55.ひと狩りいこうぜ
朝になり目が覚めると昨日と同じ状態だったのは言うまでもない。驚きはしないがドキドキはする。レイナは抱き癖でもあるんだろうか?初日はそんなことは無かったのだが····
とりあえず引き離そうかな。ちょっと朝の生理現象が起きてて今日は辛いな。今まで我慢してたってのもあるけども······その内ひっそりと何処かで解消しないとヤバそうだ。そう考えて後ろに下がろうとした。
「·······ん····や····」
「!?」
レイナは俺が離れそうになったところを再度自分の胸元に抱き寄せた。あぁ、柔らか·····じゃなくて寝てるとはいえ思いの外力が強いな。おい。っていうか今気づいたが俺の股の間にレイナの足が絡んできてないか?ちょっとそれは今は非常に不味いって。納まるものも納まらない。
と、とりあえず抜け出せないなら起こすか。そうしよう。このままじゃ俺の理性が暴走しかねない。ここで襲ってしまったら男として終わってる·······気がする!いや、普通なのか?いやいやでもレイナとの関係は飲み友だから信頼を失うわけにはいかない。
俺はそう決心して、レイナを起こすことにした。
「おーい、レイナ。朝だぞ、起きてくれ。出来れば早急に」
「······んん、·····や···もう少し···寝る」
あら、可愛らしい返事······じゃなくてマジで起きてください。後、足を動かさないで。し、刺激が·····
「ちょ、い、一回離して。トイレ行かせてくれ」
「······むぅ·····」
レイナは若干不機嫌そうな顔をしたが力を弛めて解放してもらえた。俺はなるべく起こさないようかつ素早くそこから脱出しトイレへと駆け込んだ。
················
····················
························
あー、スッキリした。どっちの意味でって訊かないで欲しい。
俺が戻るとレイナは起きていた。だがまだ少し眠そうだ。
「おはよう、起きたのか」
「·····あぁ、まだ眠いがなぁ。ふぁあ·····」
そういってレイナは胡座をかきつつ腕を挙げ体を伸ばす。伸ばし終えた拍子にタンクトップ似たシャツの片側がずり下がり絶妙に胸のある一点が見えない位置まで露になっている。
········コイツ、狙ってやってんのか?まぁ、今の俺の状態ではあまり効果はないがな。だから鎮まれ俺のマイサン!呼んでない!ってかレイナの奴シャツのした下着してないのかよ!······なんとなくわかっていたけども。
俺が葛藤しているのもお構いなしにレイナはずり落ちたシャツを直そうともせず俺に聞いてきた。
「今日はどうするんだ?」
「ん?あぁ、特に予定はないが軽く運動しようかなとは考えてる」
「お、だったらひと狩り行こうぜ。だらけるのも良いけど俺も体を動かしたかったしな」
レイナがそうニカッと笑顔を向けてくる。俺は相変わらず良い笑顔だと思いつつ頷き、朝の支度を終わらせ冒険者ギルドに向かった。
ギルドに着くとローナとマリアが掲示板前で何かをしている。
「んー、まだ良さそうな依頼は出てないなぁ。マリアそっちはどうだ?」
「そうねぇ、こちらも無いですねぇ」
「うーん、私達に合いそうな依頼はまだ出てないなぁ····討伐依頼でも受けて暫く過ごすか」
「それが良いと思うわ。他の街に行くのも考えようかしら」
「そうだな」
2人がなにやら話し合っている。そんな2人レイナは声を掛けた。
「お、2人して何やってんだ」
レイナの声に気づいた2人は此方に顔を向け、少し驚いた様子で言った。
「レイナとルゴウじゃないか。レイナがこんな時間に来るなんて珍しいなぁ。私達はめぼしい依頼を探しているところだ」
「あまり良い依頼もないしどうしようかなと思ってたところなのよ。2人は·····デートかしら?」
「ちげぇよ。体動かしに来たんだよ。折角だし討伐依頼でも受けようかなって思ってたところだよ」
レイナの動揺もない対応にマリアは少し残念そうな感じでいった。·····動揺が無いのは言われ過ぎて慣れただけだと思うがな。
「あらそうなの?私達も手伝う?」
「そうだなぁ、手伝ってくれれば助かる。回復役がいれば多少無茶出来るしな」
「死なない程度の怪我なら治すけど、あまり怪我しないで欲しいわ。レイナは怪我が多いもの」
