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ゴブリンから始まる物語  作者: となりの戸愚呂
57/124

56.それなんてエロゲー?

前回不定期になるかもしれないと言いましたが、頑張りました

来週も頑張ります!


「ルゴウ、そっち行ったぞ!」


「おう、任せろ!」


 俺の方に来たグランドウルフが走ってきた勢いのまま跳び、口を大きく開け噛みつこうとしてきたている。俺はそれに合わせて右に半身をずらしてかわし、右手に持った剣を上段から首に向けて振り落とした。

 狙いは少しズレてしまい首のやや下付近に深く一太刀入れる事ができた。グランドウルフは斬られた事で着地をとることが出来ず転がり伏したままである。止めを刺しには行かず周りを見渡すが既にローナ達が残りの3頭を仕留めていた。

 これで依頼に有った10頭を狩る事が出来た。後は毛皮を剥ぐだけである。レイナは満足のいった表情で大剣に付いた血糊を勢いよく振り払い、背中に戻して頭の後ろに手を組み言った。


「いやぁ、狩った狩ったー」


「レイナ、暴れるのは良いがもう少し状態を気にして斬ってくれ。納品するときにイロが付きづらいだろう」


「わりぃわりぃ、今度から気を付けるよ」


「はぁ、全く」


 レイナの悪びれた様子が感じられない態度にローナは溜め息を吐きつつ肩をすくめた。俺はその様子を横目にしながらまだ息のある先程の1頭に近づき頸もとに剣を突き刺した。ふうっと息を吐き体に残っていた緊張を解いたとき、後方にいたマリアとリンが俺の方に来た。


「ルゴウお疲れ様!」


「お疲れ様、怪我もなさそうね」


「そっちもお疲れ様、マリアとリンの支援もあったからだよ」


「えへへー」


「私の出番はあまり無かったんですけどねぇ」


 リンはいつもの笑顔であるが照れた様子である。一方マリアは自分の出番が少なかった為か微妙な表情をしている。


「まぁ、極力怪我が無い方が良いじゃないか」


 俺がそう言うとマリアは腕を組み、右手を頬に当てつつ言った。


「確かにそうなのよねぇ。流石に私でも死んでしまったり欠損までは治せないから小さい怪我の方が助かるわ」


「回復魔法って万能では無いんだな、気をつけないとな·······って、俺にはそもそも効果あるのか?」


 俺の疑問にマリアは頬に当てていた手を顎の位置に換え少し考えるような素振りで言った。


「んー、そうねぇ。テイムした魔物にも効くから問題ないはずよ。もしダメなら回復薬を使うしかないわね」


「了解、効かなければそうするよ」


 咄嗟の時に支援が有っても効かなければ死に直結する可能性が高いからな。頭の片隅に置いておこう。

 俺達は今しがた狩ったグランドウルフをウルフを解体し毛皮を剥いでいく作業に取り掛かった。グランドウルフは個体によって多少ばらつきがあるが体長はおおよそ大型犬より一回り大きい。ローナ達は解体に慣れているが俺とリンは慣れていないので最初こそ手間取ったが途中から要領を掴みスムーズに行っていった。


 解体をしながらリンとレイナの事を横目に見ながらあの時の事を振り返ると何とも言えない気持ちになる。


··············

··················

······················


「あ、あの!僕もついていっても良いですか?」


 リンは少し緊張した面持ちで片手を挙げていた。突然の事で俺を含め皆キョトンとした顔になるがリンはめげない様子で再度言った。


「僕もルゴウと一緒に行きたいです!·····ダメ、ですか?」


 リンが言ったことにマリアは知り合いですか?みたいな顔を向けてくる。俺はそれを見て頷きながらリンについて紹介することにした。


「彼女は知り合いでシルバーウィングの魔法使いでリンって言うんだ」


「そうなんですか、実力はどれくらいなの?」


 マリアが尋ねるとリンは少し弱気になりながらも言った。


「えっと····最近冒険者になった····ばかり···です」


「ふーん、そうなの。まぁ私は今回の依頼はこの子には少し厳しいと思うけどどうするの?」


「うっ·····」


 マリアがそう言うとリンはたじろぎ少し落ち込んでいる。でも何で2人とも俺を見るんだ。リンはわかる。助けてって感じで見ているのは。問題はマリアだ。一見、厳しい表情をしているが明らかに目の奥で楽しんでいる·····あ、口の端がつり上がりやがった。こ、こいつ·····


 俺は2人の目線に堪えかねて、はぁっと溜め息を吐きながら助け船を出した。


「まぁ、魔法使いだから後方にいてある程度危険は少ないし俺がリンをみていれば問題無いと思うぞ」


 リンは俺の言葉で嬉しそうな顔に変わった。一方マリアはやれやれといった様子で言った。


「ルゴウが面倒みれるのであれば文句は言わないわ。それで良いわよね、レイナ」


「えっ、あ、ああ。別に俺は構わねぇぜ。問題無い」


「ありがとうございます!宜しくお願いします!」


 リンは一緒に行けるということで喜びながらお礼を言った。

 それにしてもレイナは急に話を振られて動揺したのか若干だが歯切れが悪いような気がするが·····気のせいか?

