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ゴブリンから始まる物語  作者: となりの戸愚呂
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77.反応に困るよね


 暫くの間迷い続けた結果次の階層へと続く部屋に着いた。ここまで来るのに時間は掛かったが脳内のマッピングは何とかなるくらいだな。だが正直これ以上は憶えられる気がしない。5階層までとは違い部屋数が多い。帰ったら壁かどこかに刻んでおこう。レイナも憶えているか一応は確認したが「俺は憶えてねぇぞ。そう言うのはルゴウに任せた」とそりゃもうドヤ顔で言われた。望み薄だったがちょっとは憶えておいて欲しい。


 ともあれ、部屋の中に入ると待ち受けていたのはオークが4体とスケルトンが6体·····の内1体の足元に狼の魔物1匹が尻尾を振りながら噛りついていた。そのスケルトンも困った様にあたふたしている。なんだこの光景は。俺は身構えつつ呆れながらレイナに聞いてみた。


「·······なぁ、これはどう反応したらいい?」


「いや、まぁ·······何故この配置なのかは分からないがとりあえず倒すか」


 レイナもどうしてこうなってると呆れつつ大剣を抜き構えた。俺達を視認したオークが叫ぶと一斉に俺達に向けて走り出してきた。······一部を除き。

 俺とレイナも気持ちを切り替え、出来るだけ彼方に目を向けない様にオーク達を相手にした。今回は手数は必要ないだろうと考え、大剣を使いスケルトンをまとめて横凪ぎで吹っ飛ばした。レイナも軽く捻るかの様にスケルトンとオークを倒していった。ちょくちょく視界の端の方でまだスケルトンと狼の魔物が戯れているのが見えるが·······気にしないでおこう。

 あっという間に此方に来た魔物を倒し終え残りはスケルトンと狼の魔物になったのだがまだやってるし。あっ、足の骨取られた。バランスを崩して倒れたスケルトンを横に狼の魔物は色んな角度から骨を噛って遊んでいる。


「なぁ、レイナ。あれどうしようか」


「·······ホントにどうしようか。これは俺も経験した事無いからな。倒して良いか困るな」


「だよなぁ·······あっ、スケルトンがこっちに這いずって来てる」


「ガルフは骨咥えながら穴掘り始めたな」


 あの狼の魔物、ガルフって言うんだ····スケルトンは頑張って当初の目的を果たすため俺達に向かって頑張って這いずって来ている。なんか可哀想だな。一思いに止め刺しておくか。


『ワン!』


 俺がそう思い歩こうとした瞬間、ガルフは骨を埋め終えたのか此方に走ってきた。迎撃しようと構えたら進路を代えスケルトンの腕に噛りつき一気に腕の骨を取ってまた噛り始めた。·······いや、犬かよ。犬科だもんな。でも可哀想だから止めてあげてよ。スケルトンも片腕取られて驚いてるし、何とか移動しようと片腕だけで這いずっているし。


「流石に可哀想だからもう倒してあげるか」


「だな。うん、そうするか」


 俺とレイナは何とも締まらない気持ちで這いずって来ているスケルトンに止めを刺し、骨に夢中のガルフを倒した。何とも言えない感情が湧いてくるが気持ちを切り替えていこう。

 俺達は解放された宝箱から鍵と装飾の施された短剣を回収し次の階層へと進んだ。


 7階層に入り出てくる魔物に変化があるか期待したが特別変わったことは無かった。罠も特にはなく、所々で小休止や食事を取りつつ順調に攻略出来ている。するとレイナが飽きてきたのか頭の後ろで手を組みつつぼやき始めた。


「何か退屈だなぁ。魔物は弱いからあっという間に倒せるし。罠も無いし」


「魔物はまぁ、レイナも居るし余裕だからな。罠は無くていいよ。進みづらいから」


「そうなんだけどよぉ。もちっと緊張感が欲しいんだよな」


「緊張感って····無いに越した事は無いんだけどな」


 余裕が無くて進まないよりはマシである。それに俺とレイナだけではどうしても役不足になる時が出てくるからだ。致命傷だけは避けていかないとな。


 そうこうしながら探索していたら気づけば次の階層に繋がる部屋へとたどり着いた。何やら鎧を装備したオークやゴブリンが待ち受けている。数はオークが5体にゴブリンが10体。見た感じは強そうでもないがどうなのだろうか?するとレイナは何かに気が付いたのか口を開いた。


