64.そんなのチートやん
外野視点難しく途中で止まってしまったので急遽主人公視点で書きました。お許しください。
訓練所に鳴り響くのは乾いた木同士のぶつかり合う音ではなく、石のような硬い物同士がぶつかり合う音が絶え間無く、そして時折空気を切る音だけがこの場を支配している。
俺は両手の剣を使い様々な角度から斬りつけたり、時折右手の剣を腰に素早くしまい、背負っている大剣を片手で引き抜きながら振り下ろし、防がれれば左手の剣をしまい両手で大剣を握り締めたり、避けられれば左手の剣で追撃したりしている。
一方レイナは俺の動きに一つ一つ冷静に対応し、受けるモノと避けるモノを見極めて対処しつつもしっかりと攻撃をしてくる。ただの剣技だけではなくタックルや蹴りを組み合わせながらが厄介で、良いタイミングで出すためそのまま受けざるおえない場合が多い。その度に俺は軽く退けざらされるが次の初動が遅れないように踏ん張り、追撃を受け止めている。
全力を出してどれくらい経ったのか分からないがこれだけは分かる。レイナってやっぱり物凄く強い。
いやだってさ俺は仙術と魔力をフルに使って、もう頭打ちなのにレイナの闘気はまだまだ大きくなるわ、それに比例して力も速さも上がるわで限界なんか無いんじゃないかって思うよ。それに正直いつ一撃貰うか分からない状態なんだよね。って危な!!今のよく避けた自分を褒めたい。
「いやー、いいよ。その調子で頑張れー」
「っち。っクッソ。絶妙に加減し始めやがって····っと、どうだ!」
やっぱりレイナのヤツ余裕が出来てきてやがる。やっぱりチートだよこの強さ。俺と違って見た感じ魔力とかを消費してないし、かといって疲労とかでも無さそうだ。何なんだあの闘気は。
俺が放った攻撃は軽く受け止められ、お返しとばかりに剣を振り下ろしてくる。
「よっと。だってよぉ、ここまで闘気上げさせられる奴いなかったしよー。終わらすのが勿体ねぇって思うんだよな」
「ありがたい話だが、楽しく、ないんじゃないのか」
俺がそう言うとレイナは俺と距離を置くため、敢えて距離を詰めてきた。ショルダータックルからの回し蹴り。このコンボさっきから食らってるんだよな。蹴りは流石に両手をクロスさせて防いでいるけど、タックルは無理。対処出来ん。
後ろに大きく飛ばされるが転ばないように足腰を踏ん張り耐える事には成功した。でも蹴りを防いだ腕がメチャクソ痛いです。
それを見たレイナは感心したように、いや、嬉しそうに言った。
「いんや、楽しいよ。この打ち合いも中々な。それに先の事を考えたら尚更な」
「先の事?」
俺が意味が分からず聞き返すとレイナはまるで夢を見る少女みたいなキラキラとした目で言った。
「だってよぉ、ルゴウってその強さなのにジェネラルなんだろ?だったらキングになったら更に強くなるって考えたら、な。それに魔法も使えるからな、もう今後の事を考えるだけで楽しみで楽しみで仕方ないんだよ」
「やだこの人怖い、戦闘狂かな」
うん、正直にそう思ったら自然と口に出てしまったよ。あの表情からのこの内容ってあなたはどこの戦闘民族かな?もしかしてその闘気って実は界○拳なんじゃない?そんでその内に怒りを切っ掛けに金髪になったりしないよね。
俺が引いていると拗ねた様に唇を尖らせてレイナは不満そうに言った。
「しょうがねぇじゃねぇか。満足に腕比べも出来ねぇからつまんなかったんだよ。かといって魔物相手にやっても張り合いはねぇしよ」
「いやあの、レイナもさっき言ったけど俺ゴブリンよ。魔物よ。張り合い無いんじゃないの?」
俺の言葉にレイナはキョトンとしたが、合点がいったのか若干申し訳無さそうに言った。
