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ゴブリンから始まる物語  作者: となりの戸愚呂
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74.おねだり上手?


 今日はダンジョン探索の日となる。レイナは待ってましたと云わんばかりにウキウキとしながら口を開いた。


「うっし、体調も気力も万全だし張り切って行くか!」


「そうだな。行くか」


「かー、未開拓のダンジョン探索は良いなぁ。胸が踊るぜ!」


「だからそんなテンション高いのか」


「あったり前だ。お陰で昨日も今日も滾って仕方なかったもんな。ルゴウもそうだったろ?」


「い、言わんでいい!!」


 恥ずかしいから言わんで下さいよ。ええ、確かに滾ってましたよ。ただ、あれはレイナにだからな。ダンジョンではないぞ。


「別に俺らしか居ねぇんだから構わないだろ?」


 いや、そうだけどさ。だとしてもだ。少しは恥じらいを持って欲しいかもとは思うよ。······だからと言って消極的になられても嫌だけどさ。んー、なんだろうこのもどかしさは!!


「ルゴウが嫌だってんなら俺もーーー」


「嫌じゃ無いんでそのままでお願いします」


「お、おう。そんなに必死になるとは思っていなかった。ならそうするけどよ·······今朝みたいなのは毎日は無理だからな。せめて夜だけで····」


「·······善処します」


「ほんとか?まぁ俺も可能な限り応えるよ」


 確約は出来ないが俺だって空気ぐらいは読むさ。ただ、一言いえるのは人だった時よりも性欲や持続力とか色々上がっているからこれはこれで困りようだな。っとは言っても·····いや、何でもない。言わなくていい事だしな。


 仕切り直して身支度を整えた俺達はダンジョンの入り口まで移動した。俺が5階層までの転移出来る魔法みたいなヤツを手に作りだすとレイナは感嘆とした声を出した。


「ほー、それがルゴウが前に言ってたヤツか」


「あぁ、後はコイツを使えば移動出来るんだが······果たして上手くいくのか?」


「ま、やってみてダメなら大人しく1からやろうぜ」


「そうだな。まずは離れていても出来るか試してみるか」


 離れるといっても俺から2、3歩離れる位である。俺は5階層に転移するため、掌上に出来たカード状のモノを握り潰すように閉じるとそれは光の粒子の様に四散し一気に目の前の光景が変わった。レイナは着いてきているか確認するため周りを見るが誰もいない。失敗したのでもう一度作り直し戻った。

 戻るとレイナは驚いた後、目を輝かせながら言った。


「すげぇなそれ!俺もやりてぇ!!」


「たぶん5階層を突破しないと出来ないと思うぞ」


「なら1からやろうぜ」


「待て待て、せめてもう1つ試してからな」


「わかったよ·····でもそっちが成功したとしても俺もやりたいから付き合ってくれよ」


「はいはい、わかったよ」


 まぁ、俺もこの転移方法は気に入ってるからわからんでもない。それに俺とレイナだと5階層まで大して時間は掛からないだろうな。そう考えつつ再度転移準備を済ませて、今度はレイナの手を握り発動させた。目の前は変わっているしレイナもしっかり転移されていたので成功である。 


「おぉ!こりゃすげぇな!」


「よし、じゃあ確認も終わったし戻るか」


「あぁ、戻ってさっさと攻略しようぜ」


 本音は先を見たいがレイナの願いだから叶えてあげないとな。それに互いに連携が取れないと後々が恐いからな。前に一度一緒に依頼を承けたことはあるし闘いもしたからある程度理解しているが、出来るだけお互いの意志疎通を万全な状態で挑みたいからな。

 俺達は再度入り口まで転移して1階層から攻略を開始した。



·····················

··························

·······························


 そう思っていた時期も俺にもありました。気付けばもう五階層の扉の前である。何故いきなりそこまで行ったかと言えば簡単でレイナがほぼ単身で片付たからである。そもそも俺のサポートは必要すら無かった。レイナもレイナで途中から飽き始めたのか欠伸をしては片手間で倒している始末だった。


