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ゴブリンから始まる物語  作者: となりの戸愚呂
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59.置いてけぼり


 俺とリンが皆の所に戻る途中レイナが此方に向かって来た。途中でピタッと止まったと思ったら、何やら不機嫌そうな感じで近づいてきた。


「··········2人で何やってたんだよ」


 こ、怖っ。来て早々の言葉じゃないだろ。ってか今日はやたらと不機嫌じゃない?


「な、何ってさっき言ったじゃないか。残りのヤツが居ないか確認するって」


「じゃあなんでリンが一緒にいるんだよ」


「それはー」


 そう言えばちゃんと聞いてなかったな。何で付いて来たんだ?俺が返答に困っているとリンが察したのか代わりに答えてくれた。


「ルゴウが辛そうな顔をしてたから気になって付いていったんです」


「ふーん」


 リンが言ったことに少しは納得したけどお気に召してないのかムスっとしている。


「で?」


「?」


「で、何やってたんだよ。戦っている音はしなかったから、奥で、2人で、何を、してたんだ?」


 怖い怖い怖い。怖いって。そんな顔で俺を見るなよ。そして何でそんなに怒ってるのさ。変な事はしてないぞ。ただちょっと落ち込んでいる俺を気遣ってくれただけなんだが。


「決まってるじゃないですか。ルゴウを慰めていたんですよ。こうやってギューって抱きしめて大丈夫だよって、そしたら元気になってくれたんです!」


「ほ、ほう······」


 だからといって実際に抱きつかなくてもいいだろ。まぁ、事実だから否定は出来ないけどもさ。レイナの目元がピクピクしてるぞ。絶対にコイツら緊張感が無さすぎだって怒っている気がする。


 俺はいつレイナの怒りが爆発するかとヒヤヒヤしているとレイナは俺達に近づき、無言で抱きついてきているリンを引き離した。軽く抱きついていたのもあってか簡単に引き離され、リンもレイナの行動に驚いている。


「俺も心配はしてたんだからな。元気になったんなら善しとする······が、なんかあったら俺にも言え、寂しいじゃねぇか」


 レイナはトンっと軽く拳を俺の胸に当てながら言った。レイナも俺の事気にしてたんだな。ホントに悪いことをした。


「すまない、心配掛けた」


 俺はそう言うと、レイナはいつもの笑顔を俺に向け言った。


「よし、許してやろう。但し、今日はお前の奢りな」


「はいはい、今日の分け前でならいいぞ」


「よっしゃ」


 俺も自然と笑顔が出てきてた。ホントに2人には感謝しかないな。良い友人に出会えたて良かったよ。


「でもよ、ルゴウ」


「なんだ」


「だからと言って落ち込んでいるからってイチャついてんじゃねぇよ!」


「へぶっ!?」


「ル、ルゴウ!?大丈夫!?」


 良い感じで終わるかなっと思ったがそうもいかず、レイナの渾身の右ストレートが俺の左頬を捉え吹き飛ばされた。意識が薄れていくなか、俺に寄り添うリンとその先にレイナがムスっとした表情で何かを呟いているのが見えた。


「·····俺だって本当は······」




···················

·························

······························


 気絶していたのは一瞬なのかわからないが、意識が戻り始めた時頭に柔らかい感触と良い匂いがした。それと同時に何やら喧騒も聞こえる。


「だからと言って、殴ること無いじゃない!」


「それはコイツが悪いんだよ。それにお前もコイツにベタベタ引っ付きやがって」


「別にレイナには関係無いし、僕は好きでやってるだから良いでしょ」


「な·······うぅ、でも駄目なもんは駄目だ」


「イヤ!止めないもん!」


「くぅー····」


 なんだなんだ、何が起きているんだ?とりあえず今わかってることはリンに膝枕されている俺、2人が何故か言い合っている。状況がわからないが止めないと。


「レイナもやりたいならーーー」


「はいはい、待て待て待て。喧嘩しないで」


 俺は声をあげながら上体を起こし、2人の言い合いの間に割り込んだ。


「あ、ルゴウ大丈夫?痛くない?」


「あぁ、大丈夫だ」


「よかったー」


 実際はまだ痛むがここは我慢が必要だろうと考え何でもない様に言うと、リンは心配そうな顔から安心した顔になった。しかしその顔も一瞬でまたレイナを睨もうとしていたので頭をポンと軽く叩き、そのまま手を乗せた。リンは睨むのは止めて、頭に置かれた手に擦り付ける様に動かし撫でるよう催促してきたので、取り敢えず撫でておいた。······正直行動が犬みたいな様な気がする。