「お、ゴブリンナイトにジェネラルか。それにありゃハイオークっぽいな」


 ········オークは何となく分かるが、ゴブリンは見分けがつかない。いや、あの兜被ってる奴か?他のと比べると体格もがっちりしてそうだし。


「となると俺と同じ位の強さになるのか」


 俺の言葉に一瞬キョトンとしたレイナがいやいやと手を振りながら言った。


「いやいや、比べるのが可哀想な位だからな。同じゴブリンでもお前は別格だから相手にもならないぞ」


「えっ······あぁ、そう言えば前にも言ってたな。ってなると今回も、か」


「ま、そうだな。油断せずにやるとしようぜ」


 そう言ってレイナは駆け出し俺も後に続いた。ゴブリンジェネラルらしき奴が声を挙げると周りにいるゴブリンが応えるように前へ出て迎撃体制を取る。そこに俺は素早く火力多めのファイアーボールを作り出し先頭のゴブリンに放った。ゴブリンは咄嗟に手に持っている盾で防ごうとするが着弾と同時に爆発が起こり周りの奴を巻き込んで吹き飛ばされた。そこにレイナが斬り込み、先ずがら空きになったゴブリンジェネラルを防ごうとした剣ごと叩き斬り、更に踏み込み反す大剣でオークに斬りかかった。俺も遅れないよう大剣で目の前のゴブリンを上段から一気に叩き斬り、近づいて来ようとするゴブリンを水平に大剣を振り薙ぎ払い始末していく。レイナは2体目のオークに斬りかかろうとしているところだが不意にもう1体背後から攻撃しようとしていたのでロックシュートで顔面に狙いを着け射出する。狙い通りにオークの顔面をぶち抜き、風穴を開け援護完了である。


「ひゅー、さっすがー」


 レイナはそう呟きつつも目の前のオークに片手で上段から大剣を振り下ろし、持ち手を代えながら更に身体を回転させながら振り下ろした。更にダメ押しと言わんばかりに両手で握り締め勢いを殺さぬ様にそのまま回転させながら踏み込み水平に薙ぎ払った。

 ·······後ろに目でも在るのだろうか?一切確認しないで言ってるから居るのは分かっていたんだろう。反応も出来た様な気がするが任せて貰えたと喜ぶべきか。しかしオークの持ってる剣も結構厚い気がするんだが一緒に叩き斬ってるし、最後のはオーバーキルな気もする。まぁ確実性を出すのならあれくらいは必要か。さて、残りも少なくなってきたしちゃちゃっと終わらせるか。


 最後の1体を倒し終えて次の階層へと続く道が開けた。さてここから先に進むのだが今は日がどれくらい傾いているのだろうか?そろそろ切り上げた方が良いだろうか。魔石を回収しているレイナに聞いてみた。


「なぁ、レイナ」


「なんだ?」


「そろそろ切り上げて帰るか?」


「んー、そうだなぁ。まだまだ物足りないが別に急ぐ程でも無いからな。あと少し潜ったら帰るか」


「そうしようか。次の階層少しだけ進めるか」


 まぁ1、2部屋位で今日は終わりにするか。とりあえず宝箱の中身を回収してからだな。俺達は宝箱の場所へと移動し、箱を開けると中に在ったのは袋と鍵だった。もしかしてこれはと思い拾い上げるとレイナは驚きと共に嬉しそうに言ってきた。


「お、コイツはすげぇな。魔法袋じゃないか。これで荷運びが更に楽になるな」


「ああ、これは嬉しいな。早速入れ替えておくか」


 俺は早速自前の大きめの袋から携行食の木の実やら干し肉を入れ、後は鍵を3つ入れた。短剣はレイナに渡しているから此方に入れ替える必要は無いだろう。さあ、腰周りも大分スッキリしたし次の階層に行くか。


 ·······とは言ったものの8階層に下り変化らしい変化は見受けられない。魔物の種類はガルフが増えた位であまり変化もない。とりあえず右周りで探索を進めているが特に収穫もなくその日の探索は終了し帰ることとなった。


「いやぁ、今日は楽しかったな」


「魔物が多く出る部屋はもう勘弁したいがな」


「俺はあれくらいが丁度良かったけどな」


「さいですか」


 住みかに戻り装備を外している際レイナが満足そうにしていたが、俺は正直疲れたってのが第一にくる。まぁ、あの時の戦闘はしんどかったが協力して倒すのは悪くないなとも思ったが毎回だったら御免被る。装備もお互い外し終え、ラフな格好になりながら俺はレイナに聞いた。


