73.初々しいあれやこれや
目が覚めると薄暗い中にも岩肌が目に入った。体が少し気だるい感じがするが何処と無くスッキリしている気がする。そして左半身には柔らかい温もりと重みを感じられた。
その正体は理解している。いつもの様にレイナがそこにいるが少し内容が異なる。シーツを1枚寄り添う様に使い、その下は互いに肌の温もりが感じられる状態である。正直とても幸せです。まぁ、幸せそうに寝ているレイナの口から涎が垂れて俺の胸元を濡らしているのを除けばね。しかし、とうとうやってしまったなぁ。昨日言った事は事実だし後悔は無い。でもその後の事だ。理性のタガが外れて·····いかん、思い出しただけでまた外れそうだ。·····とりあえず涎でも拭っておくか。
俺は空いている手で俺側のシーツの端を掴みレイナの口元を拭ってやると、レイナはむずがる様な素振りを見せたが拭い終わると再度寝入った。
こりゃまだ起きそうにもないな。ゆっくり寝かせてあげるかと思い、2度寝する前にレイナの頭を撫で抱き合うように寝ようした。が、ここでレイナに動きがあった。もぞもぞと動き出したかと思うと上の方に登ってきた。まさか、これは·······と考えつく頃には目の前には大きな双丘が凶器として迫っていた。·······あ、あかん。レイナさん今日はや、やめ·····むぐっ!!
毎度お馴染みの様に俺の顔はレイナの谷間に包まれた。幸せだと思うだろ?確かに幸せに近いが今回は訳が違う。昨日は互いに求め合っていそのままの状態で寝ていた訳で今服を着ていない。と言うことは直接肌が俺の顔に張り付き息が全く出来ないのだ·········いや、マジで息が出来ん。何とかせめて呼吸できる空間を作らないと。
俺はもぞもぞと顔を動かしながら息が出来るように動かし、何とか呼吸が出来る空間が出来た。し、死ぬかと思った。
さてとレイナもまだ寝てるし俺も二度寝するかな。俺はレイナの体温と鼓動をよりいっそう感じながら段々と意識を手放しいった。
···················
·······················
·····························
頭の方に何かが触れている感触があり目が覚めた。それは優しく大事にするように撫でている感触である。不思議と嫌ではない。むしろ心地よい。俺はされるがままその感触に身を任せてそれを行っているであろう人物を優しく抱き締めた。
「······ふふ」
抱き締められた人物は俺の行動がおかしかったのか、いや、嬉しそうに笑い撫でている手を止め同じ様にそっと抱き締めた。
暫く互いに何も言わず抱きあい、俺はレイナと向き合うため顔を上に向けた。
「おはよう」
「あぁ、ルゴウ。おはよう」
レイナは今まで見たことの無い微笑んだ顔で言ってきた。こういった顔もするんだなと思いつつ俺は一端上半身を起こした。
「さてと、今日は食料調達するが······ダンジョンはどうする?明日に延長するか?」
俺がそう聴くとレイナも上半身を起こし、気恥ずかしそうに頬を掻きつつ言った。
「そう······だな。ちょっと今日は無理かもな。昨日のルゴウ········その······なんだ。······激しかったし·····違和感があるし」
「あ······いや·····その····すまん。つい、可愛らしくて感情のコントロールが出来なかった」
本当に申し訳ない。でも無理だよ。あんなん見せられたら我慢なんか出来る訳がない。
俺が少し申し訳無さそうに言うとレイナは少し顔を赤らめながら言った。
「か、可愛いとか、いきなり·····言うなよ」
そういう所なんだけどね。普段とのギャップがあるからかなおのこと可愛らしい。ただ、ここは暴走せずに今まで通りに接していこう。
お互いに何とも言えない間が出来てしまったので俺は一度自分の昂る気持ちを抑えるため、深呼吸を一回した。
「え、えーと、となると今日は食料調達したらのんびりするか」
「そ、そうだな。狩りとかなら問題無さそうだから俺も付いていくかな。それにここら辺の地理も把握したいしな」
レイナも同じような心境だったのか取り繕うように賛同してくれた。
「あんまり無理すんなよ」
「大丈夫だって。無理だと思ったらおぶってもらうからよ」
「はいはい、幾らでもおぶりますよ」
俺がそう言うとレイナは少し悪い顔でにやけつつシーツを脇の下からくるんで両手を広げた。
「お、なら早速······はい」
「早いよ······どちらまで?」
俺は呆れつつも素直に頷き、俗に云うお姫様抱っこでレイナを抱えた。レイナは少し考える素振りをした後、笑顔で言ってきた。
「んー、そうだなぁ。とりあえず軽食とってから風呂かな」
「了解、湯は冷めてる筈だから後で温めるか」
「任せた。俺は魔法はてんでダメだからな」
「はいはい、知ってますよ。大人しく待ってて下さいよ」
「おう、そうしとく」
「あ、そうだ。一度やってみたい事があったんだ。ルゴウちょっといいか?」
ふと思い出したかの様にレイナが言うと手招きをしてきた。どういう事だ?
