54.教えてレイナ先生
俺はレイナと酒を飲みながらふと自分の持ってるスキルについて聞くことにした。
「なぁ、レイナ。仙術って知ってるか?」
「ん?知ってるがどうしたんだ、そんなこと聞いて」
レイナは俺の質問に不思議そうな顔をしていた。まぁ、さっきまでの話と系統が違うからね。俺はこのスキルに関して知識はほぼ皆無に等しいから少しでも情報を得たい。
「このスキルを持ってるんだが、イマイチよくわからないから知ってれば教えて欲しいんだ」
レイナはそれを聞いて驚きつつも答えてくれた。
「えーっとだな。確か仙術ってのは·····俺が使う闘気とは違って神通力ってのが使えるんだ。力を増幅させたり自然に溶け込んだり、色んな者や物に変身したり、何人にも分身したり、飛んだり出来たり·····後はなんかあったけど忘れたな」
それを聞いて俺は衝撃が走った。持っているエールを落としそうになりはしたが落とさずに済んだ。するとレイナは俺の様子が気がきになり言ってきた。
「ん?どうしたんだ」
「だ、大丈夫だ。ありがとう教えてくれて」
「あぁ、いいよこんくらい」
·······今まで何気なく仙気を~っとか考えていたがあれって神通力だったのか。言葉に出して無くて良かったー。神様から貰ったスキルだけど仙人の事うろ覚えと言うか漠然的なイメージしか無かったらよく知らんかったんだよね。いや、普通はそんな知識前世ではあまり調べる人少ないよ。レイナが知っててよかったよ。
「まぁ、伝承ではって話だからなぁ。実際に存在するって聞くのは俺も初めてだから謎なんだけどな。でもルゴウが持ってるのかぁ」
そうレイナが言うと何か考えて思いついたかのように言った。
「ならさ、今変身って出来るか?」
「はぁ?」
「仙術持ってるって事は出来るんじゃないか?やってみせろよ」
·····唐突の無茶振りだな。こちとら変身出来るの今知ったばかりだし、そもそも出来るかどうかわからんぞ。
「いや、やったことないからわからんぞ。むしろやり方がわからん」
俺がそう言うとレイナは不満そうに言ってきた。
「えー、なんかこう念じるようにやりゃ出来んじゃねーか?例えばもし自分が人間になったらこう言う姿をイメージしましたって感じとか」
それで出来るわけ······いや、出来るのか?実際に魔法だってイメージすれば形や動きを変える事が出来るし。そういったイメージで仙気を····いや神通力か·····いやもう仙気でいいや。自分に纏わせてやれば出来るかもしれない。
俺はそう考えてやってみることにした。
「初めてやるから失敗するかも知れないけどやってみるか」
「おう、がんばれ」
レイナは笑顔でそう言いエールを飲み始めた。余興とかと思ってるんだろうか····
俺はまずいつもの様に仙気を体に纏わせて目を瞑り人になるイメージをした。自分が人だったらこう言う感じってのが漠然としてるけど、やっぱり黒い髪かな。顔立ちは母さんをイメージして男性っぽくシュッとさせて目の色も母さんと同じで赤みがあるものかな。体は今の体型のままでそれが肌色になった様にしよう。
イメージが固まった際僅かにだが仙気に変化があった。今までよりも体を包む様に纏わりつき形作っていく。そして変化が終わった感じがあったので目を開けるとレイナが固まっていた。
·····失敗したか?試しに腕を見てみると緑色ではな肌色となっている。顔は見れないからどうするか。聞いてみるかな。
「なぁ、レイナ」
「えっ、な、なんだ」
「ちゃんと変身出来てるか?」
「あ、あぁ。おう変身····出来てるぞ。うん」
ならなんで歯切れが悪いんだ?俺がそう疑問に思っていると不意に扉が開いた。
「レイナとルゴウやってます·····か·····ってあら、どちら様?」
「····レヴィアどうした······って誰?」
扉を開けたのはレヴィアとユーリだった。2人とも俺を見た瞬間に状況が理解出来ずに固まっていた。
「あぁ、レヴィアとユーリかどうしーーー」
「レイナが知らない男と酒を飲んでいる!いつの間にそんな人を!」
「······まさかその為に今日は部屋で飲むと言っていたのか!?先を越された」
被せて来るな。知らない男って·····あぁ、俺の事か。とりあえず2人に説明をしないとな。俺が言おうとしたらレイナが余計な事を言い始めた。
「ち、違うぞ。付き合ってなんかないからな」
「でも、レイナって部屋で飲むなんてあんまりしないじゃない?珍しいなとは思っていたのよ」
「····私はてっきりルゴウとしっぽりと·····期待外れ」
「な、何を言ってやがるんだ!そんなことまだするわけないじゃないか!」
レヴィアとユーリが茶化すように言っていたのがわかるがレイナの反応を見てキョトンとしていた。
