62.あ、そうだった
遅れました。楽しみにしている方には申し訳ないです。
リアルの仕事事情で中々執筆出来ませんが元のペースで投稿できるようにはしたいです
微睡む意識の中、ふと気が付くと温もりと重さがあった。あぁ、昨日結構飲んだし、またレイナと一緒に寝ていたのか。そして抱き枕にでもされているんだなっと思った。········だが意識が段々とハッキリしてくると何かがおかしかった。
片方には何度も経験してきた事のある心地よい柔らかさと顔に当たってる弾力がある重量物。そこまでは良いのだがもう片側にも控えめだが柔らかい感触に腕を捕まれている。しかもこの感触は何度も経験してきた事がある気がする。しかし、何処であったかまでは思い出せない。何処だったか·····
俺は気になり目を開くが視界の半分が重量物に覆われているため確認は出来なかった。離れれば良いのではないかと思考では分かっている。だが手放すのが惜しいっと思ってしまうのは男の性であると思う。
そんな馬鹿な事を考えていると片側に動きがあった。モゾモゾ動き出したのである。一瞬俺は起きたのかなと思ったが、どうやら自分の良いポジションが決まらない為動いていただけである。
「ん······えへへー······ルゴウ·····」
俺は戦慄が走った。聞き覚えのある声。それと同時に思い出される感触。これはリンだ。
何故リンが一緒に寝ているんだ確か昨日飲み終えてからは普通に帰ってきたはずだ。で自室に戻って酔っ払ってるレイナを寝かせて俺も寝たから······ってあれ、リンとそういえば別れてなかったな。いや、そういえばあの時レイナが何か言ってたような······
ーーー「よっし、今日はこんくらいにして帰って部屋でも少し飲むぞー。と言うわけでルゴウ宜しく」
「へいへい」
「あ、僕も付いてく!」
「おう、いいぞー。さぁ自室で後半戦だー」
················あぁ、そうだ。そうだった。あの後更に部屋で飲んだんだ。で、酔い潰れたレイナを寝かして俺もリンを放ったらかしにして寝落ちしたんだった。リンには申し訳ない事をしたと思う、が何故にレイナ側じゃなくて俺なんだ。イヤじゃないよ、幸せな気持ちになれるよ。この状態は望んで出来るようなもんじゃないって分かってるんだ。でもさ、俺はゴブリンなんよ。端から見たらどういう状況なんだよ。絵面が何ともいえないよ。だから言うけど、もう、ありがとうございます!
いや、うん。ごめんなさい。落ち着きます。とりあえず思考を切り替えてこの状況どうしようかな?2人とも起きそうな気配も無いし、毎度の事と同様に幸せに包まれながら二度寝でもしようかな。
「·········うーん····」
そんな事を考えているとリン側の方に動きがあった。また寝付きやすいポジションでも探っているのかなと考えたが様子がおかしかった。掴んでいた俺の腕を放したと思ったら上の方にずらし、自身の身体をより近づけたと思ったら登って来ている。いやなんでだよ。
完全に登りきると俺の胸元に顔を埋めるように擦り付け後、満足したのかスヤスヤと寝始めた。
なんだこの生物は。可愛いか。じゃなくてそこのポジションは色々とマズイ部分が在るわけで·····どいて欲しいんだが······でも、どかすのも可哀想だし、どうしたものか。
考えた結果、現状維持で耐える事に決めた。この状態から抜け出すのが勿体な···じゃなくて抜け出した時に起こすかもしれないしな。ここは耐えておこう。········ってか最近、朝にこういった絡みが続いているけど、俺その内に死ぬんじゃないかって感じるんだが気のせいだろうか。大丈夫···だよね。今日レイナと打ち合いして運悪くって事はないと思うが気を抜かないようにしていこう。
ちょっとした恐怖心を抱きつつ、決意を固めていると今度はレイナに動きがあった。一瞬、顔に当たっている重量物の片側に動きがあり軽くなったと思うとシーツを捲り揚げたまま固まっていた。
「········」
「·······すぴー、·········すぴー」
「···········ま、いっか」
レイナはそれだけ呟くとシーツを元に戻してもう一度俺の顔を抱きしめ直して·····って違うでしょう!
「レ·····レイナ、起きたんなら離して欲しいんだが」
「んー、もうちょい寝たいから寝ようぜ。嫌じゃないんだろう」
「ア、ハイ·····」
そう言うとレイナは再度寝息をたて始めていた。まぁ、確かに嫌じゃないし俺が変な気を起こさなければ良いだけだし、この柔らかくて幸せな気分を噛み締めて寝るかな。
そう心が決まれば自然とウトウトとしてきて、俺は段々と意識を手放していった。
····················
·························
·······························
いやー、二度寝はやっぱりいいねぇ。帰ってからはこんな良い暮らしはお預けになるから楽しんでおかないとな。ところでリンよ、そろそろ元に戻ってくれないかな。起きた時に暫く固まったと思ったら素早い動きで俺の上から退けて反対側を向きながら何やらぶつぶつ言ってるし。声かけても反応無いし。
それとは対照的にレイナは大きな欠伸をしながら身体を伸ばし、腹を掻いている。こら、シャツが捲れてるからそれ以上は手の位置を上げるなよ。見ても良いなら見るが殺されそうだから止めてほしい。
腹を掻き終え、動いたことによって段々と意識が覚醒してきたレイナが俺に話しかけてきた。
「さてっと、ルゴウ昨日言った通り昼から勝負だからな。忘れてねぇよな」
「忘れてない。装備とかはどうするんだ?後は内容もだが」
俺がそう言うとレイナはふむと腕を組ながら考え、思い付いた事を言っていった。
「装備は·····それぞれの得物の方が良いんだが、間違えで怪我なんぞして明日以降仕事に支障も来したくないから木剣かな。後は魔法は無しで剣術だけだ。もちろんルゴウの持っている仙術は強化位なら使っても良いことにしよう。勝敗条件は参ったって言うか本来であれば致命的な一撃になる攻撃が入ったらで良いか。んー、こんなもんかな」
おぉ、即席にしてはよく考えている。見直したぞ。ただの残念な娘じゃ無かったんだな。
俺がそう感嘆としているとレイナは何か不満げ言った。
「なんだよ、何か言いたげだな」
「いや、特にはないぞ。うんそれで良いんじゃないか」
「本音は?」
「そりゃあ、レイナにしては考え込まれている内容だなと驚いて·····いや、そのごめん。つい。だからその拳を納めて」
恐いって。話の途中から拳を固め出したから気づけて良かったけど、もう少し遅れたら殴られていたのかな。
「ったく、俺だってこれくらいなら頭は使えるんだ」
「あぁ、わかった」
何とか拳を納めてくれたレイナであるがジト目で見てくる。そう思ってしまうのも普段からのレイナの行動のせい何だが、まぁ置いておくかな。
レイナは俺の事を暫く見ていたが諦めたのか視線をリンに向けて話し掛けた。
「おーいリン戻ってこい。飯食いに行くぞー」
俺が声を掛けても反応無かったんだからレイナでもーーーー
「·····いや、でもその·······はっ、あ、うん食べに行く」
「えぇー」
いや、ホントにえぇーだよ。俺の声には反応無かったのにレイナの声には反応するんだね。なんかこう何とも言えない気持ちになるよ。
そんな俺の気持ちを知ってか知らずか2人は楽しそうに話しながら飯を食いに食堂の方へ歩き出すのであった。
善行 6/108