「レイナ、このあとどうする?飯にするか風呂にするか」


「んー、風呂にしたいが······先に飯にすっか」


 レイナは腕を組み少し悩んだが腹でも減っていたのか飯を選んだ。かくいう俺も腹が減ってるので有難い。


「了解、簡単な物作るから待っててくれ」


「あいよー、頼んだぜ。んじゃ、俺はー」


 レイナは機嫌良く自分の魔法袋を漁りだすと中から酒を取り出した。もう飲むのか?ホントに好きだなぁ。ま、俺もちゃちゃっと終わらせて少し頂くとするか。昨日のホーンラビットの肉は残っているからそれを塩胡椒で焼くとして、汁物は同じ感じにしかならないな。後は付け合わせにライの実や木苺等のここらで採れる果物を盛り合わせて完成だな。うん、バリエーションが少ねぇ。ソーセージとか買っておけば良かった。やっぱり街と違って物が揃わないから不便だよなぁ。砂糖も手に入ってるし今度ジャムでも作っておこう。


「出来たぞーって、待ってたのか」


 俺が出来た料理を持っていくとレイナは酒を開けずに待っていた。レイナは若干うとうととしていたが俺の声に気がつき目を覚ましたようである。


「······おっ、やっと出来たか。待ちくたびれたぞ」


「そんなすぐ出来ないって。じゃ、食べるか」


「その前に、ほい、これ」


 レイナは封を開けた瓶から酒をコップに注ぎ渡してきた。受け取った俺は一旦床に置きレイナから酒瓶を受け取り注いで上げた。


「よっし、じゃあ乾杯!」


「おう、乾杯」


 互いにコップを軽くぶつけ、酒を口にした。今回の酒は赤ワインで程よい香りと渋味があるがフルーティーさが感じられる。一言で言ったら美味いって事だ。


「うん、久々にワイン飲むが美味いな」


 レイナは一気に飲んだのかもうコップの中身は空である。俺はもう一度レイナのコップに注ぎながら言った。


「美味いからと言って飲みすぎんなよ」


「わーってるって。さ、飯も食おうぜ」


 ワインを飲みつつ料理を食べ始め、ダンジョンでの話になり俺はふと思い出した事をレイナに尋ねた。


「そういや、レイナのあの技どうやってるんだ?」


「ん?あの技って······ああ、豪炎斬烈空の事か?」


「ああ、他にもやってたが気になってさ」


「うーん、つってもなぁ。俺は教えるの苦手だからなぁ」


「一応参考程度に聞いておきたいんだ」


「良いけどよ。参考にもなんねぇぜ。まず斬烈空はな。こう·······何て言うんだ?闘気を剣に込めるイメージで·····一気に振ると出る。豪炎斬烈空は······うーん······まぁ、何となく燃えろって感じで出るな」


「お、おう······」


 ········何となくわか·······らないな。斬烈空ってのは途中まで分かったんだが最後のはよく分からない。豪炎斬烈空に関しては燃えろだけじゃ無理だと思う。

 俺の反応が微妙だったのかレイナは口を尖らせて不貞腐れた。


「だから言ったじゃねぇか。教えるのが苦手だって」


「悪かったって。ほら、よしよし」


 俺は手に持ってたコップを置き、レイナの頭を撫で始めた。


「別に気遣われるほど怒ってねぇよ」


「はいはい」


 そうは言いつつされるがまま頭を撫でられている。満更でもないらしい。そうこう言いながら食べ終え、俺は風呂の準備に掛かった。いつも通りに水魔法で······いや、もしかしたら氷魔法の応用でお湯が出るかもしれないから試してみるか。先ずは水温の設定だな。大体人肌より熱い位をイメージして魔力を集めて水に変換していくと。でそれを一定の強さにして出し続ける。一応出てはいるがちゃんとお湯になっているのか?少し溜まっているから水温を確認するため手を入れてみるか。········お!ちゃんと温かい。じゃ、このまま継続してお湯を張っていくか。