「そうだな、無闇矢鱈と突っ込みすぎて怪我が多いのはいただけないからな」
ローナもマリアの言っていることに腕を組んで頷いている。まぁ、俺のイメージでもレイナはそんな感じで有るけどでも······
「そんな傷だらけの体だと女の子としてどうなの?お嫁に行けなくなるわよ。少しは気を付けなさい」
「良いんだよ、まだ男作らないしそれに傷だって回復魔法で跡なんか殆んど無いしな」
「もう、殆んどでしょ。多少は残るんだから」
「でもまぁ、確かにレイナの体に目立った傷は無いよな」
レイナと一緒に寝てるからつい余計な事をいってしまった。それを聞いたローナは一瞬固まったが次第に顔を紅くし、マリアは目を光らせていた。一方レイナはほら見ろって顔をしている。
·····あ、やば。これやってしまったな。それとレイナそのドヤ顔止めなさい。むしろ察してくれよ。
「へぇ、そうなんですかぁ。傷は無くてキレイな体であるとルゴウは知っているのねぇ」
「ま、まぁ···たまたまな······」
「なるほどなるほど。レイナもしっかり女の子であると。お姉さん少し複雑だけど安心したわ」
そう言うとマリアはニヤニヤしながら俺とレイナを交互に見ながらいい、涙を拭う素振りまでしている。
「ん?何で複雑なんだ?俺は女であることは忘れてはいないぞ」
「いや·····だって、な。レイナにそんな趣味があった······いや好みの問題か。人それぞれだし私は否定しないぞ」
「ローナもなんだよ、変な事言いやがって·······ん?好みってどういう·········な!?ば、バカちげぇよ。俺達はまだそんな関係じゃねぇし」
(("まだ"、なんだ)ですねぇ)
マリアとローナはレイナの反応に何やら納得した様子だが肝心のレイナはまだ顔を真っ赤にしながら怒ってる様子でむくれている。
ローナは流石に可哀想かと思ったのか話題を交えてくれた。
「まぁ、ひとまずこの話は置いといて討伐依頼探しているだろ?今のところはこの2つしかないぞ」
そういって掲示板から2つの紙を指を指して教えてくれた。
内容は1つはグランドウルフの毛皮を10枚回収、もう1つはゴブリンの巣を潰して欲しいとのことだ。
俺はこの2つを見たときどちらが良いか悩んでるだけだが周りは困った感じで俺を見てくる。
「どうしたんだ?変な顔をして」
「いやぁ、一応ルゴウにとっては同族の討伐依頼が出てるだろ?何か思うことがあるんじゃないかなって」
なんだそう言うことか。ローナが言ったことに2人も何ともいえない表情をしていた。俺はなんてことも無いように3人に対して言った。
「正直、同族だけども何も思わない。俺みたいに意思の疎通が出来る奴が居て明らかに外道じゃ無ければ話し合いはしたいけど·····そんなゴブリンっているのか?」
ローナは俺の問いに考えていたが、答えようとする顔は渋い顔をしていた。
「私達の経験上での話になるのだが、ルゴウ。残念ながら君以外で会話が成り立ち、かつ友好的なのは見たことがない」
「そっか、いやまぁそうだよな」
やはり俺みたいなゴブリンは異質であるのは間違いなさそうだ。少しは残念であるが傷ついてはいない。
「それに感覚的にはローナ達でいう野盗の討伐とかと変わらないしな」
「あー、なるほど。そういうことか。確かに言われてみればそうか」
納得して貰えてなによりだ。気を取り直して依頼はどちらにするかだな。うーん、どうするか。
俺が再度依頼書を見ているとレイナが口を開いた。
「ならどっちも受ければいいんじゃないか?」
「そうだな、この面子ならやれなくはないな。それに終わらなければ明日もやればいいしな。では受領してくるよ」
「おう、任せた」
ローナは掲示板から依頼書を取り、受付に向かって行った。
基本ソロで動いているからレイナ達に合わせていけるか不安があるが良い経験だと思ってやっていこう。
そう意気込んでいると後ろの方から聞き覚えのある声が上がった。
「あ、あの!僕もついていっても良いですか?」
振り向くとリンが少し緊張した表情で片手を挙げていたのであった。
善行 5/108
仕事の関係上、忙しくなり投稿が不規則になりそうです。大変申し訳ありません。
時間を見つけて制作していきますので今後とも宜しくお願い申し上げます
この話で「ゴブリンの集落」と表記してましたが以降の話でイメージと違った為「ゴブリンの巣」として改変しました




