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ゴブリンから始まる物語  作者: となりの戸愚呂
72/124

70.それでいいのか?

投稿がかなり遅れました。申し訳ありません。

また暫く投稿は不定期になりそうです


 ガルシアから貰ったドッグタグを首から下げ、ローナ達の所に行くとそれを見た時驚かれた。驚かれている本人も未だに信じられないのだが。皆にドッグタグを貰った経緯を話すとそれでもまだ信じられない様子である。だがそれについて文句を言う人は誰もいなかった。むしろレイナが一番喜んでいた方である。だからと言ってそれを理由に祝い酒だと言うのは早すぎるだろ。まだ昼だぞ。この呑兵衛が。


 そして俺達は一度ガルシアから依頼された事に対しての細部の確認をするため、ギルドに設置されてあるテーブル席に移動した。

 席に着くなりレイナは手を挙げ良い顔で言った。


「すんませーん、エール1つー」


「あ、私にも1つお願いします」


 レイナの声に賛同するようにレヴィアも注文しだした。


「いやいやいや、依頼の話をするんじゃなかったのか?何故にエール注文してるんだよ」


 俺のツッコミにレイナとレヴィアはキョトンとし仕舞いには何言っているんだ?って顔までしてやがる。


「諦めろ。いつもの事だ。レイナもレヴィアもその一杯だけにしておけよ」


「わーってるって」


「大丈夫です。これくらいじゃ酔いませんし」


 レイナがもう諦めきった感じで俺に諭してきた。仕方ないか。


 注文してすぐにエールが届くと2人は待ってましたと云わんばかりにジョッキに手を伸ばし一気に呷った。


「かー、美味ぇ!」


「やっぱり昼から飲むお酒は美味しいですね」


「·······さ、話を進めるか。今回のダンジョン探索についてだが·····ルゴウ、先程言っていた事で5階層まで一気に行ければ時間の短縮になるのだが、出来なかった場合も視野に入れてある程度情報が欲しい」