 ある程度溜まり終えた所で後ろから声が掛かってきた。


「お、準備出来たようだな」


「おう、出来たぞ·····って早いな!?」


 レイナの声に反応しながら振り向くともう既に服を脱いで一糸纏わない状態で何時でも入れるぞっと言う体制でいた。薄暗いけど身体のキレイなラインが何度視ても眼福です。


「当ったり前だろ。湯に浸かるのがこんなに気持ちいい事を教えてくれたんだ。楽しみにしないと損だしな」


「気に入ってもらえて良かったよ。じゃあーーー」


「おう、さっさとルゴウも脱いで一緒に入ろうぜ」


「お、おう。そうだな。準備するよ」


 今更照れる必要は無いがそれでも緊張はするんだよな。とりあえずマイサンよ、まだステイだからな。出番じゃないぞ。

 俺は離れた所に着ている服を脱ぎ、レイナが待っている風呂場に戻った。桶として作った石の器に湯を掬い、身体に掛け軽く汚れを落とす。レイナも同じ様にお湯を掛けたので次に石鹸を取り、長めに切られた麻布を使い泡立て身体を洗っていく。するとレイナが何やら閃いたのかニヤニヤしながら言ってきた。


「なぁ、ルゴウ。背中洗ってやろうか」


 俺はその時、何故ニヤニヤしてるのかと疑問に思わずレイナの好意でやってくれるのだろうと考え頷いた。


「良いのか?じゃあ頼んだ」


「おっしゃ、任せておけ」


 俺は素直にレイナから背を向けて待つと背中越しに2つの柔らかい感触が伝わってきた。俺は驚き振り向くと、そりゃあ悪い顔をしつつも顔を仄かに赤らめながら離れない様に腕を絡めてくっついているレイナがいた。


「お、おい!?」


「どうしたんだ?背中洗ってるだけだぜ?」


「布は!?さっき使ってたでしょ!」


「ちゃんと使ってるって。間に挟んでるよ」


「じゃあせめて手でお願いします!」


「やだよ、くっついて洗えるから一石二鳥じゃん、ほれほれ」


 そう言いながら背中を洗う為に上下に動き出し始めた。一石二鳥だとは思うけども、これは刺激が強いって。が、我慢だ······まだ、時では·····

 そんな俺の考えとは裏腹に体は素直で反応を示し出した。まだ気がついていないレイナは変わらずニヤニヤしながら執拗にやってくる。これ絶対ワザとやってるだろ。俺の反応に面白がってやがる。もうそろそろ我慢の限界と言うところでレイナの動きがピタリと止まった。そして先程より赤くなりつつ悪い顔でしながら言い出した。


「さて、背中はこれくらいでいいだろう。んじゃ今度は前をーーー」


「いや、大丈夫だから。前は自分でやるから」


「だーめだ。ちゃんと洗わないとな。じゃあ失礼してっと····って、あちゃー元気だねぇ」


 あちゃーでも元気だねぇでもじゃ無いんだよ!分かっててやってたんだろ。わかった。そっちがその気なら応えてやろうじゃないか。いっぱい洗ってやんよ!



··················

·······················

···································



「ふぃー、ちと温いが気持ちいいな」


「だな、少しお湯足すか」


「おう、頼んだ」


 ちょっとしたジャレ合いを行い2人ともクタクタになったので少し湯が冷めてしまった風呂に入り、熱めのお湯を魔法で出しながら調整すた。もちろん、俺がレイナを抱っこするように座らせた態勢である。


「これくらいで良いか?」


「あぁ、丁度いい」


 レイナは完全にリラックスした状態になり俺に寄りかかってきた。かくいう俺も今日の疲れがお湯に染み出ていくかのように抜けていくので心地好い。あー、いい湯だなぁ。


「一度これを味わうと水浴びとか手拭いで身体を拭いたりはしたく無くなるなぁ」


「そうだよなぁ、暑い日は水浴びは良いかもしれないが·····やっぱり風呂が一番だ」


「ふぃー、あそうだ。ルゴウ肩揉んで。今回の勝負の勝者としての命令だ」


「良いのか?別に肩揉む位なら使わなくていいんだぞ」


「いいよいいよ。正直思い付かなかったし、時間が経つと忘れそうだしな」


「はいよ」


 レイナはもたれていた背を伸ばしたので俺は肩に手を置き揉んでいく。力は様子見で軽くと思ったが結構張っているのか固い。なので気持ち強めで力を入れて揉みほぐしていくことにした。


「あー、そこ。気持ちいー。生き返るー」


 日頃の疲れもあるのだろう。ホントに気持ち良さそうである。しかし、こう触ってて思うんだがあまり筋肉質では無いんだよな。あんだけ力があったらもう少しバッキバキに筋肉が割れてると思うんだがそんな事はなく、程好くついてる位なんだよ。うーん、謎だ。


 などと考えながらマッサージを暫く行い、時折イチャつきながらこの日を終えていった。


善行 6/108

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