「ん?やってみたい事?」
俺が疑問に思っているとレイナはまわしている腕を使い上半身を起こし唇を重ねてきた。突然の事で驚いている俺を他所にレイナは唇を離し少し照れながら言った。
「お、おはようのキスを····だな。やってみたのだが······意外と照れるな。だけど悪くはないな」
「あ、あぁ·····確かに、照れるな」
だから止めてもらえませんかねぇ!?コイツ何なん?俺の精神力そんなに削ってさぁ!!ええ、嬉しいですとも。こんなんされて嬉しくない男はいないだろ。
俺は何とか風前の灯のような理性を頑張って維持しながらレイナを運び、軽く軽食を食べて風呂に入った。···········まぁ、その長風呂になってしまったとだけ言っておこう。
俺とレイナは身支度を整え森の中を散策してまわった。俺の知っている範囲内で案内しつつライの実や果物、木の実を採取し次は主食になる肉を探しまわっている。
俺の隣で終始楽しそうにしているレイナが話掛けてきた。
「ここら辺の肉かぁ。何が出るんだ?グレイトボアか?ホーンラビットは居そうだけど肉の量が少ないんだよな」
「グレイトボアってのは知らんが猪はいるな。たぶんホーンラビットも知らんが名前から推測すると似たようなヤツはいるぞ。後はカエルとかデカイ蛇なんかもいる」
「ああ、そうか。ルゴウは魔物の名前なんて知らないもんな」
レイナは時々知ってると思って言ってくるんだが忘れて無いよね。俺はゴブリンで前まで森の中で人とあまり関わらず生きてきたんだよ。口に出してはこうして納得しているけど。
「知る機会も無かったし、覚えていたとしても食べれるか否かだしな」
実際に名前を知っていたとしても森の中では食えなきゃ無意味だしな。まぁでも覚えておいたら直ぐに判断出来るから損は無いだろう。
「ま、これからは俺達が居るんだから徐々に覚えていってもらうしな」
そういうとニカッと笑い掛けてくるが、そろそろ突っ込んだ方が良いのだろうか?とりあえず聞いてみるか。
「·······つかぬことを聞くが、昨日は特に気にして無かったんだが····達って俺とレイナの事だよな」
俺がそう言うと一瞬何を言ってるんだ?と云う風に首をかしげた。
「ん?いや、ちげぇよ。ルゴウは入って無い。俺とリンの事だよ。なんだその反応は?おかしな事言ってないだろ」
俺がまさかのレイナからの発言を聞いて驚いていると、レイナは変な事でも言ったか?と云う反応をみせた。いや、俺の反応はおかしくないぞ。
「いや、さ。まさかリンも入っているなんて思っては········いや片隅にはあったけども。その、なんだレイナはいいのか?」
何となく含みのある言い方だが、正直言っていいものか悩む事である。俺の反応に少し呆れた様にとも残念な様にも捉えられる何とも言いづらそうに話した。
「良いも何も·······いや、多少なりともこの気持ちを独占したいとは想うんだが一応合意の上だしな。その反応だとリンより先を越したってだけで満足しておくよ。それに······」
レイナは俺の顔をチラッと見た後、意を決して自信を持って口を開いた。
「ルゴウの事だしどちらかを蔑ろにはしないだろ?」
レイナのその言葉を受け素直に応える事にした。
「当たり前だ。そのつもりは無い。とは言っても暫くリンとは現状維持だと思うがな」
ただ、我ながら何とも身勝手な事を言ってるのは自覚がある。正直不健全だがリンの事も好きではある。一度今までの自分の想いから踏ん切りがつくとつい欲張りになってしまう。ただ、そのなんだ。あえてそう言ったのには理由があるんだが······
俺の言葉に不服そうな表情でレイナは言った。
「なんだよ。好きじゃないのかよ。男なら好きな女抱えてなんぼだろ?」
「じゃなくて、その、なんだ。言葉に出すと照れるんだが·····リンには申し訳ないと思うがレイナとの時間を大切にしたいなと思ってるんだ」
折角打ち解け会えたのだからもう少しイチャつきたいのが本音です。俺が照れ臭そうに言うとレイナも顔を真っ赤にして声をあげた。
「ば、ばっか。いきなり、そんな事言うなよ。·······嬉しいけどもそうする分リンにも応えてやってくれよ」
「わかったよ」
「ただまぁ、次会った時には受け入れろよ。じゃないとたぶん······襲われるぞ」
次って俺の想定よりは早そうな気がするが、レイナのマジな言い方に少し戦慄が走ったが冗談だと考えつつ言った。
「いや、まさか·····」
「ま、そん時が来たらわかるさ」
するとレイナはどちらでも良さそうに言った。ただ、俺としてはその感じはあるのだろうと肝を冷やしつつ頷く事にした。
「お、おう。しっかり受け入れます」
「分かればよろしい。だが、ルゴウの言ってる事も一理あるから今は俺だけが独占出来るって事で。というわけでおぶって」
俺の反応に納得したのか今度は甘えるように両手を広げて言ってきた。俺は出る前にもやっていたので先程とは違い肩の力を抜いてそっと抱き上げた。
「はいはい、わかったよ。でも肉はどうするんだ?」
「帰りがけで発見できたら魔法で宜しく。無くてもまぁ、まだ干し肉とか俺も持ってきてるし何とかなるさ」
「了解。頼りにさせてもらうよ」
「んふふー、楽チンだ」
「こら、足をバタつかせるな」
俺はレイナを抱え住みかに他愛のない会話をしながら帰っていった。道中ホーンラビットを魔法で射貫、それをレイナの魔法袋に入れ持ち帰り血抜きを行いつつ待ってる時間はイチャついていた。こんな時間が今後も続く事を願うばかりである。
善行 6/108
書いてて思ったのがコイツら爆発しないかなぁって、戻った後の話しも書こうか考えたのですが止めました。後は読者の方々の想像にお任せします。
次話も執筆中ですがダンジョンでの戦闘どうしようか模索中です。
引き続き読者に楽しんで戴けるよう、又自分も楽しく書き続けていきます




