表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゴブリンから始まる物語  作者: となりの戸愚呂
70/124

68.想わぬ情報 1

今回はフライングして投稿します

案の定長くなってしまったので区切りました


「こちらが皆さんが集っている部屋です」


 案内された部屋に入ると40代後半位で体格が良い男とローナ達がいた。レイナも来ているが俺の顔を見るなり背けている。いや、まぁあれからそんなに時間経ってないしね。気恥ずかしさはあるだろう。俺も例に漏れないんだけどね。うん。


「君が今話題のルゴウ君だね。彼女達から聞いているそちらに座ってくれ」


「え、あ、はい。失礼します」


 俺はその男に促されるまま空いている椅子に座った。俺の行動に男は少し驚いた表情をしたが直ぐに表情を戻し口を開いた。


「うむ、話には聞いていたが実際にこの目で見ると不思議な感じがするな。さて、本題に入ろうか。貴様の目的は何だ」


「目的·····?」


 俺は男の言っている意味が解らずつい聞き返してしまうと男は頷いた。


「そうだ。俺達を油断させ懐に入り込み、仲間のゴブリンに襲わせるのが目的なのか。もしくは魔族の諜報員として人族いや、敵情を入手し罠に掛ける事が目的なのか?」


「だからガルシア、ルゴウはそんなんじゃねぇって。何回も俺らが説明したろ」


 レイナはテーブルに音を発てながら手をつきガルシアと呼ばれた男に睨みを利かせるが、そんなレイナを一瞥しガルシアは淡々と言った。


「レイナは黙っていろ。これはギルドを預かる者として見極めなければならない事なのだ」


「でもよーーー」


「レイナ、今は黙っておこう」


 ローナに言われ渋々と言った風にレイナは引き下がり、ムスッとした顔で深く椅子に座り直した。


「横槍が入ったが、貴様はどうなのだ?」


 いやどうもこうも、そもそもほぼ拉致られただけだし目的なんかねぇよ。それに魔族って何だよ。初耳だわ。それに仲間のゴブリンとかいない、ただのぼっちだわ。


「すまないが、質問をしていいか?」


「こちらが聞いているんだ、答えろ。その後に聞いてやる」


 まぁそうなんだけどさ。こんな訳の分からんゴブリン相手だし、そもそも信用なんて無いだろうが·····言い方が何かムカつくな。しかし正直に話しても納得してもらえるだろうか?

 俺は腕を組み悩んでいると、ガルシアは痺れを切らしたかの様に怒気の孕んだ口調で言ってきた。


「どうした。言えんのか。それとも言いづらい事なのか」


「いや、言いづらくは無いんだが······目的も何もレイナに無理矢理連れて来られただけだし······そもそも逢っていなければそのまま洞窟に帰る予定だったからな」


 俺はムッとしたので正直に言うことにした。まぁ、勿論それでガルシアは納得してないようだがな。


「では直ぐにでも帰ればいいではないか。何故そうしなかった」


「それはレイナに誘われて飲み廻っていたり、貰ったお金は使い道無いから、なら少しでも洞窟暮らしを快適のしたいと思って物と交換したりしてるだけだ。まぁ······その後はレイナ達と居るのが何だかんだで楽しかったから今の今までズルズルと滞在していたわけだ」


 俺の言葉に想うことがあったのか顎に手を添え考える素振りをし、先程よりも真剣に俺を品定めするかの様に見据えてきた。


「·········ふむ、誘われたのはわかった。まぁレイナの事だしな。だが金など使わなくても物は奪えば良いではないか。何故そうしない」


「何故と言われても困るんだが、そこまでする必要性は無いだろう」


「必要性は無くても貴様はゴブリンだ。ゴブリンは本来群れで生活をし、狡猾に他種族を襲っては略奪を繰り返し、女を犯し連れ去る魔物だ。だから今も狡猾に俺達を騙そうとしているやもしれん。今一度問う。貴様の目的は何だ」


 俺の目から感情を一片たりとも逃そうとしないよう、ガルシアは揺らぎ無く目を更に鋭くしながら言った。

 ならば俺も結果がどうなるか分からないが誠意を持って答えるべきだろう。


「だから目的なんか一切無い。俺は確かにゴブリンだが、そこまでする魅力は一切感じられない。それに俺と同じく思考できるゴブリンならまだしも、そこら辺に居るゴブリンは害悪でしかないし群がりたくもない。いや寧ろ、駆除する。母さんみたいな犠牲者は出ない方がいい」