 扉の前に来てレイナは先程とは違い少しウキウキした様にしている。


「さってと、お次はミノタウロスかぁ。ルゴウ、確認なんだが魔物の数って増えていたか?」


 レイナはこの間話していた事を覚えていたのか、俺に確認してきたので道中の事を思い出しつつ頷いた。


「あぁ、1体くらいだな。亜種系統も少し多かった気がするしな」


「じゃあ、ここは多少期待出来そうだな」


「無茶だけはしないでくれよ」


 俺は浮かれすぎてヘマしないか心配で言ったのだがレイナは何て事は無いように言った。


「大丈夫だって。2体だったらどっちが早く倒せるか勝負しようぜ」


 勝負ってそんなゲーム感覚で言うなよ。俺はレイナに呆れつつもその余裕な態度を見て大丈夫だろうと思った。


「勝負って·····まぁ、レイナが言うんだからお互いに余裕なんだろうな」


「まぁな。ちなみに俺が勝ったら1つ言うこと聞いてもらうぜ」


「な!?戦闘面じゃレイナが有利だろ。勝ち目無いじゃんか」


 またかよ!?前回もこんなやり取りあったよな。レイナの実力は身をもって体験したから勝ち目無いだろ。


「なぁに、心配要らねぇよ。互いに闘気以外は使用禁止な。ルゴウは神通力のみで」


「いや、変わらないよね。どっち道レイナに有利じゃん」


 深紅之羽衣は馬鹿げた性能だからハンデでもなんでも無い。


「まぁまぁ、もし俺に勝てたら何でも言うこと聞いてやるよ」


「·············よし、乗った。この勝負勝ってみせる!」


「お前ホントにわかり易いなぁ。どうせエッチなお願いだろう」


「·······例え勝てなくてもやる意味はあるはずだ」


 まぁ、図星ではあるが誤魔化すことにした。それに正直負けても良いかなとも思ってる。レイナの事だし無茶振り無いはずだしな。·········たぶん。


 レイナは俺の急なやる気と目のそらし様で呆れつつ、笑いかけながら言った。


「じゃ、行くか」



 レイナの言葉と共に扉を開け、中へ入った。

 中に入るとあの牛顔の巨体が2体、行儀よく待ち受けていた。やはりここも増えていたか。亜種系統は見受けられないが持ってるもの位か。片方は大斧でもう片方は大盾に片手で大剣を手にしている。

 レイナは背負っていた大剣を抜き、下段に構え深紅之羽衣を纏いながら言ってきた。


「よし、じゃあ俺は大斧持ってるやつやるからルゴウはそっちな」


「了解」


 俺も両手にロングソードとファルシオンを手に仙気を纏い始めた。さて進化してからコイツとどの程度やりあえるか試してみるか。


 俺とレイナはどちらとも合図することはしなかったがほぼ同時にそれぞれの獲物に駆け出し一気に間合いを詰めた。


 俺は跳び上がり両手に持っている剣を右上方に振り上げ平行になるように同時に振り下ろした。ミノタウロスは片手に持っている盾で防ごうとしたが剣がぶつかった瞬間、耐えきれずにそのまま右下に叩きつけられるかの様に持っていかれている。

 俺は右足で着地した後、がら空きなった左側に踏み込み左下から時間差と角度を変えながら斬り込んだ。体勢が崩れたミノタウロスはなす術は無く左足を斬られた。勿論ここで攻撃を止めるつもりは無い。そのまま着いた左足で跳び上がり、体を捻る様に回転させ背後から思いっきり斬りつた。すると左足の時とは違い、更に鋭くそして深く斬りつける事ができ呆気なく終わってしまった。

 正直一瞬過ぎて歯応えが無かった。レイナの時はまず打ち負けてこんな隙は作らないし直ぐに対応してくるだろう。······まぁまず打ち負ける事自体無いだろうがな。寧ろ対応と云うよりも直ぐに迎撃してくるしな。比べてはいけないだろう。

 と云うよりも戦闘狂じゃないんだし物足りなさを感じないで以前より成長出来ていると喜んだ方が良いだろう。


 俺は先程ふと沸き上がった感情を振り払い、レイナの方に目を向けるとニヤニヤしながら俺を見ていた。


「よう、お疲れさん」


 俺はレイナの様子で察し、溜め息を吐きつつ返した。


「はぁ、レイナもお疲れ。そのニヤニヤした顔を見て察したよ」


「おう、俺の勝ちだ。思いの外ミノタウロスが弱くてよ。まさか一撃で終わるとは思っていなかったんだよ」


 一撃でって······本当に相手になってないじゃんか。そりゃ勝てないわ。でもこれでも早かったと思うんだけどなぁ。

 俺が悔しそうにしているとレイナは励ますように声を掛けてくれた。


「でも、ま、ルゴウも早かったしそう気を落とすな。それに何故だか今日は体の調子が良いのも俺が勝てた要因でもあるしな」


「······それでのいつも通りだったんだろ」


「まぁな。と言うわけで覚悟しておけよー。何にしようかなぁ」


 くっ、流石戦闘面は強いなぁ。いつかは勝ちたいが果していつになることやら。

 レイナは俺を見ながらニヤニヤとしているので観念しつつ言った。


「了解。叶えられる範囲でお願いするわ」


「おう。そうする気だ」


 悪そうな事を考えていそうだが問題無いだろうな。可愛いお願いなら全力で叶えてあげるか。


「さってと、お目当ての物を取りに行くか」


 俺達はミノタウロスの魔石を回収し宝箱の前まで移動した。箱を開けると中には指輪が1つと大きめのメダルが入っていた。········指輪ってどういう事だ?しかも内側に文字が刻まれているが全く読めない。デザインもシンプルで銀をベースに螺旋を描く様に赤い線が施されてる位だ。ミノタウロスを2体倒して報酬がこれってどうなのだろうか?とりあえず俺には必要無いしレイナにでも渡すか。

