80.居たたまれない気持ち
やっとリアルの仕事が落ち着き(?)はじめたので続きを書くため読み返してたら、今更ながらここの話投稿していない事に気が付きました。
たぶん、以前まで読んでた方はなんでそうなったってなったんじゃないかなと思うんで読んで頂けたらと思います
結果をいうと被害者は発見は出来た。だがそれは生存者としてではなく死者としてだ。身体はあちこち暴行を加えられた形跡があり、ひたすらゴブリンどもの玩具にされた後に殺されていた。死体は5人。内1人は男で正直語るのも億劫になるほどの損傷が見受けられる。俺とレイナで手分けして集落の外へと運びだし並べ、せめてもと思い俺が水魔法を使い身体を綺麗に洗い清めてあげ埋葬してあげた。本当はこの人たちの故郷とかに還すべきなのだろうが何処にあるのかがわからない。一応、レイナにもこのやり方について聞いてみたら「冒険者とかはいつ、何処で死ぬかは解らないんだ。だからこうやってしてもらえるのも有難い事だから気にするな。だから弔ってやろう」と言われ納得した。確かに冒険者は危険が伴う職業でいつ死ぬかはわらない。もしかしたら喰われる可能性や殺され放置される時も存在する。だからこのように弔って貰えるのはせめてもの救いになるのだろう。俺とレイナはやるせない気持ちのまま死者を埋葬し、助ける事の出来た冒険者の下へと向かった。
救った冒険者の下へ着くとまだ二人は目が覚めていなかったが治療を施され、流れていた血も拭き取られていた。俺達に気がついた女の冒険者が頭を下げながら言った。
「あ、あの。助けて頂き有り難うございます」
「いいってことよ。たまたまだったんだから。お前達は運が良かったってだけだからよ」
「で、ですが······何かお礼をさせてもらえないでしょうか」
「つってもなぁ·····ルゴウなんかあるか?」
「俺は特に無いかな。レイナはどうだ?」
「俺も無いな·····あ、酒でも奢って貰うのは良いんじゃないか?丁度残りも少ないしここいらで調達しないとなとは思ってたんだよ」
「それでいいか······じゃあ、それでお願いしても良いか?」
「はい、大丈夫です。本当に助けて頂き有り難うございます」
もう一度女の冒険者は深く頭を下げた。だがこの人はレイナの酒を飲む量を知っているのだろうか?後で口元がヒクついていそうな気がする。
「しっかし災難だったなお前ら」
「はい·····まさかあんなに統率の取れたゴブリンだなんて想わなくて····。しかも罠も巧妙で気づかずバルクが········」
女の冒険者の落ち込み様から察するにもう1人居たのだろう。出会うのが遅かった·····と思うしかないか。
「そっか。まぁしょうがないよな。冒険者やってんならこれが日常なんだからよ」
「そう······ですね。運が悪かったんですもんね」
「ああ、さて。そろそろ移動するか。何時までもここに居ると違う魔物が血の匂いを嗅ぎ付けて来るかもしんねぇし。ルゴウ、運ぶの手伝ってくれ」
「はいよ」
俺とレイナは意識の無い冒険者に近づくと女の冒険者が声を挙げた。
「あ、あの!と、ところでさっきいたゴブリン、さん·····って何処にいったんでしょうか?」
女の冒険者は途中から自分が変な事を言っていると気付いたのか段々と声を小さくしていった。レイナは言ってる意味が分からなかったのか首を傾げた。
「ん?ゴブリン?ゴブリンどもなら倒したが·····なんで"さん"なんか付けてるんだ?」
「い、いえ········その。丁度貴方みたいな格好をしたゴブリンさんがいらっしゃって助けて頂いた上に回復ポーションまで下さったのでお礼を、と思いまして········」
女の冒険者は俺の事を指差しながら自信なさげに言うとレイナも俺の方を向き、左手で皿にして右手で拳をつくりポンっと叩いた。
「あ、そっか。だってよルゴウ」
「え?」
「別に俺はお礼なんて良いんだけどな。気にしなくていいぞ」
「は?え、ん······え?」
レイナの言葉に戸惑う女の冒険者に俺のその返答に更に混乱している様子だ。·······はて、何でだ?