「わりぃわりぃ、魔物って言っても討伐対象の話だ。ルゴウも確かに魔物なんだけど、討伐対象ではないし、んー、何て言うか別枠みたいな感じなんだよ」
「いや、うん。意味が分からない」
「まぁ、ルゴウはルゴウって事だ。気にするな。っつーわけで再開するぞー」
そう言うとレイナは構え直し、俺が構えるのを待っていた。俺はレイナの言っている意味が分からなく溜め息をこぼしつつ頭の中を切り替え大剣を構えた。
互いに向き合い、俺は仙気と魔力を織り混ぜ纏い、レイナは紅い闘気を滾らせどちらかが合図するわけでもなく戦闘が開始された。
······················
···························
··································
再開してどれくらい経ったのか分からないが決着は着いた。結果はレイナの勝ちだ。
詳細は仙気と魔力が尽きそうになり焦ってしまい、そこにレイナの鋭い一撃に対応出来ずモロに食らい、吹っ飛ばされて気絶した。幸いまだ仙気と魔力を纏っていたから重傷にはならず、マリアが駆け付けて回復魔法を使ってくれたそうだ。お陰様で気絶から起きた時に痛みがなくて良かったよ。
いやー、本当にレイナと手合わせ出来て良かったよ。今の身体になって限界が分からなかったから良い勉強になった。うん。
「ルゴウ、聞いてんのか?」
「そうねぇ、レイナの事どう思ってるのかしら?」
「そうそう·····って、ち、ちげぇよ!そうじゃなくてだな······」
········さて、現実に目を向けるか。今俺達はギルドの円卓を使って飲んでいる。全部俺持ちで。レイナのヤツ、1つだけ何でも言うこときくって条件で何が「今日1日俺の言うことを聞いてもらうからな。手始めにお前の奢りな」だよ。そんなん反則だろ。1つだけを増やすなよ。レイナのクセに頭使いやがって。はぁ、昨日の稼ぎと前の取り分で余ってはいるけど·····足りるかな。ちゃっかりローナとマリア、集まりが終わったのかリンとユンも合流して一緒に飲んでいるし。
「悪い、聞いてなかった。で、何の話だ?」
「だからよぉ·····って何の話だっけ?」
「はぁ、さっきの勝負の話だろ。神通力と魔力を混ぜ合わせたヤツ」
「あぁ、そうだった。良くあんな芸当思いついたな」
「あれか?出来たら火力上がるかなって試したたまたまな。レイナも闘気と魔力でやれるんじゃない?」
「んー、練習すれば出来るかもしれないが···感覚が分からないんだよな。そもそも魔力を纏うって事したことないからな」
「私は闘気も魔力も纏う事は出来るが混ぜ合わせるのはな·····コツはあるのか?」
「コツか····んー、そうだなーーー」
「ところでリンちゃんはルゴウとどういう関係なの?ユンちゃんは?お姉さん気になるなぁ」
「んー、僕はまだ友達かなぁ」
「私はー、リンと違って普通の友達だよー」
「へー、なるほどねぇ」
「えへへー、マリアさんってーーーー」
マリアとリン、ユンは別の話で盛り上がり始めている。流石につまらなかったか?いや、そうでは無さそうだな。時折マリアは俺の方を見てニヤッと目を細めたりしているし。ユンもニヤニヤしながら話してるし······き、気になる。
そう思っていたらマリアがレイナを弄り始めてあたふたしてるわ、ユンもリンを弄り始めて混沌と化してきたな。いや、和気藹々としていて楽しいんだけどね。
とまぁ、そんな感じで夜になるまで楽しく語らっていたのであった。·······あ、やば俺の方に飛び火してきそう。レイナ、お願いだから自爆すんなよ。マジで頼んます!いや、リンも変な事は言わないでね!ローナ、頼む掘り返そうとするな!ユンはそれワザとだろう。いや、リンもレイナも何で睨んでくるのさ。くそーー!!
善行 6/108