 俺はそのままレイナの渡そうと顔を向けたら何故か時が止まったかのように硬直していた。俺はその様子にどうかしたのかと思い声を掛けた。


「どうしたんだ?何かあったか?」


 俺の言葉にハッとしたと思ったら慌てるように首を横に振った。


「い、いやいや、何にもないぜ。あぁ、何にも」


「ん?そうか?なら良いんだが·····」


 俺はレイナの反応に不思議に想いつつ、箱野中の指輪を手にしてレイナに差し出した。


「はい、これ。俺には必要無いと思うしレイナにあげーーー」


「いやいやいや、俺こそ必要じゃないからルゴウが着けるべきだ。うん、その方が良い。そうしよう」


 そう言うと同時に指輪をひったくる様に取ると俺の左手を掴みレイナの胸元に引き寄せられ勝手につけられた。ってか何でよりにもよって薬指なんだよ。もう少しでその胸に着けてる装甲にぶつかりそうだったんだが。危うく突き指になるところだったぞ。


 俺は突然のレイナの行動に驚きされるがままだったが、とりあえず何でそんなことをしたのか聞くことにした。


「·······レイナ。譲ってくれるのは嬉しいんだが、何で直ぐ着けたの?」


 俺の疑問に何かをはぐらかす様に明後日の方向を見ながらほんのり顔を赤らめて応えた。


「それはー、そのー、あれだあれ。装飾品って無くしやすいから直ぐに身に付けた方が良いんだよ」


 すっごい怪しい。この分かりやすい態度からして何か隠しているに違いない。アナライズで視れば直ぐに分かるのだが魔力も結構使うからダンジョンの中では使いたくはない。


「·······因みに何で俺の左手の薬指なんだ。右手で渡そうとしたからそっちでも良いんじゃ無いのか?」


「右手じゃ駄目なんだ!!······じゃ、じゃなくてだな。その、あの、えーっと。あ、そ、その指輪はな左手じゃないと効果が発揮されないんだよ」


「じゃあ人差し指でも良くないか」


「いや、そこでも効果は······」


 段々と言い訳が出来なくなってきたのか声が萎んでいき、落ち込み始めて来てしまった。流石にやり過ぎたかなと思い、反省しつつレイナの頭に手を乗せ撫でながら優しく声を掛けた。


「悪かった。もう責めないよ。責めないけどせめて説明はしてほしかったんだよ」


「うん、ごめん」


 俺の言葉で素直にレイナも謝り、今度こそ話してくれるだろうと思った。


「·····説明する前に聞きたいんだけど、ルゴウって俺の事どう思ってるだ?」


 何故に今更そんな事を聞くんだ?まぁ応えるんだがな。


「そりゃ、す、好きだぞ」


 改めて言うと照れ臭いな。しかも俺が言った後落ち込んだ表情からの顔を赤くしないでもらいたい。余計に照れるわ。


「あ、あ、愛、しては、いないのか····?」


 レイナは更に顔を赤らめながら言っている自分も恥ずかしくなったのか、モジモジしながら言ってきた。俺も恥ずかしくなるし言いづらくなるから止めてほしい。

 俺が直ぐに応えないことに不満に思ったのか少しオドオドしながら催促してきた。


「ど、どう、どうなんだ?」


 いや、もう勘弁してほしい。これが惚れた弱みと云うことなのか?全部が可愛いらしく見えてくる·······いや、言い過ぎた。全部じゃないな、戦闘面以外だわ。

 俺は照れや恥ずかしいと言った感情を押し退け、今この湧き出てきている感情を言葉にするため見つめ返した。


「改めて言うけど、俺はレイナの事を、あ、愛している。その感情に嘘、偽りは無い」


 俺がそう言うとそれはもう顔を更に赤くしながら嬉しそうな表情を浮かべた。


「·····え、えへへ。改めて聞くとなんか嬉しいな」


「やめろ、俺は言ってて恥ずかしいんだから」


 ホントに恥ずかしいわ。こちとら自分の住みかで夜とか朝位ならまだ言えなくもないが、ここはダンジョンの中で日中だぞ。あー、これって絶対バカップルムーブだぁ。恥ずかし過ぎる。

 俺が心の中で物凄い葛藤に見舞われていることも露知らずレイナはモジモジとしながら次なる注文をしてきた。


「じゃあ、さ。その気持ちを示して欲しいなぁ·····なんて」


 これって注文と言うよりはもうおねだりだな。こうなったらとことん付き合ってあげるか。

 俺はもう吹っ切れってレイナの望む事をしようとそっと抱き寄せた。2人とも鎧を身に纏っているため小さくカシャンと音を発てたが気にしない。そして互いに吸い込まれるように唇を

寄せていき口付けを交わした。


「ん·····」


 周りに人が入れば長く感じただろう。だが俺達にとっては短く感じられる時間であった。互いに唇を離した時に俺は少し物足りなさを感じてしまった。レイナも同じ心境だったのか分からないが物欲しそうに潤んだ様に見える瞳をしている。


「ルゴウ·······もう一回·····」


 俺はレイナのその一言で堪らなく感情が抑えられずにもう一度行った。長くそして深く感じたいが為に舌を突き入れ絡めるようにした。レイナも俺のそれに合わせるように互いに絡め合わせた。幸せを感じ合えるよう愛を伝えるように。


善行 6/108



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