「お前の母さんと言うのは·····」


「既にケビン達に救助された人族でゴブリンに拐われた犠牲者だ。俺の大切な家族だった人だ」


「ケビンにか·····となるとルアナの事か」


 ガルシアは先程までの姿勢を崩し、椅子に深く腰を置き顎に手を添えながらそのときの事を思い出し、呟く様に言った。


「母さんの事を知っているのか!?」


 俺は母さんの名前を知らなかったが、もしかしたら母さんかもしれないと思いつい前のめりで聞いてしまった。そんな俺の反応が意外だったのか少し驚いたあと、先程よりもトゲはなく探るように言ってきた。


「あぁ、知っているが貴様知ってどうする?逢いたいのか?」


「·········逢いたい。が、逢わない方が良いとは思ってる。だけど、あの後どうなったのか元気で居るのかは知りたい」


 そう、逢わない方が良いと思う。母さんにとっては俺は辛い過去の一部のなのだから。逢えばあの時の事を思い出して悲しんでしまうかもしれない。だけどその後の安否位は訊いても良いだろう。

 ガルシアは俺の言葉と態度で納得し頭を掻きながら言った。


「·········はぁ、まぁ良いだろう。すまない試したような事を言って。どうやら我々に害をもたらすような奴では無さそうだ」


「だーから言っただろ。ルゴウは良い奴だって」


 レイナはやっと納得いったかと云わんばかりに少しむくれながら言った。


「······っふ、レイナの庇いっぷりが面白すぎる」


「なっ!?べ、別に、普通だろ」


「はいはい、そうねぇ。そう言うことにしときましょう」


「レイナったら私を抜きにルゴウとばっかり飲むくらいお気に入りだものね。寂しかったけど面白いから許します」


「マリアとレヴィアまでなんだよー」


 レイナは顔を赤らめて抗議の目をしているが俺以外はそれをニヤニヤしながら見て面白がっていた。


「ククク、ルゴウって言ったか。お前想像以上に面白いやつだな。こんなに、しかもレイナに気に入られてるなんて羨ましいなぁ」


「おい、ガルシア。絶対に俺の事バカにしてるだろ」


 レイナが不満が爆発したかの様に怒り出すとそれ以上にガルシアは鬼の様な形相で身を乗りだし指を突き付け怒鳴り出した。


「当たり前だ、この馬鹿が!腕は良いのに考えなしに行動しすぎだろうが。今回のルゴウの件だってそうだろ。問題無さそうだから良いものの、不用意にテイマーでも無いのに連れてくるな!」


 まさか怒られるとは思っていなかったレイナは突然の事で驚き、辿々しく言い繕おうとした。


「い、いや、俺の勘がーーー」


「うるせぇ、勘で連れてくるな。ローナ達も止めれば良いものの賛同しやがって。お前らも同罪だ」


「申し訳ない」


 ローナ以外はばつが悪そうに頬を掻いたり目を反らしているが、パーティーの代表としてローナが謝った。

 ガルシアは言った事で少しスッキリしたのか、再度椅子に深く腰を下ろし腕を組んだ。


「まぁ、面白いものが観れたからここらで勘弁してやるが······気ぃ付けてくれよ。最近魔族の方で怪しい動きがあるからな」


「あぁ、さっきの話か。正確には一部の人族と魔族だったか」


「そうだ、ったくメンドくせーったらありゃしねー」


 そういうとガルシアは思い出したく無かったのか、ガシガシと頭を乱暴に掻きため息を吐いた。

 それはそうとさっきから出てくる魔族って何だ。どう言ったものなんだ?あと、母さんの事も知りたいんだが。


「なぁ、ガルシア。聞いても良いか?」


「ん?あぁ、わりぃ。えーっと、ルアナの話か?冒険者は辞めちまったが元気にやってるよ。他の女性よりも早く立ち直って働き始めているって話だ。その後の話は申し訳ないがわからん」


「いや、教えてくれてありがとう。元気でやってるなら良かったよ」


 本当に良かった。元気でやれているのであればもう大丈夫だろう。後は母さんの人生だ。これからは幸せになって欲しい。俺もこれで心の中のつっかえが取れた気がする。本当に良かった·····

 さて、気持ちを切り替えてもう1つの気になる事がある。正直話の意図が全く見えないから聞かないと始まらないだろう。

 俺はホッとしてから、気持ちを切り替えてガルシアに訊ねた。


「後もう1つなんだが、さっきから話に出ている魔族って何者なんだ?何か問題でもあるのか?」


「魔族自体を知らなかったのか·····ふむ·····」


 一瞬、ガルシアは話すかどうか考える為か、顎にある髭を撫で俺を見据えた。


「まぁ、言っても問題無いだろう。ルゴウが魔族側に寝返る可能性は低そうだしな。魔族と言うのはな、どの種族よりも大きく魔力を有し、身体能力は種族によって異なるがまばらだが人族よりも比較的高い。身体的特徴は主に角や尻尾、翼、肌色等が異なることだな。それと友好的な種族も居れば、敵対的な種族もいる。まぁそこは人族も同じなんだがな」