 俺が疑問に思っているとさっきよりもリンが近づいてき見上げてきた。


「ルゴウもありがとう。僕、頑張るからね」


「あぁ、出来るだけ俺の側にいて後方から支援してくれ。危険が無いよう守ってやるよ」


 俺がそういって頭を撫でようとしたらリンが不意に抱きついてきた。


「!?」


「えへへー、お願いね」


 突然の事でビックリしている俺に対してリンは満面の笑顔で胸に顔を埋めている。でもまぁ、前までもリンとはこの距離感であったことを思い出し自然と頬を緩ませ頭を撫でなおした。


「········っち」


「あらあら、これはこれは」


 マリアは口許に手を当てつつ俺達とレイナを交互に見ている。レイナはなんでそこまでイライラしてるのかな。顔も雰囲気もすげぇ怖いんだけど。


 そんな雰囲気の中、受付の終わったローナが戻ってきたのでリンに離れてもらい、リンも参加する事を説明し納得してもらえた。だが、何かを感じとったのかローナが俺に尋ねてきた。


「ところでルゴウ、レイナとは何かあったのか?」


「いや、特には······」


 そういってレイナに目を向けると何故か睨まれた後そっぽを向かれた。えー、どういう事なの?怒らせる様なことしたかなぁ?

 俺は意味がわからず頭の後ろを掻いているとリンは変わらず抱きついたまま笑顔を向けてくる。いや、可愛いんだけどさ。そろそろ満足して離れてくれないかな?なんでここまで懐いているのかわからないんだが······。でもまぁ、悪い気はしない。むしろ嬉しいです。

 そう考えていたらまたもや視線を感じるのでそちらを見るとレイナにまた睨まれた。そしておもむろに近づいてきたと思ったら脚を蹴られた。


「いってーな、いきなり何するんだよ」


「ふん、知らん!お前も何時までくっついるんだ。離れろ」


 そう言うと同時にリンと俺を離そうとするがリンは必死にしがみついて離れようとはしない。


「嫌ですよー、折角久しぶりにルゴウに会えたんだから良いじゃないですか」


「だからと言っていつまでも抱きつく事はないだろ、良いから離れろよ」


「嫌ですー」


 えーっと、これはどうすれば良いんだ?俺は2人のやり取りに挟まれながら何か解決策を見出だそうしている一方で、マリアとローナが何かを話していた。


「これは面白い展開だわ、連れていく事にしたのは正解ね」


「あぁ、今日は楽しい1日になりそうだな。まさかレイナがそこまで彼を気に入ってたのか」


「そうねぇ。ふふ、やっと異性に興味を持てる様になったのは嬉しいわぁ······でも····」


「ああ、そうだな·····」


((何で2人とも魔物を好きになってるんだ)のかしら?)


 あのぅ、何を言っているか聞こえないがそろそろ助けて貰えませんかね。手は出てないものの収集がつかなくなりそうよ·····



············

···················

································


 あの後2人の頭に手刀を軽く落として諌めたんだよなぁ。マリアとローナはニヤニヤしながら終始見てるだけだったし。勘弁してほしかったよ。そうこう振り返っていると俺の作業で解体も終わりとなった。


「よし、これで終わりっと」


「こっちも片付いたから休憩しようぜー」


「そうね、休憩してから後始末も終わらせましょう」


「ああ、皆もお疲れ様。次いでにこのあとの事も話合っておこうか」


 ローナがそう言うと皆で円を作る様な形で座った。······座ったのは良いが、リンが近いのはわかるが何故にレイナも俺と近いんだ?

 俺が困惑している他所に話し合いは始まった。


「さて、毛皮も集まった事だし次はどうするかだが·····このままゴブリンの巣に行って大丈夫か?」


 マリアとレイナはローナの方針に頷くと恐る恐るといった様子でリンが手をあげた。


「あ、あの折角採った毛皮ってどうするんですか?」


「あー、俺もそれは思った」


 俺がリンの疑問に乗っかるとローナは思い出したかのように言った。


「あー、言ってなかったな。私達は魔法袋を持っているんだ。容量は小さめだが旅には困らないくらいの物だ」


「そんなものが在るのかー」


「まぁ、その分値はかなり張るがな。リンも冒険者を続けるのであれば覚えておくといい」


「因みになのですがお値段は·····」


「小さいやつで金貨40枚くらい、大きくなるにつれて100枚は越えるらしい」


「ひゃ·····た、高いよー」


 リンは金額を聞いて驚き凹んでいた。元気づける為に頭を撫でていたら反対側から感じたことのある視線がしたので見るとレイナがむくれながら見ていた。

 俺はハイハイと思いながらもレイナも頭を撫でると少し満足げな表情に変わった。間違ってはいなかったらしい······ってか何この状況?なんてエロゲー?2人とも友達として接してるだけだよね。違う意味じゃないよね?ただの俺の勘違いだったら女怖ぇってレベルだけど。


 俺の思いに知ってか知らずか2人は気持ち良さそうに撫でられ続けているが、不意にレイナがハッとしたと思ったら慌てて俺の手から逃げた。急にどうしたと思いレイナの目線の先を見るとローナとマリアがニヤニヤしながら見ていた。


「な、そ、そのこれはだな·····えっと、その····」


 そうレイナがしどろもどろに言うと2人は態と聞こえるように話始めた。


「いやぁ、マリア。ホントに今日はツイてるな」


「えぇ、レヴィアとユーリには勿体ない事をしましたねぇ」


「あぁ、そうだな。帰ったら共有しておくか」


「だー、もう止めろ。忘れてくれ!」


 レイナが堪えきれず顔を真っ赤にしつつ頭を掻き乱しているのを面白がりつつ、ローナは号令を掛けグランドウルフを1ヶ所にまとめ燃やした。そして俺達は次の依頼に向けて動くのであった。


善行 5/108


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