43.お買い物と再会と
ユーリとレイナと共に買い物をするためにお店·····ではなくオープンマーケットに来た。家屋を使ったお店もあるのらしいがユーリ曰く「·····掘り出し物が有るかもしれない。まずこっちから行こう」、っとの事だ。
正直、俺には縁が無さそうなんだが·····この世界に来て初めての街中って事で楽しみである。街行く人々に驚きの目線とか親が必死に子供の手を引いて近づけさせないようにしている点を除いてである。
いや、まぁわかってる事なんだけどね。しょうがないよ。石を投げられて無いだけまだマシだろう。ってかこの2人は気になっていないんだろうか?
「なぁ、やっぱり俺が街中を歩くのってヤバいんじゃないか?」
俺は2人にそう聞いてみると2人は何て事はないように応えた。
「気にすんなって、ルゴウはゴブリンだけど悪いヤツじゃ無いんだし。俺達が一緒にいるなら問題ないだろ」
「·····レイナの言う通り。ルゴウの心配も分かるけど気にしたら負け。冒険者も嫌われている場所とか有るから気にするだけ無駄」
「そうなの····かな?」
「そんなもんだ、実際そういった場所は他にも存在するからな。種族差別もあるしな。やれドワーフはダメとかエルフは·····ってな」
「そういった所もあるんだな」
「·······ルゴウの場合は括り的には魔物でゴブリンだから何処でも警戒はされる」
「ですよねぇ、とりあえず気にしないでいくよ」
俺は何となくではあるが納得することにした。やっぱり何処の世の中も差別意識は存在するみたいだし、冒険者なら多くの土地に行っているから経験も豊富だからな。ただやっぱりゴブリンはその括りに入らないと思う。まぁ考えても気が滅入るだけなので切り替えて、気にしないで行こう。
俺達は色々な露店を見て廻って商品を物色していった。露店で並んでる品々はアクセサリーだったり武具だったり、薬や食べ物もあった。ユーリ達にアドバイスを貰いながらどの商品がお買い得か、はたまた偽物だったり劣化品だったりを見分けて必要な物を買っていった。まぁ、主に珍しいハーブとか果物、串肉だったりする。
俺達は串肉(奢らされた)を食べながら移動していると子供が1人走ってきた。髪の毛の長さ的には女の子だろうか。ぶつかったら危ないから避けておくか。俺はそう考えぶつからない様に移動した。
その女の子も同じ事を考えていたのか動線が被ってしまい、またぶつかる可能性が出てきた。とりあえずもう一度避けておこうと移動した。しかし、移動先もまた·····ってなんでやねん。もう一度移動することにした。するとまた同じく移動しもう距離がないと思ったら聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「ルーゴウー!ひさしぶりー」
「グフッ!?」
勢い良く腹に向かってタックル·····いや抱きついて来るのはどうかと思う。危うく食った肉が胃から戻ってきて口から発射されそうになったぞ。そんなことも露知らず抱きついてきている女の子は嬉しそうな顔をしている。その光景をユーリとレイナは驚き、理解できていないようだ。
女の子は顔を上げて嬉しそうな顔で言った。
「ルゴウー、おっきくなったねー。元気だった?」
「あ、あぁ、元気だよ。アリスも元気そうだね」
「うん!いつも元気いっぱいだよ。ママも元気だよ!」
そう元気良く返事をしていたので微笑ましくなってしまい、ついつい頭を撫でている。撫でられているアリスは嫌がりもせず、より嬉しそうに笑顔になっていた。
「アリスも買い物に来たのか?」
「うん、そうだよ!ママと一緒に来たんだよ。でねルゴウを見つけたんだー」
「そうか、お母さんに何か行ってから来たのかい?じゃなかったらお母さんが心配するからお母さんの所に戻ろうか」
「そういえば·····えへへぇ、忘れてたー」
子供の行動力ってスゴいなぁ。親御さんは大変だわな。俺はユーリとレイナに事情を説明してアリスのお母さんが居るであろう場所に向かった。
向かった先には店前でオロオロとして困った表情を浮かべた見知った女性がいた。その女性はこちらを見て一瞬ギョっとしたがアリスの顔を見て安心していた。まぁお母さん以外にもこちらを見てギョっとはしているが·····
理由は簡単だ。ゴブリンが幼女を肩車しながら歩いて、その幼女はニコニコと笑顔でいることだ。·····もう慣れたよ、この視線。でも親に連れられて来ている子供たちは何かの遊びかって位で此方にキラキラとした目線を送ってくる。何人かはお父さんが肩車する羽目になってるが知らん。お父さん頑張れ。
アリスのお母さんもこちらに来たので肩車から下ろす事にした。お母さんはアリスを抱きしめて言った。
「もう、勝手に居なくなったらダメでしょ。お母さん心配したんだから」
「はーい、ごめんなさい」
そういって我が子を確かめるかの様に優しく撫でている。·····もしも人間だったら俺も今みたいにお母さんとはいたんだろうか。離れるのは早かったけど大切なお母さんだ。今は何処にいるんだろうか。
そう俺が感傷に耽っているとアリス親子がこちらに向き直り言った。
「アリスをありがとうございます。····確か貴方はこの前会った······ルゴウ····さんですよね?」
「え、あぁ、そうです」
話を振られて思考を中断させたら、どもる感じで返事をしてしまった。俺の返事でお母さんはやっと出会えたと喜び再度礼を言ってきた。
「まぁ、あの時はありがとうございました。お陰で母子共々元気に暮らせてます」
「いやいや、いいですよ。たまたまだったんで気にしないで下さい」
「たまたまでも助かったんです。ありがとうございました。ルゴウさんも元気そうで随分大きくなりましたね。特に話し方も····ん?」
「あれから進化しましたからね·····ってどうしたんですか?」
「流暢に喋れてる!?前のちょっと聞き取りずらい感じではなくなってる!?」
そう言って驚いている。そんなに驚くことかな?そう思いレイナ達に顔を向けるがユーリだけは頷いていた。レイナは参考にならんのだった。
お母さんは気を取り直す為に咳払いをしつつこんな提案をしてくる。
「んん、この前のお返しをしたいのですけども何か欲しい物はありますか?今日はお休みにしてますが普段は魔法薬や薬を売ってますので、必要で有ればお渡し出来ますよ」
「そうですねぁ·····今は思いつかないからまた後日でも良いでしょうか?」
「まぁ、実際に見てみないとわからないですよね。お店の場所は冒険者ギルドから近い所で『サラサの薬処』って言います」
「わかりました」
「ルゴウ、絶対に来てね待ってるから」
「はいはい、わかったよ」
俺はそう言ってアリスの頭を撫でて2人と別れた。そしてユーリ達とともに買い物を再開するのであった。
なおこの後、2人からやれ小さい子が好きなのかとか人妻が好きなのかとか弄られた。反論して「おっぱいが大きい方が好きだ、幼女趣味はない」と言ったらユーリが怒って足を思いっきり蹴られた。レイナはレイナで何を思ったのか自分の胸を抱き寄せながら俺から距離をとっていた。どうすりゃええねん。
善行 4/108




