87.俺の出番が·····
前回、今週中と言ってましたが駄目でした。
遅くなり申し訳ありません
今回の話は若干短めです
朝の日課になりつつある事と身支度を整えた俺達はダンジョンへと向かった。ダンジョンの入り口の所で5階層へと転移し既に攻略済みである6階層、7階層を難なくと下りていき8階層に着いた。前回は少しだけ見て廻ったので一度見た場所は飛ばし未探索の場所を歩き続けている。道中にガルフやオーク、ホブゴブリンと出くわしているが苦戦を強いられる場面は当然無かった。
行き止まりの場所や部屋に入るも魔物がいるだけで宝箱や仕掛け等も見当たらない。前の階層からずっと思っていたんだがこういった部屋は何故在るのだろうか?もしかしたら俺達には見つける事の出来ない仕掛けがあったりするのだろうか?レイナに聞いてみたところ「俺にもさっぱりわかんね。こう言うことはユーリが得意だから今度聞いてみたら良いんじゃね?」との事だったので明後日位には聞いておくか。もしかしたら隠れた宝箱や部屋があるかもしれない。今は深く探らなくていいだろう。
8階層内を歩き続け、特段収穫も無いまま次の階層へと繋がる場所へとたどり着いた。今回の魔物はミノタウロス1体にハイオークが5体だ。
「なぁレイナ。今回はどうする?」
「んー、そーだなー······とりあえず、早い者勝ちでっ!!」
「···················はぁ」
そういうや否や駆け出して行ったので俺は軽く溜め息を吐きつつも遅れて後に続いた。今日のレイナはこうやって突撃していく頻度が高い気がする。まぁ、レイナにとっては格下の魔物ばかりだから問題はないだろう。現にもうハイオーク1体を一刀両断して返す剣でもう1体に斬りかかってるし······ってこのままじゃレイナに全部持ってかれそうな勢いだ。
俺は自分の周囲にロックシュートを展開しながら大剣を手に掛けハイオークに近接し一気に振り下ろした。ハイオークは持っている手斧で防いだが、それにより胴体ががら空きなので展開している内の2発のロックシュートをそこへ放ち、腹に風穴を開けよろけさせ更に一刀を入れ切り伏せる。次の獲物へと意識を向けるとレイナが既に最後のハイオークに斬りかかり始めていた。······この早さから察するに一撃で倒しているな。本当に俺の彼女の戦闘力は高すぎる。
俺は関心しつつもレイナに向かって行こうとするミノタウロスに牽制のため、残りのロックシュートを撃ち込んだ。俺の攻撃に気づいたミノタウロスは回避行動をとり、避けれないモノは手に持っている剣で叩き落とし睨みつけてきた。急な横槍に苛立ったミノタウロスは俺に標的を換え、雄叫びを挙げながら此方に走ってきた。俺は萎縮することをせず少し体の力を抜き迎え打つ準備が完了したところで嬉々とした声が挙がった。
「もらったーーー!!『豪炎剣』!!」
その掛け声と共にレイナは大剣に炎を纏わせミノタウロスの背後から勢いよく斬りつけていた。急な攻撃で何も反応出来なかったミノタウロスはまともに食らい、斬りつけられた傷口からは血の代わりに肉の焦げる臭いを発たせ動かなくなった。
···········結局レイナにほぼ活躍持ってかれたんだが。幾ら早い者勝ちでも少しは残しておいて欲しい。いや、その前にさっきからずっと想っているが倒すスピードが早すぎないか?今までの探索は手を抜いていたのかって位だぞ。俺はそんなレイナを呆然と見ているとニカッと笑いかけてきた。
「いやー、やっぱりこんなんじゃ相手になんねぇよな」
「確かにそうだが······早すぎだろ。俺の出番ほぼ無かったぞ」
俺が肩をすくめながら言うとカラカラっと笑いながら言ってきた。
