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ゴブリンから始まる物語  作者: となりの戸愚呂
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48.夢だと思ったら····


 夢を見ていた。とても心地好いクッションに包まれていた夢だ。何故にこんな変な始まり方をしたかと言うと······現状からの逃避である。


 俺が把握するまでに起こった出来事を説明すると、目が覚めたら目の前が真っ暗でそれと同時に顔にとても心地好い感触が2つ感じられた。それに息がしづらいが良い香りがしてくる。俺は寝惚けながらも意味がわからず自分の上体を起こそうかと考えたが身動きが取れない。


 とりあえず息がしづらいので顔だけ動かして空気を多く吸おうとするとそこにはレイナの顔があった。これどうしようかなぁ。


 正直に言うともう少しこの態勢を維持していたいってのが半分、この感触と温もりを堪能····じゃない離れた方がいいかなって思うのが半分ってとこだ。

 脱出するにしても完全に足と腕でを使い、俺を抱き枕にして気持ち良く寝ているのを起こすのも忍びないし。


 俺は逃避がてら昨日の僅かな記憶を掘り起こした。前回と同じようにレイナを宿に連れていって寝かしたのは良いが俺の分の部屋を取るのを忘れてて、酔ってた事からまぁいいかって感じで俺も寝たんだっけか。でも一緒にベッドでは寝てなかった·····気がするけど。寝惚けて入ったのか。


 まぁこうなったのも無意識下の中での事故みたいなモノだから大丈夫だろう。そうしておこう。そう考え俺は二度寝すると言う選択肢を取った。決してこの感触と温もりを味わっていたい為では····ナイヨー。

 という訳で顔を元の位置に戻して寝ることにした。柔らかい感触とより強く感じられるようになった香りと共に意識を落とすのであった。



··············

····················

··························


「ーー···い·········ーールゴ·······きろ···········」


 微睡みの中、なにか声が聞こえてくるがはっきりしない。だがこの心地好い温もりと感触にまだ包まれていたく顔をより深く埋めるようにして再び意識を手放そうとした。


「~~~ーー!··ち··と、ル··きろ···」


 なおも揺さぶってくる事に対してこの柔らかく心地好い温もり強く抱き寄せて俺も抵抗し続けた。


「ちょ·····本当······だめ····って。··起き·····ルゴウ····」


 ········はて、俺は何かを忘れているような気がするがなんだったかな。結構重要な事だったような気がするが思い出せない。とりあえず声が聞こえてくる方に重い瞼を開きつつ顔をあげてみることにした。

 そこには顔を紅くしながらこちらを見下ろしているレイナの顔があった。レイナはぷるぷるしながらこちらを見ている。思考が止まった。一瞬にして意識が覚醒して血の気が引いた気がした。


 ···················あー、ヤバい忘れてた。そう言えばレイナに抱き枕にされながら寝てたんだっけ。しかも俺の顔の位置ってレイナの大きくて柔らかいお山様の間だったよな。そこに俺は埋めたて·······終わったな、俺。


 見つめ会う時間は体感では長く感じられたが実際には1分も満たない位だろうか。俺は意を決してこう言った。


「おはようございます·····そしておやすみなさい!」


 そう言って何をトチ狂ったのか俺は逃げるように再度レイナのお山様の間に顔を埋めた。するとレイナは驚きの声を挙げつつ慌てて言う。


「い、いやいや。おやすみじゃない!起きたんならそこから離れろよ」


 そう言ってレイナは俺を引き剥がされた。俺はというと特に抵抗はしなかった。下手に抵抗したら後が更に怖そうだからだ。名残惜しくはあったけど。


「改めておはよう、レイナ」


「あ、ああ。おはよう」


「「···········」」


 き、気まずいなぁ。無意識下とは言え、端から見たらお互いに抱き合って寝てたわけだし。絵図ら的には美人と言って良い女性がゴブリンを抱き寄せて寝てたから色々とアウトだと思う。逆だったらなおアウトだろ。人族に近い種類なら付き合っているって思われるが。


 そんな気まずい雰囲気を打開すべく俺はレイナに声を掛けた。先程の状況を極力触れないように。


「あー、今日は『サラサの薬処』に行こうかと思うんだけどレイナはどうする?」


「あぁ、うん。そうだなぁ。今日はゆっくりしてるよ」


「わかった」


「「··········」」


 いや、会話が続かない。どうしようこの状況。あ、そうだ。あれ伝えとかないと。

 ふと俺は思い出したかのように昨日から考えてた事をレイナに言った。


「そうだ、改めてローナたちにも言おうとは思ってたけど先にレイナに言ってくよ」


「なんだ?」


 お、ちょっといつもの感じが戻ってきたか?


