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ゴブリンから始まる物語  作者: となりの戸愚呂
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8.ある日の出来事 その2

 


 ーーーー10分経過


「取り乱してごめんなさい、遅くなったけど助けてくれてありがとう」


「ゴブリンさんありがとう」


「ダイジョウブ、モンダイナイ」


 なんとか二人を宥める事に成功した。戦った後の方が疲れるのはどう言うことだろう?


「コレカラ、ドウスル?カエレル、ノカ?」


「帰りたいけども、馬が居なくなってしまったし。それに旦那と御者も····」


「パパ·····死んじゃった」


 困ったなぁ、どうしようか。誰かが通り掛かってくれるのが良いんだけど···


「ココ、フダン、ヒト、ツカウ?」


「えぇ、まだ日も高いから冒険者や商人が通る筈よ」


「ソウカ·····ナラ、イッショ、マツ。フタリダケ、キケン」


「···い、いいの?仲間とか呼んで拐ったりしない?」


「シナイ、ナカマ、イナイ。オレ、ヒトリ」


「···わかったわ、ならお願いするわ」


 そう言って、女は俺から離れて旦那さんの遺体の近くに行った。子供も付いていってる。

 でも、やっぱりゴブリンだから警戒されるよなぁ。しょうがないか。


 俺は約束したので周囲を警戒しながら、盗賊の所持品を物色した。

 え、罪悪感?ないよ。襲ってたコイツらが悪い。

 戦利品としてはロングソード2本と短剣が4本、弓が1つに矢が10本、靴も貰っておくか。水虫は·····よし、コイツは持ってない。でもはく前に洗っておこう。

 後は銅貨····かこれは?お金らしきもの頂いておこう。中くらいの袋と小袋も頂いておこう

 後はめぼしい物は無いな、ってか重い。持てなくは無いけど帰るときしんどいなぁ。


 気がついたら子供がこっちに来ていた。


「ゴブリンさん、何してるの?」


「ツカエルモノ、モラウ。」


「へー、そうなんだぁ」


「·····アマリ、ミナイ、ホウ、イイ。ヨクナイ。ムコウ、イク」


「うん、わかったー」


 ····何故わかったなら離れない、これはあれか?

 俺が離れたら付いてくるのか?


 とりあえず粗方頂戴したから子供の手を引いてお母さんの近くまで行った。

 お母さんは先程まで泣いていたのか目が赤くなっている。


「ごめんなさいね、娘を見てもらって」


「カマワナイ。ソレヨリ、ダイジョウブ、カ?」


「····えぇ、もう大丈夫よ。気持ちの整理も出来たし」


「ソウカ、コドモ、ハハ、トコロ、イク。オレ、マワリ、ミル、モドル」


「えー、一緒にいてよー」


 ······何故に?何か好かれるような事したか?

 俺が困惑していると女から助け船がでた。


「こら、ゴブリンさんも困ってるでしょ。やめなさい」


「でもじゃありません」


「ぶー」


 あまり聞かないぞ、ぶーって言う子。まぁお父さん亡くなった後だし相手して上げても良いかなぁ。


「オレ、カマワナイ。キニシナイ」


「なら良いんだけど···」


「キケン、オモウ、トキ、ハハ、トコロ、モドル。イイ?」


「わかったー」


「何から何までごめんなさいね」


「カマワナイ」


 こうして子供の面倒を見つつ周囲の警戒を行い続けた。その間に子供が腹が減ったと言い、木の実を渡したら美味しそうに食べていた。

 そんなこと光景を母親は優しく見守りなが荒れた物を整理していた。



 それから体感で三時間位経ったときに遠くから人影が見えてきた。武器みたいのを持ってるから冒険者かなぁ。


「ダレカ、クル」


「ママー、誰か来てるってー」


「良かった、誰も通らないんじゃないかと思ってヒヤヒヤしたわ」


 とりあえず、俺は隠れておいた方がいいのかな?ゴブリンが襲っているって勘違いされたら嫌だし。それに俺が倒した盗賊と違って装備が立派だからほぼ冒険者だろう。


「オレ、イルト、ジャマ、ナル。オレ、ハナレル」


「やだー、一緒にいてよー」


 そういって子供が俺を離そうとしない····ってかこの子、意外と力強い!?痛いって、折れる!折れる!