「おうおう、面白い感じで混乱してる」
「混乱ってそもそも俺がそのゴブリンなんだけど······なんで混乱してるんだ?」
「いや、その·····貴方はゴブリンじゃないですよね?何処から視ても人族なのですが」
「って、ああ。そう言うことか·····通りでレイナが面白そうにニヤニヤしてると思ったらそう言うことか。いや、俺も忘れてたのがいけなかったんだけどさ」
俺はやっと理解してそのままだった変身を解いた。最初は維持するのに大変だったがコツを掴んでからはそうでもない。練習した成果だな。うん、申し訳ない。
「はい!?あ、えっ!!ゴブリン?どういう事なの?さっきまで人族だったのに······えっ!?」
「くくく、驚いたか?コイツは元々ゴブリンなんだよ」
「笑うなよレイナ。可哀想だろ」
「だってよ。やっぱこういった反応は面白いじゃんか」
「まぁ、確かに平時では面白いと思うが·····すまない驚かせて。生存者の確認の為に怯えさせないように変身してたんだ」
俺は女の冒険者に頭を下げるとまだ疑問が残っているのか首を傾げながら言ってきた。
「変·····身······?ゴブリンがどうして?」
「コイツはかなり変わった奴でな。そこいらのゴブリン·····いや、男どもより良い奴なんだよ」
「いや、レイナ答えになってないぞ。俺固有のスキルだからだ」
「は、はあ·····えっと改めて有り難うございます。後、遅くなりましたが疑ってしまってごめんなさい」
「いいよ気にしなくて。それよりもほら、移動するぞ」
俺とレイナで気を失っている冒険者を抱えて俺の住みかへと移動していった。もちろん俺は男の冒険者をお姫様抱っこしてである。この時背中の大剣が邪魔だと思った。ええ、それはもう絵面がむさい。違う意味で危ない気がする。だから女の冒険者よそんな変な目で見ないでくれ。
·············
······················
··························
「助けて頂き有り難うございます!」
「有り難うございます」
住みかに着き、暫くすると二人が目を覚まし事の経緯を説明すると頭を下げてきた。まぁ、事の経緯を説明する前に色々とあったんだが······想像は出来るだろう。あと横で笑いを堪えてた女の冒険者·シエスタは覚えておけよ。レイナは堪えるどころか爆笑してたから後でお仕置き決定だ!
「もういいよ。頭を上げてくれ。木の実でも食うか?」
「はい·····ではお言葉に甘えて頂きます」
顔を上げた二人とシエスタにリンゴを渡した。これで少しは気持ちも落ち着くだろう。レイナも手を出してきたので同じくリンゴを渡すと美味しそうにかじりついた。リンゴのストックはまだあるから砂糖煮はまだ作れるな。
気持ちが落ち着いたのか男の冒険者が暗い面持ちでボソリと呟く様に声を出した。
「バルクもここに居ればな······せめて遺品は回収しておきたかった」
その言葉を聞いた2人は暗く表情を落としそれに続く様にポツリポツリと声を出していった。
「そう·······だね。でも········」
「ああ、分かってる。場所ももう分からないから探しようもない。諦めるしかない」
「うん·······」
「ダル、これからどうするの?」
「どうって·····俺としては冒険者を続けていくつもりだ。シエスタとルーアが辞めるのは止めはしないぞ」
「ダルが続けるなら私も続けるよ。シエスタは?」
「私は·······正直怖い·····けど、続けたい」
「そっか。なら暫くはメンバーを探しながら3人で頑張るか」
「「うん」」
暗い雰囲気だったが何とか話はまとまった様だな。大変だと思うが頑張って欲しい。だからレイナ。今は酒を取りだそうとしなくて良いからな。後で飲もうな。いや、むしろ空気を読んでね。
「あ、すまない。そういえば自己紹介がまだでした。俺はダルでそっちがシエスタ、でもう1人がルーアです」
「ルーアです。宜しくお願いします」
「シエスタです·····2度目ですが宜しくお願いします」
「ああ、此方こそ宜しく。俺はルゴウで彼女がレイナだ。敬語とかはいらないから普段通りでいいぞ。ってこら、レイナ。お酒は後でな」
「別に良いじゃねぇか。一杯だけ、一杯だけな。頼むよー」
そういって拝む様に手を合わせて頼んできたので俺はしょうがないなと思いつつ溜め息を吐いた。
「はぁ、わかった。一杯だけな」
「やりー、愛してるぜ」
「はいはい、ありがとうな。俺も愛してますよ」
愛が軽いなぁ。たかがお酒の一杯ごときで大袈裟過ぎるよ。ホントにお酒好きだよなぁ。
「「「···············」」」
俺とレイナのやり取りに目を点にして何も言葉を発する事なく3人は見つめてくる。なんだその目は?
俺が怪訝そうな顔を作り見るとおずおずいったいった様子でダルが訊いてきた。
「······二人はとても仲が良いんですね」
「ん?まぁな。それがどうしたんだ?」
「い、いや、冗談を言えるような仲だなんて思ってなくて····」
「そ、そうだよね。私もびっくりしちゃったよ」
3人ともそんなに驚く事なのか?まぁ、レイナとは実際に大変仲良く、そりゃもう深い仲になってるけど不思議な事なのか?いや、不思議な事だな。でも冗談くらいは普通の仲でも言い合えるんじゃないのか?