「だから早い者勝ちって言ったじゃねぇか。まぁ、最近身体の調子が良いから試しに本気で動いてただけなんだけどな」
「身体の調子がいい·····?」
「そうなんだよ。こっちに来てルゴウと過ごしはじめてからな特にな。ま、この『繋ぐ指輪』のせいかもしれないけどそれでも今までの自分と比べたら段違いだぜ」
レイナは微笑みながら指に嵌めている指輪を見せてきた。俺はそれになんだかむず痒く感じ想わず頬を掻いた。何度も見てはいるのだが改めてそう言われると照れてしまうな。
「たぶんそうかもしれないな。俺も前よりも体の調子は良いし。魔法も以前よりはスムーズに使えているしな」
前と比べるとロックシュートを展開する数や構成のスピードが上がったり、身体が少し軽く感じる場面が多々あるしな。本当に当たりだなこの指輪は。
俺もレイナと同じだと言うことにさらに嬉しくなったのか俺の方へと近づき、そして肩を組んできた。
「だろう?ようし、じゃあこの粋でガンガン攻略してこうぜ」
「はいよ、今日中には10階層にはたどり着きたいしな。油断せずに行くか」
「おうよ」
俺とレイナは気合いを入れ直し次の階層へと歩き進めた············じゃないよね。忘れてた。魔石と宝箱の中身を回収してなかった。それに気づいた俺達は互いにあっと声を挙げた後、笑いあいながら戻り落ちている魔石を回収し、宝箱を開けラウンジシールドと鍵を手に入れた。正直この盾は要らないかった。俺もレイナも使わないから今度売っておこう。
9階層は道が単調で基本的に真っ直ぐ進む道のりだった。その分なのか魔物の遭遇頻度が増えている気がする。常にゴブリンジェネラルを筆頭にホブゴブリンとゴブリンファイターやゴブリンメイジが付き従い連携し襲ってくる。他にもハイオークが4体居たり、ガルフを従えたりと数が多い。だがそれでも俺達にとっては後れを取る様な魔物ではないし難なくと倒しては進めている。まぁ、戦闘が多い分疲労は溜まりやすいのだがまだまだ俺もレイナも余力はあるから問題はないだろう。
そろそろ休憩を挟もうかと思った矢先で開けた部屋が目に入った。入り口から中を確認しようとしたが魔物は見当たらない。だが扉に宝箱を確認できたのでここがこの階層の終着点で間違いないだろう。俺達は一度壁に寄りかかり軽い軽食を採りながら小休止を行うことにした。
「にっしても数が多かったな。流石に疲れたぜ」
レイナは干し肉を噛りながらぼやいたので俺も木の実を食べながらそれに頷いた。
「だな。苦戦はしないがきっついよな」
「強い相手なら腕がなるんだが····そうでもないから段々と気が滅入ってくるんだよな」
「あー、途中で飽きていた様に感じていたのはそういうことか」
まぁ、それでもしっかり魔物は倒していたんだから文句はない。でも動きが雑だったのが見ていてハラハラしたんだよな。
「そうなんだよ。少しは手応えが在ればそんな事は無かったんだけどなぁ」
レイナは先程までの戦闘を思い出したのか溜め息を吐いた。俺はそんなレイナにやれやれと想いつつもレイナの頭に手を伸ばし優しく撫でた。俺の行動にレイナは少しむくれながら言った。
「子供扱いすんなよ。俺は立派な大人だぞ」
「はいはい、わかってるって。少しは機嫌直してくれよ」
「絶対にわかってねぇな········ったく」
そうは言いつつも振り払おうとはしないレイナに想わず口許が緩んでしまう。本当になんで今まで男が出来ないのか不思議だよな。最初の取っ掛かりで躓かなければこんなに可愛らしいのに。ま、今更誰かに渡す気はさらさら無いがな。そう心の中で考えつつ、休憩中はレイナと軽くイチャつきながら疲れを癒していた。
善行 9/108