 レイナは若干ムッとした表情であるが本題に入らせてもらうか。


「改めてレイナにも心配掛け申し訳ない。ところでレイナはなんで先に俺達に合流したんだ?ローナ達はどうしたんだ?」


 俺がそう言うとハッと思い出した表情をして少し言いづらそうに説明してくれた。


「え、えっとだなぁ·····ルゴウ、今の姿で助けた奴らに合流すると怯えられるから、あの時の姿に変身かもしくは変装してくれないか。顔に布巻くだけでも良いからさ」


「あー、なるほど。確かにな彼女らからしたらトラウマかもしれないからな。良い感じの布は無いから変身するよ」


「あぁ、頼む」


「ねぇ、ルゴウ変身って何の事?」


 リンはなんだかわからないといった表情をで俺達を見ていたので、俺は実演しながら説明した。


「変身ってのは俺が持っている仙術ってスキルで·····こんな感じに変身出来るんだ」


 俺は前回同様に黒い髪に母さんを男性っぽくした姿をイメージして変身した。うん、すんなり出来て良かったよ。まぁ、これを帰りまで維持し続けるの大変だが頑張るか。仙気の練習になりそうだしな。

 俺が変身を終えるとレイナは少し顔を赤らめながら自慢気にリンに言った。


「ど、どうだ、初めて見た感想は。悪くないだろう?」


 いや、お前が言うなし。言ったとしたらそれ俺のセリフになるよ。言わんけど。

 リンはと言うと俺の事をしげしげと見ながら言った。


「へぇー、それが変身なんだ·····んでもあんまりいつもと変わらないね」


「「へ!?」」


 リンの言葉に俺とレイナは驚いた。俺はしっかり変身出来ているかレイナに確認をした。


「な、なぁ。レイナ。俺ちゃんと変身できてるよな?大丈夫だよな」


「あ、あぁ問題ないぞ。前と同じ様に変身できてるし、カッコい····んん!大丈夫だ」


「じゃ、じゃあ、なんで変わらないって·····」


 俺達の行動を見たリンがキョトンとした表情で言った。


「え、その姿ってたまに見ない?まぁ僕はどっちもカッコいいと思うよ」


「あー、確かにな·····って俺は·····いや、何でもない」


 いやいや、レイナも何で納得してるんだよ。俺だけ置いてけぼりなんだけどさ。もしかして俺って知らないうちに無意識で変身してたってことか?んでも、この姿をイメージしたの昨日の夜が初めてだし······訳がわからん。


 俺が混乱し唸っていると2人は何やら話し合い、お互いに納得し俺に近づいてきた。俺が気がついた時にはレイナに肩に腕を回され、反対にはリンが俺の腕を抱き締めていた。


「さ、変身も出来たことだし戻るとするか」


「うん、戻ろう!」


「え、い、いや。俺だけわかってないんだが!?結局どういう事?」


 俺がその行動に困惑しているが2人には関係ないようで俺を引っ張り始めた。


「まぁまぁ」


「気にしないでいいよ、ルゴウはルゴウだから」


「そうだ、気にせず行こうぜ」


「えー」


 そうは言っても気になるんだが······と言うか俺だから仕方ないよね感が有りそうな気がするんだが。まぁ、考えても埒が開かないので考えない方針でいくか。


 ·······それにしてもなんかこの2人、さっきの雰囲気と違って仲良くなってないか?急にどうしたんだ?女心は難しいな。


 善行 5/108

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