「色々と必要な物を買えたからそろそろ帰ろうかと思ってーーー」


「はぁ!?何でだよ」


 いや、言い切ってない。食いぎみに反応しないでもらえるかなぁ。それに何でって今言ったばかりじゃん。何故に若干怒ってるの。


「いや、当初の目的も達成したし必要な物を買えたから·····」


「まだ帰らなくてもいいだろ。別に急ぎでも何でもないんだろ?それに帰ってもどうせ暇だろ」


「確かに急ぎではないし、やることも無いけども」


 レイナは怒っていたかと思いきや急にシュンとした感じで言い出した。


「ならもう少しここに居ても良いんじゃないか?」


 急ぎでは無いのは事実だし、やることと言っても鍛練かダンジョン潜り位だけだけどさこれは伝えておかないとってか気づいてほしい。そう考えレイナに俺が率直に思ってることを言った。


「いやでも、俺って一応じゃないけどゴブリンだぞ。長居しちゃ不味いだろ」


「俺は気にしてないぞ。むしろ文句を言う奴はブッ飛ばす」


 あらやだ、格好いい!·····じゃなくてレイナが気にしてなくても周りが気にしてるんだって。そういった人達が可愛そうなんだけど。


「いやいや、ブッ飛ばさないでよ」


 そう言うとレイナは黙りこくって何かを考えていた。ってか何故にそんなに帰ることに不満を持っているんだ?

 そして何かを考えついたっと言うよりも渋々と言った感じで提案してきた。


「じゃあ、せめて帰るのは3日後で」


「······その心は?」


 俺のその問い掛けに若干ムスっとした表情でレイナは応えてくれた。


「お前と飲むのが案外楽しいからもう少し楽しみたいのと、その日から依頼を受けようかって話をしてたから」


 その言葉を聞いて俺は嬉しく思う半面、何この可愛い生物と思った。これで男居ないなんて嘘だろ。俺が人族なら付き合いたいぞ。いや、ごめん。ちょっと考えるわ。あんまり日数経ってないけど残念な子なのは知ってるから。それでもこのギャップというか·········っは!?思考が逸れた。


 俺は逸れた思考を戻して改めて考えた。確かに急ぎでは無いし。目立ったトラブルも起きてはいない。それに俺もレイナ達と飲むのも嫌いではない。そう考えたら結論が出た。

 俺が深く考えていたことに若干の不安を覚えていたのか少し寂しそうな表情でレイナは見ていたので俺が出した結論を伝えることにした。


「わかった、もう少し一緒にいるよ。俺も皆で飲むの楽しいし」


 そう言うとレイナは嬉しそうな表情をしたが恥ずかしく思ったのか咳払いをしつつ言う。


「んん。じゃあそうと決まれば·····ルゴウの用事も終わったら飲もうぜ」


「おう」


 そう言って今日も飲みに行くことが決定した。これで良い感じに終わるかなと思ったが·····


「そういやルゴウ」


「なんだ?」


 なにやら言いづらそうに頭の後ろをかきながら言う。


「俺は······別に···構わないんだけど····さ。違う部屋取ったりするか?」


「へ!?あ、あぁそうか····取った方が良いもんな。レイナは女だし、気遣いが足りなかったよ」


「いや、俺の事は気にしなくていいんだ。ただ気になっただけだから。·······ってか後3日後には帰るんだし同部屋で良いんじゃないか。面倒くさいだろ」


 まさかのレイナからそんな事を言われて俺は思考が一瞬停止してから反論した。


「いやいや今さらだけど、流石にそれはどうかとは思うぞ。違う部屋をーーー」


「いや、面倒だしどうせ飲んだら送ってもらうからそれでいいだろ。うん、決まりだ!」


「えぇ」


 えぇ、それで良いのかよ。レイナは自分の決めた事に満足したのか横になってしまった。


「んじゃ、ルゴウ帰ってくるまで寝てるから帰ってきたら起こしてくれよ」


 そう言って俺とは反対方向を向いて寝てしまった。

 ·········はぁ、自由って言うか何て言うか。まぁ折角の好意だしそうさせてもらうかな。下心はナイヨー。


 俺はレイナにいってきますを言い残し出掛けるのであった。


 善行 4/108


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