斬りつけた。盾持ちはロックシュートの威力に少し仰け反った位だったので直ぐ俺の剣に反応し盾で防ごうとしていた。俺は剣と盾がぶつかる際に次の手を瞬時に考えていたが驚く事が起きてしまった。まさかマンガとかでよくある鉄や石を剣で切り裂くといった事である。普通であれば俺は不可能だと思っていたが、盾持ちの鉄製の厚めの盾が腕ごと綺麗に切り裂かれていた。あまりの事態に一瞬だけ目を見開いたが戦いの最中なので意識を戻し、更に踏み込みながらもう1本の剣で斬りつけた。
これで1体目。次へと意識を向けるとメイス持ちが既に振りかぶっていたので俺はバックステップで距離を取った。俺の元いた場所にはメイスが空を切り地面に打ちつけられた。逃すまいと追撃しメイスを振り回してくるのをロックシュートを展開しつつ剣でいなしていく。そこへ声を荒げながら剣持ちが背後から斬りかかってきている。俺は再び仙気と魔力を剣に乗せ、防ごうとしたメイスごと叩き斬りダメ押しのロックシュートを2本撃ちながら身体を反転させ背後にいる剣持ちの攻撃を片手の剣で受け止め、もう一方の剣を突き出した。剣持ちは突きの軌道から半身をずらし避けようとしたが避けきれず胸を軽く裂くことが出来た。半身をずらしたお陰で受け止めた側の剣の力が緩んだのでそのまま横に薙ぎ追撃する。それを受け止めようとしたがメイスや盾と同様に剣ごと切り裂き、更に踏み込んで逆の方向から反すように今度は両手の剣を揃えて切り払い倒した。
最後はゴブリンキングのみになる。俺の戦いっぷりに恐怖心を抱いたのか若干後退るが、それでも自身を奮い立たせるために怒号を挙げ剣を振りかぶりながら突っ込んできた。完全に隙だらけである。俺は消費した分のロックシュートを補填し、狙いを定め時間差をつけながら射出し駆け出した。ゴブリンキングは足を止め2発までは防ぐ事は出来たが3発目以降は右肩、左足、右脇腹に命中し膝をついた。そこへ俺はクロスを描くように剣を上段から下へと斬りつけた。ゴブリンキングは何とか防ごうとしたものの剣では受け止める事が出来ずそのまま切り裂かれ仕留める事ができた。それと同時にレイナの方も先程まで凄い音がしていたが今は重量物が落ちた音と共に戦闘音はなくなった。
俺は剣についた血を軽く振り払い鞘に納めレイナの方へと歩いていった。
「お疲れ様。怪我は······心配無さそうだな」
「お疲れさん。おう、コイツらぐらいじゃ怪我なんかしないぜ。ルゴウも問題無さそうだな」
「まぁ、流石に疲れたがな」
「ははっ、なさっけねぇな」
「しょうがないだろ。レイナを気にかけながら戦闘するんだからよ」
「わりぃわりぃ、つい戦いやすくて突っ込んじまったんだよ」
「はぁ、いやそうさせるのが俺の役目だから合わせていけば良いんだけどな。流石に支援の範囲外に出られると困るがな」
「気を付けておくよ。まぁ守れる自信は無ぇけどな」
だよね。知ってたよ。ケタケタと笑うレイナに俺は諦める他なかった。
「さてと回収するもん回収したら小休止入れて次の階層へ向かうか」
「いよいよ10階層か。何が出るか楽しみだな」
レイナは次の階層に思いを馳せてるのか鼻唄をしながら魔石を拾っていく。上手いのか下手なのか分からないが機嫌が良さそうなである。俺はそんなレイナについ微笑ましく思いながら同じ様に拾っていく。
さて、お待ちかねの宝箱の開封の時間である。今回のご褒美はなんだろなと内心ワクワクしながら開けると中には·············刀?しかも二刀流で在ることが前提のように大小と二本ある。その傍らには菱形の鉄製みたいな物の真ん中に青い宝石が嵌まっているペンダントと鍵がある。たぶんペンダントは何かしらの効果が有る筈だから帰ってから調べるか。ここで無駄に魔力を消費したくないしな。しかし刀か。まさかこの世界で見れるとは思っていなかった。俺が呆ける様に刀を観ているとレイナが横からひょいと刀を持ち上げ、不思議そうにしながら鞘から抜き刀身を観ては軽く振り、再度首を傾げた。
「なんだこの細い剣は?直ぐに折れそうなんだが·······ハズレか?」
レイナの疑問に俺は首を横に振り言った。
「ハズレではないな。こいつは刀と言って斬ることに特化した物だ。まぁ、肉厚の剣と比べれば折れやすいのは否定出来ないがな。扱いも叩き切るよりも引き切る事で切れ味がより違う·····らしい」
俺の知ってる知識(マンガ等)によるとの話だけどな。正直そんな詳しくないから分からんって。後は無茶をして使い続けるたり硬い物にぶつけると歯零れする位の知識しかないよ。たぶん使うんであれば仙気や魔力で歯零れしないように耐久力を上げないとな。そこは今使ってる剣とあんまり変わらないから問題は無さそうだけど。
「へぇーそうなのか」
俺の説明に納得したのか鞘に刀身を納め俺に突きだしてきた。
「俺には要らないからルゴウが使えよ。そのチグハグ装備がちったあマシになんじゃねぇか」
「チグハグって······そうなんだけどさ。ある程度練習は必要だから帰ってから調子を確かめるよ」
俺はレイナから刀を受け取り魔法袋に仕舞い、ペンダントと宝箱から拾い上げレイナに渡した。
「じゃあこっちはレイナが持っていてくれ。なんか効果在るだろうし」
「あんがとな。鑑定するまで分からないのがネックだが悪い効果でも無いだろうから早速着けておくか」
受け取ったレイナはペンダントを首から下げた。効果が無ければそれはそれで良いか。普通にレイナに似合っているし。
装備と鍵を回収し終えた俺達は次の階層への扉をくぐり、階段で小休止をいれ木の実や水分を補給してから10階層へと進んでいった。
善行 9/108