「そんなに驚く事なのか?冗談くらいは言うだろう」
「そ、そうだよな。冗談だもんな。あー、びっくりした」
3人とも何故か乾いた笑いをしているが何に対して安心してるんだろうか。レイナも怪訝そうな顔で3人を見てから俺に訊いてきた。
「なぁ、ルゴウ。さっきからこいつら何を冗談って言ってるんだ?」
「さあ?はい、干し肉の余りだ」
「さんきゅー。あー、酒に合うな」
「大事に食べろよ。後で狩りに行かないと本格的に明日以降は木の実生活だからな」
「大丈夫だって。こいつら送る次いでに街で調達すりゃ良いんだからよ」
「あっ、そうか。ならいいか」
「「「···············」」」
だから何なんだよその目は!?おかしな事言ってないだろ。仲が良いのがそんなに悪い事なのか?
「あ、あのぉ······もしかしてレイナさんってここで寝泊まりしてるんですか?『紅の戦乙女』の人達もここに?」
シエスタが探る様に言ってくる。レイナは何を言ってるんだ?といった表情で返した。
「ああ、4日前からな。俺はダンジョンに潜りたいから早めに着たが他の奴らは後で来るぞ」
「へぇー、4日前から·····って他の人達居ないんですか!?となると2人きりだったんですか!」
「なんだ?なんか問題でもあるのか?」
「いや、レイナさん。ルゴウさんってゴブリンですよ。いくら友好的だって言っても2人っきりは危ないですよ。もし寝込みを襲われたらどうするんですか!?」
「そ、そうですよ。仲がいくら良くても2人っきりは危ないです。レイナさんは女性なのですから。男もそうですがゴブリンやオークとかならもっと警戒しないと」
シエスタとルーアの言葉はごもっともである。レイナって普通に美人の部類だと俺は思っているから仲が良かったとしても軽々しく2人っきりで寝起きを共にするのは危険である。まぁ、俺のショックはあまり無いがダルは男だからスゴい気まずそうだ。レイナは俺とのここでの生活を思い出したのか顔を赤くしながらしどろもどろしながら言った。
「え·········いやぁ······その、なんだ。別に·····その·····無理矢理は·····無かったから問題はないぞ。まぁルゴウはいい奴だから安心しろ」
「そうだったんですか······良かったです」
「私もホッとしました。レイナさんってちょっと抜けてるんですね。とりあえず休憩が終わりましたら一緒に帰りましょう。お仲間の人を連れてまた来ましょう」
レイナの言葉にホッと胸を撫で下ろした2人はそう提案するがレイナは顔を横に振った。
「一緒には行くが酒とか買ったらここに帰ってくるぞ。それにアイツらにはやる事があるしな」
「え!?い、いやでも·····」
「良いんだよ。俺は好きでルゴウと一緒に居るんだし。それに········な?」
「ここで俺に振るのか。いや、否定するつもりは無いが····3人には言っておくがレイナとは合意の上でお付き合いをしている。つまりそういった関係も持ってる訳でだな·······心配する事はないぞ」
「「「えっ!!??」」」
3人ともまさかの事で声を挙げて驚いていた。それとは正反対にレイナは照れているのかチビチビとお酒を飲んでいる。
「ルゴウとレイナさんってそういった関係だったのか!?」
「嘘·····そんな事ってあるの!?」
「し、信じられません」
「いや、まぁ当人である俺も夢なんじゃないかなって思う時もあるんだけどな。事実なんだよ」
そうなんだよな。たまにふと思う事があるけど夢じゃないんだよ。ゴブリンなのにこんな美人と関係を持てるなんて思わなかったよ。
「べ、別に良いじゃねぇか。誰が誰を好きだろうとも······」
レイナは頬を染めつつ目は横にしボソリとそう呟いた。シエスタは慌てて言い繕う様に言った。
「ま、まぁ愛のカタチは人それぞれですから否定はしませんよ」
「だ、だな。すみません。驚いてしまい」
「大丈夫だ。俺としても驚かれるのも無理はないと思ってるから」
ダルが謝ってきたので俺は気にしてない風な態度をとるとシエスタがおずおずと·····いや、期待に満ちた様な表情で言ってきた。
「あ、あの·····ちなみにどちらから迫ったんでしょうか?やっぱりルゴウさん?」
「あ······いや·······その······」
シエスタの質問を切っ掛けにこの後質問攻めにあった。その間、レイナはたじたじで所々顔を赤くしては助けを求める様な目線を送ってくる。かくいう俺も質問攻めにあい根掘り葉堀り聞かれた。流石に言いたくないものは黙秘はしたが、その度にレイナが自爆したのがなぁ······後然り気無く2杯目を飲もうとしない。
善行 7/108