「あら、まだって事は·····そうなの?」
「······冗談だったのに·····変態」
「や····その·····違うぞ。今のは言葉のあやだ。本気で捉えるな!」
そうレイナが弁明するが2人はニヤニヤしている。俺はこの状況どうするかなぁと思いながらエールを口にする。するとレヴィアが俺に話を振ってきた。
「君も残念ですよねぇ。まさか先約がいたなんて······しかも、いや言わないでおくわ。代わりにお姉さんはどうかしら?」
「おい、聞いているのか?無視するな!」
レヴィアは左手で右の肘を支えるように持ち右手を頬に当てていた。······まぁ、わざとだと思うが胸を強調する様にしている。それを横目で見たユーリはイラっとした表情をしている。
「いや、レヴィアには悪いんだけどそれは考えさせて欲しい」
俺がそう言うとレヴィアは何かに気づき言った。
「そういえば、初めて会ったと思うのだけど何で私達の名前を?」
「初めてでは······って、すまない解いてなかったな。ちょっと待ってくれ」
「「?」」
俺は纏っていた仙気を解き、元の姿に戻った。2人は俺の言っている意味がわからずキョトンとしていたが元に戻った時に驚いた顔をしていた。
「っと、戻ってるな。これで2人の誤解も解けただろう」
「「··········」」
反応が無い。固まっているようだ。ちょっと想像してたのと違うな。こう····な、なんだってーって感じの反応が欲しい。じゃないと気まずいなぁ。レイナは先程まで打って変わってニヤニヤとしながら2人を見ていた。
「くくくっ、レヴィアー。ルゴウに気があるのかぁ。そう言うことなら言ってくれよ」
「·····彼がルゴウだったなんて知りませんよ。それに気はないですよ」
「誤魔化すなって、相手の素性も知らないでナンパしようとしたんだから」
「くっ······」
あ~あ、俺は知らないぞ。レイナがこうやって茶化す時は後にしっぺ返しが待ってるんだよな。
「·······は!ルゴウ今のってどう言うこと?何で人になれたの?」
「そうですよ。私も気になります」
ユーリは意識を戻したのと同時に俺に詰め寄ってきた。レヴィアもレイナの攻勢から逃げるように聞いてきた。
俺は素直に仙術の事、変身出来るかどうか試しに行っていたことを話した。
「····なるほど。仙術を使えるのが驚きだけど····ルゴウだから不思議じゃないか」
「確かにそうですね。ルゴウって変わってますしね」
「いや、なんで俺は何でも有りな存在になってるの?」
「そりゃお前、わかってるだろ。ゴブリンなのに話せるわ、人は襲わず盗賊を懲らしめるわ、魔法使えるし腕っ節も強い。後は料理もできるだろ。そう思うのも当たり前だろ」
あー、レイナ達から見たら他のゴブリンと比べるとかなり異質だもんな。だからと言ってこれから自重はしないのだけども。
俺が納得しようとしてるときにレイナは俺の変わってること更に挙げてしまった。
「それに俺と一緒のベッドで寝てても襲ってこないんだぜ」
あー、やったよこの人。今回のフラグ回収は早かったなぁ。いつもはもう少し時間空くんだが······
レヴィアはその事を聞いて一瞬だが目が光った感じでレイナに聞いてきた。
「ちなみにどんな感じで寝てたの?」
「そりゃあ、起きたときには抱き着いて·······あ」
あ、じゃないよ。何さらっと言ってるんですかね。さっきの段階で気づけ····るわけないよな。レイナだもんな。
レイナが自分の言ったことに気づいたが時既に遅しとはこの事でレヴィアは食いついてきた。
「へー、抱き合っていたんですか。いや、いいんですよ恋愛は自由ですから。先程私に言ったのは取られないのをわかって言ってたんですもんね」
「·······変態とヘタレ」
「あ、いや、違····くわないけど別に恋愛じゃ····ってユーリ!俺は変態じゃねぇ!」
「一応訂正しとくけど俺もヘタレではないぞ。合意じゃなきゃやらないだけだ」
「じゃあもし合意の上だったらするのね」
「それはもちろん」
「ですって。良かったわねぇレイナ。女としてみて貰えてますよ」
「ぬわー、嬉しいようで嬉かねぇ」
そう言いながら頭を掻き乱しながら否定はしているがレヴィアは笑っていた。新しい弄りのネタが発見できて満足なようだ。ユーリはという俺の近くに腰をおろしてエールを受け取り飲み始めた。そして耳元にそっと口を近づけてボソッと言った。
「·····何か進展あったら教えて」
「いや、言わないから」
「······ケチ」
こうして今日も今日とて長い夜は続くのであった。········まぁ、弄られ過ぎてレイナが俺に泣きついてきたとだけ言っておこう。
善行 5/108