 仕切り直すかのようにローナは俺に話してきた。俺もこの2人は置いておいてダンジョンの詳細を話し始めた。一通り話し終えるとローナが口を開いた。


「ふむ、5階層までは魔物の数が増えようがどうにかなりそうだな。亜種が出るのは少々骨が折れるがな。それと魔物が大量発生する部屋は危険だが先に知れたのは大きい」


「······だよね。もし入ったら対処は出来なくは無いけど疲れる。······もしかしたらルゴウがやったときより多い可能性があるしね」


「問題はミノタウロスねぇ」


 少し困った様にマリアが言うとローナは頷いた。


「そうだな、数が増えると厄介だが·····もし数ではなくて亜種になった場合だな」


「·······うへぇ、想像したくないし戦いたくない」


「そうですね。そこを想定するとかなり厄介ね」


 ユーリもレヴィアもうんざりした様子で言うがそんなに厄介なのだろうか?確かに違うタイプの亜種とは戦った事はあるのだが·····今までのとは次元が違うのだろうか。


「なぁ、ミノタウロスの亜種ってそんなに厄介なのか?」


「あぁ、アレは通常のミノタウロスより力が強く硬い。レイナぐらいの火力を出せれば問題無い」


「それほどなのか·····結構骨が折れるなな」


 レイナぐらいって相当だよなぁ。あんまり受けたくはないな。

 俺は少し顔をしかめるがローナは逆に肩の力を抜くように言った。


「·······と言っても、だ。今回はルゴウもいるし何とかなりそうだろう」


「確かにそうですね。レイナと渡りあえる位ですし大した問題にもならないでしょうし」


「·······いっそ2人に任せて休憩しても良いくらい」


「おいおい、ちょいまーーー」


「当たり前だ。ルゴウは魔法も使えて力も十分だし休憩しといて良いぜ」


 信用してもらうのは嬉しいがユーリの言葉には待ったを掛けようとし時、それを被せるようにレイナは意気揚々と言った。


「いやいや、何言ってるの!?さっきの話し聞く限り無茶だろ」


 レイナのまさかの賛同に驚くが俺とユーリ以外は頷いていた。·······ってかユーリ、冗談で言ったものの思いの外賛同を獲られてキョトンとしてるし。


「無茶だと言ってもなぁ。正直問題無さそうなのは事実なんだ。ルゴウはレイナの深紅之羽衣の状態と闘っただろ」


「あぁ、確かに闘ったが····」


 あれはキツかった。本当に力の底が見えなかったし余裕ないしで。


「因みにだが参考までに言うがミノタウロスの亜種は深度3で倒せるくらいだ。だがルゴウ、お前は深度5までいっていたんだ。この意味が分かるか?」


「すまないが·····それって凄い事なのか?正直度合いがわからない」


「深度と言うのは私達が分かりやすいように呼んでるもので、順番に赤色を深度1とし、深みを増してきたら深度は2、紅が混じり始めたら3、完全に紅になれば4となり、それ以降はは淡く鮮やかになっていく毎に数値は上がっていく。まぁ、限界までは視たことはないが、紅になってからは闘気の大きさが目に見えて大きくなっていくからそれを指標にしている」


「と言うことは俺はミノタウロスの亜種より強いって事だな」


 マジかぁ。そんなに強いんか。なるほどだから賛同してたのか。

 俺が納得するとローナは頷き、呆れた様子で言った。


「そうだ。まぁ、ゴブリン単体でここまで強いのはお前以外いないけどな」


「そうねぇ、見たこと無いもの。だから頑張ってね」


「いや、だからと言って少しは支援してよ」


「大丈夫だって。俺とお前が居れば余裕だ余裕」


「あのなぁ」


 ホントに支援くらいはして欲しい。せめて回復魔法はお願いします。いくら強くなったって無茶はお兄さん駄目だと思います。


 話も区切りがよくなりローナは次の話をするため口を開いた。


「さて、その話しは終わりとして次は6階層からだな。······ルゴウ、先にお前が潜ると言っていたが1人だけで大丈夫か?」


「あぁ、問題無い。今まで通り探索しするだけだし無理はしないつもりだ」


「ふむ、なら宜しくたの·····ん?レイナどうしたんだ?」


 俺は頷くとローナも頷こうとすると視界の端でレイナが何かを閃きニヤけているのに気付いた。レイナは一瞬ビクッと反応したかと思うと、目を反らしながらドモリながら言った。


「ん、い、いや。なんでもねぇよ。ってか何でいきなり俺に話しを振るんだよ」


「いや、なんか変な事を思いついた顔をしていたからな」


「べ、別に何も思っちゃいねぇよ」


 レイナの様子に目をキツくして睨むが、素知らぬ様にまだ目を合わせずいる。

 そしてローナは嫌な予感がしたのか釘を刺す様に言った。


「············一応言っておくがルゴウ付いていくなよ。まだ物が揃ってはいないのだからな」


 ローナの予感が当たっていたのかレイナはギクッとした反応を見せた。·········いや、分かりやすすぎだろ。


「な、なに言ってるんだよ。分かってるって」


 レイナは慌てて誤魔化す様に言うが隠しきれていない。


「ではなんで私を見て言わないんだ」


「別に良いじゃねぇか、気にすんなよ」


 必死に誤魔化そうとするがもう無理だろ。そんな様子に見かねたのかユーリが呆れながら言った。


「······レイナ、相変わらず分かりやすい」


「まぁ、レイナですしね」


「い、良いじゃねぇか。俺だってダンジョンに入りてぇし。それに俺が居なくたって問題無いだろ」


 とうとう開き直りなら白状したが······レイナよそれは言っていて悲しくならないのか?