「こーら、ダメよ。我が儘言ったら、離してあげなさい」


「いーやーだー!」


「困った子ねぇ」


 いや、奥さん諦めないでよ!まじで痛いんだって!ヤバイって!


 そんなことをしてると向こうにいた人達が慌ててこちらに向かってきた、来たがこの光景を見て固まった。

 いや、そうだろうな。遠目からはゴブリンが子供を襲ってる様に見えて近づいたら、必死に離れようとしてるゴブリンの手を力いっぱい引っ張ってて、それを母親が困った表情で観てる図なんだから。


 ふと我に返ったのか、何かに気づいて一人が声掛けてきた。


「あれ?君は····ルゴウだったかな。その赤いスカーフは間違えないよね」


「アノトキノ、ヒト?」


「あぁ、間違えないね。君は何してるの?まさか····」


「違うよ、ゴブリンさん私達助けてくれたの!木の実もくれたんだ」


「そうなのか?」


「えぇ、そうなの。私達が野盗に襲われている時に助けてくれたの。そのあとまた襲われないようにって見張りもしてくれたの」


「そうだったんだ、ルゴウ。すまなかったな、そしてありがとう」


「モンダイナイ」


 久しぶりの再開で驚いきはしたがそれは置いておいて何があったのかを母親と一緒に説明していた。その間、子供は俺の後ろにいる。何故だ、俺はゴブリンだぞ。あっちの方が同族だし安心しないのか。むしろ何で母親の所にいかない?


「····なるほど、奥さん大変でしたね。」


「このゴブリンがいなければ今ではきっと野盗の慰み物になってたでしょうから、大丈夫よ」


「そうか·····改めてルゴウ、ありがとう。君のお陰で二人は助かったよ。後は俺たちが引き受けるよ」


「オネガイ、スル」


「ゴブリンさん行っちゃうの?一緒に行かないの?」


 いや、そんな目で視られても困るし。


「オレ、ゴブリン。イッショ、イケナイ」


「ぶー」


 頬を膨らませつつ何とか理解してもらえて良かった。ってかさっきから何で笑いそうになってるんだ。

 ジト目で睨んでいると男からは


「いや、だって。子供に好かれるゴブリンなんて見たことも聞いたことも無いから可笑しくてつい·····くっ」


 くそう、面白がりやがって·····こちとら不思議でしょうがないのに、いや、むしろ困ってるのに。


「さてと、おーい馬車を起こすから手伝えー。起こしたら帰るぞー」


『あーい』


 そのあとは俺も馬車を起こすのを手伝い、中の物も母親が外に出していたからしまい、旦那さと御者も布で覆って荷台に置いた。


 そして別れの時である。やっぱり子供は泣いていた。


「また会えるよね、ゴブリンさん」


「イツカ、アエル、キット。イイコ、シテルト、イイカ?」


「うん、いい子にしてる!あとこれ私の宝物!大切にしててね」


 そういって、小さな髪飾りを貰った。黄色の花の飾りが着いている物だ。


「イイ、ノカ?」


「うん、お礼!」


 なんかソワソワしてるなぁ、何かして欲しいのか?物をあげるとしたらこれしか無いかなぁ。


「ソシタラ、コレ、ワタス」


 そういって、俺が使っていた小袋を渡した中には木の実も入っている。


「えへへー、ありがとう、大切にするね」


 当たりみたいだ、喜んで良かった。


「アリス、そろそろ行くわよー」


「はーい、んじゃまたね。ゴブリンさん」


「····ルゴウ、ナマエ」


「ルゴウって言うんだ。私はアリスって言うの。覚えておいてねー」


「ワカッタ、オボエル」


「じゃあね、ルゴウ、またねー」


「アリス、マタ、ネ」


 そういって親子を引き連れて冒険者達は行ってしまった。アリスは元気いっぱいに手を振ってくるので俺も手を振り返した。見えなくなるまで。


 最後に何で名前をアリスに伝えたのかはわからない。わからないけどそれで良かったと思っている。


 ·····さてと、帰るか。そっと髪飾りを小袋にしまって俺は洞窟に向けて森に入って行った。



善行 2/108

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