7.ある日の出来事 その1
母さんと別れて早くも1ヶ月は経とうとしている。あれから日々狩りをしながら鍛練もする生活を送っている。
目立ったことはなかったと思う。
あったとしたら角ウサギを狩っている最中にデカイ猪が突っ込んできて引かれそうになったことや、動物が食べていたので大丈夫だと思いキノコを食べたときに腹を下した位である。
いや、もうひとつあった。むしろ嬉しいことだ。
毎日鍛練していたら魔力量と仙気がかなり増えたことだ。
以前だったらファイアーボール四発位しか撃てなかったけど、今では十発撃てるようになった。後は二個までなら同時に出せるようになった。苦労したわぁ。
基準がわからないが、ゴブリンにとっては大成長だろう、きっと。
仙気の量は、量と言っても纏えてる時間かな。以前だったら全身に纏ってる状態なら10秒だったのが30秒に!微妙とは言わないで。まだ時間経ってないんだから。むしろここまで成長できたんだから自慢しても言いと思う。
とまぁ、こんな感じである。
今日も食料確保の為、絶賛狩りの真っ最中である。色々探し廻っているけど獲物がなかなか見つからない。
デカイ蜘蛛みたいなやつとかバッタみたいなやつならいるんだけど····流石に虫は食べたくない。
もう少し奥の方まで行ってみるかなぁ。
········今日に限って何でこんなにいないんだ。あれから体感で二時間位は歩き廻っているぞ。
しょうがない、途中で採取した木の実と洞窟内の保存用にしている肉でも食べるかなぁ。
諦めて洞窟に帰ろうとしたとき遠くの方から女性の悲鳴が聞こえた。
俺は気づけばその声のした方向に走って向かっていった。何故向かったのかはわからない。
ただ、いかないと後悔しそうな気がしたからだ。
進んだ道の先には大きな街道があった。
俺が着いたとき馬車は倒されていて男が二人死んでいた。そして女が少女を庇うようにしながら男達に囲まれている。
「娘だけは見逃して下さい、私なら何をしても構わないのでお願いします。」
女は男達に震えながら懇願していた。しかし男達は嘲笑うかの様に、そして下卑た様に言った。
「いやぁ、ダメだね。お前は若いから俺らのお楽しみしてぇ·····子供は売り飛ばすかぁ」
「良いっすねぇ、頭ぁ。あっし達にも楽しみを分けて下さいよぉ」
「久方ぶりの女だぁ、今夜は楽しみだなぁ」
·····明らかにこれって俗に言う盗賊なんじゃないかなぁ。聞いていて腹が立つ。いや虫酸が走るね。
女は泣きながら子供を抱き締め後ろに下がるものの馬車を背にしてる為下がれない。
盗賊たちはジリジリと距離を詰めて楽しんでいる。
盗賊の数はあれで全部なら6人か·····撃退出来るかはわからないけど気を逸らすくらいは出来るだろう。
俺はそう思いいつも愛用している螺旋型のロックシュートを使うことにする。勿論仙気も乗せることも忘れていない。
狙いは手前の二人、女達には当たらないように注意して····二発同時発射!
放った二つのロックシュートは吸い込まれるように盗賊二人の胴体に命中しデカイ風穴を空けた。
盗賊達はその一瞬の出来事で何が起きたか理解できず固まっている。
俺はこれを幸いだと思い、もう一度同じようにロックシュートを作りもう二人に放った。
放った瞬間に盗賊の頭と呼ばれた人物が何かを言ったが狙っていた二人は動く前に風穴を空けて倒れた。
残りの二人は馬車の後ろに急いで隠れるように動いた。
「畜生!どこのどいつだ!俺達を狙いやがったのは!セコいことしやがって、姿を見せやがれ!」
「お頭、ど、どうします?とりあえず逃げますか?」
「バカ野郎!黙って逃げられるか!四人も殺られたんだぞ!絶対にやり返してやる」
「す、すいやせん。」
おうおう、自分達の行いは棚に上げて何か騒いどる。
さて、ここからどうするか。残り魔法は6回分撃てるから一発必中なら行けるけどかわされるよなぁ。後は人質を取る作戦に出るのも困る。
人質に取って盾に使ったとしても頑張って狙撃すれば被害は少なくて済む····心には傷を負いそうだけど。
とりあえず静かに俺も移動するかな。
俺は静かに馬車の死角になるように盗賊達が隠れているであろう場所に移動した。
「攻撃がしてこない····いや、出てくるのを待ってるのか?」
「頭ぁ、俺が囮になるんでその内に仕留めてください。なぁに、自分は逃げ足だけは速いんで大丈夫っすよ」
「クソっ、出来ればやってほしくないがそうするか」
いやいや、させないよ丁度この位置だと二人とも狙えるし。それにもうロックシュートも完成してるから狙って撃つだけだ。
「頭ぁ、合図したら行きますぜ」
「おう!」
「3····2····」
そこだ!発射!
「い····ち·····あ···れ?」
「クソ·····が····」
よし、殺りきったか。ふぃー、疲れたぁ。狩りよりも緊張感あった気がする。
と言うか、初めて人を殺したけども何て言うか罪悪感が無いなぁ。種族が違うからか?
とりあえず、助かった人たちを見に行くか。
姿見せたら怯えられるんだろうなぁ。ゴブリンだし。
俺はそんなことを思いつつ助かった二人のもとに向かった。
反応はやっぱり····
「ひぃ、ゴ、ゴブリン!?誰か助けて!あっち行って」
「ママ····こわいよー」
ですよねぇ、そうなりますよねぇ。知ってました。とりあえず何か喋っておくか?
「オ、オチツク。ワルイヤツ、タオシタ。モウ、ダイジョウブ」
「キャー!喋ったー!?」
どこぞのCMみたいな反応しなくてもいいのに····
とりあえずなんとか宥めようとワタワタしながら敵意無いですよーアピールをし続けた。
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