「まぁ、確かにそうねぇ。ここにはレイナが必要な依頼はないものね」


「······むしろ居ない方が五月蝿くないし迷惑を掛けないで済む」


「おい、ユーリ。俺がいつ迷惑を掛けてるんだ!」


「······自覚が無いほどの馬鹿だったか」


「喧嘩売ってんのか!買ってやるよ、表に出やがれ」


「·······喧嘩は売ってない、事実を言ったまで」


「んだとー!」


 どんどんとヒートアップしレイナはガタッと席を立ったときそこに待ったを掛けるようにローナが割って入ってきた。


「はぁ、ハイハイ。そこまでだ。ユーリも煽らない。レイナも落ち着け。どうせ言っても聞かないだろうしな。ルゴウすまないが迷惑を掛けそうだ」


「俺は問題無いが·······」


「あ?ルゴウは俺と行くのが嫌なのか」


 俺が言い淀むとレイナはまだ熱が冷めてないのか睨む様に言ってきた。


「嫌ではないが·····ダンジョンに行くとしたら明後日俺の住みかに集合するって事で良いのか?」


 レイナの事だから違うとは思うが一応そうでは無い方を言うとレイナは呆れた様に言った。


「何言ってんだ。明日俺もお前に付いてくに決まってんだろ。お前ん所からダンジョンまで近いならその方が楽だろ。それにお前の住みかなんか俺は知らないしな」


「お、おう」


 やはり違ったかぁ。そっちだと思ったんだよ。レイナは俺の態度に不満そうに口を尖らせた。


「んだよ、嫌なのか?」


「い、いや、構わないが·····寝るときどうすんだ?基本的に物が無いから地面で寝るんだぞ」


「別に構いはしねぇよ。野宿ん時は寝袋使っても地面だしな。それに宿みたいなベッドは期待してねぇよ」


 確かに野宿なら地面に寝るから問題無いがそもそもそうじゃないんだよなぁ。男(雄)と女が2人きりで·······っていつものことか。


「そうか····まぁそれなら気にしないんだが·····」


「おう。よろしく頼むわ!あ、エールもう1つ追加で」


「では私もお願いします」


 レイナは気にした様子もなく空になったジョッキを掲げ、新たなエールを頼むとレヴィアは手を挙げた。はぁ、気にしてもしょうがないな。俺が紳士に徹すれば問題無いしな······出来るかなぁ、頑張ろう。


 俺の気を他所にユーリはローナに顔を寄せ耳打ちをした。


「······ねぇ、ローナ。本当に2人にしても良いの?」


「······うーん、まぁ大丈夫だと思うが····むしろ何かあった方が面白そうってのはあるな」


「·····確かに。イジるネタが増えそうでいいか。·····後はルゴウがヘタレなければなお良し」


「おい、ユーリにローナ聴こえているぞ。内緒で話すなら居ない所でしろよ」


 なんで途中から聴こえる様に言うかな。絶対に面白がってるよな。


「いやなに、気にするな。ルゴウも頑張れよ」


「あのなぁ」


 俺はローナとユーリのニヤケた顔に溜め息を吐いている横で、当のレイナはエールを美味そうに飲んでいた。

 するとマリアが俺に手招きをしたので一度席を立ち傍に寄ると耳元で囁いた。


「大丈夫だと思ってるけど出来れば避妊するのよ」


「なっ!?」


 何を言ってるんですかねこの人は!?そんなのするに······って違う、そうじゃない。そういうのは好きな人同士で、じゃなくてそういう段階ではない。

 俺のあたふたした顔が面白かったのかマリアは小さく笑い「冗談よ」と言った。勘弁して欲しい。

 俺はからかわれた事に溜め息を吐き、暢気にエールを飲んでいるレイナを見たらどうでもよくなってエールを頼んだ。そんな俺を尚も面白そうにマリアは見ていた。


「あらあら、拗ねちゃって。本当に人間味あるわねぇ。いっそのこと今日は変身しちゃえば?」


「駄目だ。門番の人に言われただろ」


「大丈夫よ。ここでならあの姿でも問題無いでしょ。出るときに解けばいいし、なんならバレはしないわよ」


「マリア無理強いは良くないぞ」


「あら、残念ね」


「さてレイナは暫くルゴウに預けるとして、私達は物資が届くまで小さな依頼で小金を稼ぐか。レイナも飽きたら此方に合流してくれ。ルゴウ、私達が行くとしたら最短で11日後にはなるからよろしくな」


「わかった」


「おうよ。ま、ローナ達が来るのが早そうだけどな」


「では今日はこれで解散だ·······後はルゴウ頼んだぞ」


「たの···ん·········って、あ!?」


 俺が言葉の意味を理解した時にはレイナとレヴィアを残して他の面子は足早に去っていった。頼むってこの事かよ。


「さってと、堅苦しい話も終わったことだし、とことん飲むぞー」


「そうですね。じゃんじゃん飲みましょう!」


「おーー······」


 2人のテンションとは真逆の俺はその場に項垂れた。とりあえず目の前に出てきたエールに口をつけ切り替えるか。


善行 6/108

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