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ゴブリンから始まる物語  作者: となりの戸愚呂
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47.え、何この空気?


 俺は肩を落としながら2人の方へ歩いていくと元気の良い声が聞こえてきた。


「ルゴウお疲れ様ー。すごかったよ!」


「あぁ、ありがとう」


 そう言って駆け寄って来たのはリンである。そうだよ、こう言った労いの言葉が有っても良いとは思うんだ。あそこの2人にも見習って欲しいものだ。

 そんなことを考えているとシュート達も合流した。


「お疲れ様、ルゴウ。前に会ったときより随分大きくなったなぁ」


「そうだよー、最初見たときリンが言うまでわからなかったよー」


「図体だけかと思ったけど力もそこそこ付いたんだな·····ってかリン、ルゴウに近すぎるんじゃないのか?」


「ん?そうかなぁ。僕は普通だと思うけど」


 ウルバのツッコミに対してリンは何も感じてはいないらしい。俺も久しぶりだけど以前もこんな距離感だったような気がする。


「ルゴウ、前も僕たちこれくらいだったよね?」


「あー、確かそうだったようなじゃなかったような·····忘れた」


「まぁ、細かい事は気にしないでおこう!」


 そうリンが言うとウルバは俺を睨んでくる。いや、君の恋心は知ってるけども本人に伝わってなきゃ意味がないじゃんか。後まだ告白してなかったの?

 そう考えていると袖口をユンに引っ張られて手招きをされた。たぶん耳を貸せって事なんだろう。俺はユンの慎重に合わせて屈むと耳元に小声で言ってきた。


「ウルバ告白したんだけどー、断られたんだってー。好きな人がいるからーってー」


 あちゃー、告白は済みだったのかー。しかも玉砕って可哀想だわ。俺は哀れみの目線をウルバに送るとウルバは不満そうに言った。


「なんでそんな目を向けるんだよ」


「いやぁ·····その·····ドンマイ」


「意味がわからんがムカつく!」


 俺の励ましに気づいた様子もなくむしろ怒らせてしまったみたいだ。隣のユンはとても良い顔をしてらっしゃるし、リンはなんの事?って感じで首を傾げている。

 そんな俺達にシュートは何かを思ったのか話しかけてきた。


「なぁ、ルゴウ」


「ん?どうしたんだ」


「あぁ、やっぱり気のせいではないか。ルゴウの言葉聞き取り易くなってるな」


 あぁ、そう言えばシュート達に出会ったときはあんまり上手く話せてなかったもんな。オレ、ライノ実、好キ·····だったしね。懐かしいなぁ。ってかシュートの一言を聞いて3人は驚いているし······気付かなかったんかい。あえて気にしてないかと思ってたんだけど。


「お前たちは気づいてなかったのか·····」


 そうシュートに突っ込まれてウルバは慌てて言い出した。


「い、いや、気づいてたよ。うん。あえて気にしてなかったんだよ」


 わかりやすいなぁ。あからさまに目がさ迷ってるし見栄張ってるのがバレバレだろ。リンとユンに関しては照れた感じで「いやぁ、気にしてなっかったって言うかー、えへへ」、「まー、ルゴウ変わってるしねー」と言い合っている。相変わらず仲がよろしい事だ。


「まぁ、あいつらは置いといて見ない内に少し大きくなったか?あの時はファイターぐらいだったから今はナイト位か?」


「いや、昨日知ったんだがジェネラルになってた」


「な、本当かよ。でもそれだったら今回の勝負に納得がいくな」


 そう言ってシュートは納得して他の皆と他愛もない会話をしようとしたが······忘れてはいなかったんだけど酒が入ってるせいかイライラしながらレイナが此方にやって来た。


「おい、ルゴウ。くっちゃべってないで飲みに行くぞ!」


「あぁ、はいはい。忘れてた訳じゃないからそんなに怒るなよ」


「怒ってなんかないぞ!わりぃけど先約なんだ。コイツ連れてくからな」


「あ、あ。ちょっと」


 そう言って当たり前のように肩に腕をまわし引きずる様に連行していく。だが、引きずられていきそうになる所で待ったが掛かった。


「ちょ、ちょっと待って!」


「ああん?なんだ?」


 声を挙げたのはリンで止められたレイナは変わらず不機嫌そうに返事をした。リンはレイナのその声音にビクッと若干身体を強張らせたが意を決した様に言った。


「あ、あの····『紅の戦乙女』のレイナさんですよね」


「ああ、だからなんだって言うんだ?」


「なぁ、レイナそんなにカリカリすんなよ」


「だから怒ってねぇぞ!大体お前が戻ってくるのが遅いのが悪い!」


「いや、まぁそれは悪かったとは思うけども····」


 リンが可哀想と思いレイナを宥めようとしたが失敗した気がする。俺とレイナのやり取りを見たリンが心なしか不機嫌そうになって訊いてきた。


「·········あの、ルゴウとはどう言った関係何ですか?随分と仲が良さそうなんですけど」


「ん?んーっと、そう訊かれると何だろうな?·······飲み仲間?」


 リンの問にレイナは改めて俺との関係性を考えてそう答えた。まぁ、そうですよねぇっては思っていたけども。ただその応えに納得がいっていないのかリンが更に訊いてきた。


「本当にそれだけ何ですか?」


「それだけだ」


 そうレイナが言うと更にリンはレイナに近づきまるで眼から心内を覗くような感じで再度訊いてきた。


「本当に?」


「そう·····だけど·····」


 流石のレイナもこのリンの気迫に気圧されたのか最後は目を逸らしながら応えていた。いや、俺でもあれは気圧されるわ。普段のリンの行動とは考えられないものに感じられたから。そのリンはというと「わかりました」と言い、納得したのかレイナから離れていつもの明るさで俺に声を俺に向かって話しかけてきた。


「先約なら仕方ないよね!じゃあ、ルゴウまた今度会おうね」


 そう言ってリンはシルバーウィングの面々にに後日会いに行こうと促して帰っていった。その際皆(ウルバ以外)は軽い挨拶をして別れを告げた。

 そして、改めてレイナに向き合うとレイナは気を取り直したのか呟くように訊いてきた。


「驚いた、あんな子いるんだなぁ」


「まぁ、良い子だよ。さ、飲みに行こうか。レヴィアが待ってるし」


「だな、いくか!浴びるほど飲むぞー」


 そう言っていつの間にやら先程の奴等から金を巻き上げ終えたレヴィアはエールを片手に此方に手を振っていた。


「遅いですよー、待ちくたびれました」


「わりぃわりぃ」


「すまない、遅れた」


 俺とレイナは軽く謝りつつ席についた。エールを頼もうとしたがレヴィアがそれを遮る様に言う。


「さぁ改めて皆で乾杯しましょう。エールも頼んでおきましたよ。もうすぐ来るはずです。」


 まさにタイミングバッチリでエールが届いたので木製のコップを持ちレイナが機嫌良く言う。


「じゃ、改めて·····かんぱーい!」


「「かんぱーい!」」


 皆で木製のコップがぶつかり合う音と共にあーだこーだと喋り会いつつ夜が更けていくのであった。


 善行 4/108

 

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