「なるほど。で、今回問題に挙がっているのは敵対的な魔族と人族の事か」


「そうだ。そいつらが今あちこちで問題を起こしているらしい。まぁロサルガには影響は今のところ無いが気に掛けているところだ」


 ガルシアは頷きはしたが詳細までは語ってくれなかった。うーん、まぁ気になる所だけど知ったところで力にはなれないから気にしなくて良いか。

 するとレイナが頭の後ろに腕を組みながらどうってこと無いように言った。


「まぁ、俺達が暫くここに居るから問題無いだろう。シュガー達も居るしな」


「·······正直、暫くここでのんびり過ごしたい。····戻ったらメンドー事が増えそう」


 ユーリは心底面倒くさそうにだらけながら言うとローナは物言いたげにユーリとレイナを見ながら言った。


「私は·······いや、そうだな。ここで活動する方が良いだろうな」


 ローナは途中、何かを言い掛けたが俺の顔を見た瞬間何かを思い付いたかの様にニヤリとした。するとマリアもレヴィアもローナの考えに気がついたかの様に同じ様にニヤニヤし始めた。


「そうねぇ、確かにここで活動した方がいいわねぇ」


「美味しいお酒もあるし、治安もそこそこですし文句もあんまり無いですしね。それにー」


 その言葉と共にローナ達は一斉にレイナの方に視線を向けると、レイナは未だに何の事か理解出来ずたじろいだ。


「な、なんだよ。何で俺を見てるんだよ」


「「「別にー」」」


「だー、もうなんだよ!気になるじゃねぇか!」 


「くくく、あーはっはっはー。いやー、面白ぇなーお前ら。こりゃ是非とも残っててくれた方が良いわ。良いものが見れそうだ」


「くー、なんだよお前らぁ」


 レイナ達のやり取りに堪えきれなくなったのかガルシアは大笑いし、レイナはいじけるように呟いた。


「ひひ、あー、じゃあお前らに特別依頼でも頼んで暫くここから離れられないようにしてやろう。まぁ承けるか承けないかお前ら次第だ」


 ガルシアは笑いが少し収まったのか何かを閃き、そして提案するように言った。


「依頼内容は簡単だ。最近出来たダンジョンの攻略をお願いしたい。期限は特に設けない。途中で辞退しても構わない。報酬は·······そうだな応相談になるが絶対に損はさせねぇよ。他の依頼承けても問題無し。これでどうだ?」


 レイナ達はガルシアの提案の意図が解らずキョトンとし、ローナはおずおずとした様子で訊いた。


「ガルシア、それではギルド側に特は無いのでは無いか?そんな依頼·····いや、そもそも依頼じゃないと思うが」


 ガルシアはローナの言ったことにポンっと膝を叩き、そしてニヤリと口許を吊り上げながら言った。


「良いんだよ。言ったろ。ここから離れられないようにするって。これさえあればどこぞから緊急収集が掛かっても言い訳出来るんだ。それにお前らが滞在してもらえればこちらも助かるんだ」


「どういう事だ?」


「基本的に金級冒険者以上は王都とか帝都に拠点を持っているだろう。こんな街に来るなんて依頼途中でも無い限り長期に滞在はしないから戦力が意外と乏しくなるんだ。だから万が一の為の保険さ。それに、な·····わかるだろ?」


 最後の部分で俺とレイナを交互に一瞥して、よりいっそう悪巧みをするかの様に言った。


「「「·····あー」」」


「ん?あんだよ。俺だけかわかってないのは?ルゴウはわかってそうな顔だな教えてくれよ」


 先程までの流れを忘れているのかレイナだけがわかっておらず、助けを求める様に俺に訊いてきた。


「いや、そのー、だな。えっとー」


「なんだよ、勿体ぶってねぇで言えよ」


 言い淀む俺に未だに察しないレイナという構図が出来上がった。っく、皆して俺とレイナを交互に見ながらニヤニヤしやがって。まだそんな関係じゃねぇよ。ガルシアの奴、めっちゃ良い顔しやがって。覚えてろよ。


善行 6/108

次話も書き進めていますが短くなったら申し訳ないです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