42.分け前の行方は·····
目が覚めたらそこには知らない天井が·····いや、知ってるわ。どれくらい気を失っていたかわからないがレイナは既に着替え終えていた。俺は鈍く痛む頬を擦りながら身体を起こした。
レイナは俺が起きたのに気がついたのかムスっとした表情で見ていた。
「さっきは悪かったって。機嫌直してくれよ」
「まぁ、今回はあれでチャラにしてやるよ。皆のとこに行くからルゴウも準備してくれ」
「了解、準備するよ」
俺はレイナに言われて準備を始めた。準備って言っても剣を1振り帯剣するだけだで、後は水の入った桶があるのでレイナに聞いてからと使い顔を洗った。これで準備は完了だ。
「よし、じゃ行くか」
準備が完了した俺を見たレイナはベッドから立ち上がり俺を連れて集合場所に向かった。集合場所は冒険者ギルドだった。
······いやいや、冒険者ギルドで集合だったら昨日の解散する前に分配すればよかったのに。
そんな事をレイナに言ったらバツが悪そうに「俺とレヴィアが仕事終わったらすぐ飲みに行くからこうなってるんだ」との事だ。分配するまで時間は掛からないと思うのに我慢出来ないんか·····出来ないんだろうなぁっと納得しつつ冒険者ギルドに入る。
テーブル席の1つには既にローナ達が集まっていた。俺とレイナは最後に到着した訳か。俺は若干待たせ過ぎたのかなと不安になりかけたが、レイナは気にした感じもなくいつも通り声を掛けていた。
「おっす、待たせたなぁ」
「はぁ、やっとか。レイナも着たことだし分配を始めるか」
「······遅刻常習犯のレイナの取り分は少くていいと思う」
「ちょ、それは困る。それに今日は寝坊してねぇぞ。しっかり朝に目が覚めてた」
「······いつもそう言ってる」
「そ、そんな事·······ねぇぞ?」
そう言いつつレイナはユーリに目を合わせようとはしない。実に分かりやすい奴だ。そんな2人にローナはため息を吐きつつ話を進めるため切り出した。
「さて分配を始めるぞー、まずは今回の依頼分で金貨20枚、これを5人で分けて1人4枚だ。レイナとレヴィアは昨日の飲み代から引いて3枚だ」
そう言ってローナは金貨を配っていく。4人は文句は無いようで素直に受け取った。
「まぁ、護衛依頼としては破格だから金額に文句は言えないもんな」
「·····それに野営食も依頼人持ちだから尚更」
「では次に討伐依頼についてだが·····」
そう言ってローナは俺の方をチラッと見た。俺は頷いて元々考えていたことを話した。
「俺の取り分は要らない、合っても使う機会が無いと考えてるし、そもそもゴブリンだし」
「·······だ、そうだ」
俺がそう言うとローナは再度ため息を吐いた。そして俺が前以て言っていた案に質問をしてきた。
「代わりとして物を買うって事になるんだが····正直、額が額だけに大量な物を買うことになる。荷馬車が必要な位」
·······え、どういう事だ?お金の価値がわからない。俺が意味がわからず固まっているとマリアが察したのか説明してくれた。
「簡単に説明するわね。基本的に1ヵ月生活する上で必要なお金は銀貨で40枚位で足りるの。冒険者は倍位かしら。そこに嗜好品を買ったりしても銀貨60枚位で足りるわ。だから今回の討伐依頼の金額は金貨35枚と銀貨40枚となると····わかるわよね?」
「····あぁ、流石に分かる。そこまでの賞金があいつらに掛かっていたのか」
人族だったら節約したら当分困らないってのがわかった。わかったんだけどそれと同時に疑問も生まれる。
「そこまでの賞金が掛かるってあいつら何をやったんだ?」
俺はこの疑問をマリアに聞いてみた。マリアは何の事はない様に言ってくれた。
「最近ここら辺を根城にして好き勝手荒らされて商人達の往来が減ってきたのが理由ね。討伐隊を出しても巧みに隠れたり、逆に痛手を負わせたりで目の上のたんこぶ状態だったの。それを解決する為に討伐に参加する人数を増やすため冒険者に依頼したって訳」
「はぁ、なるほど」
まさに害悪な連中だったんだな。規模はわからないが生き残りがいたら潰していこう。
俺が新たに考えた事を頭の片隅に入れておき脱線してしまった話を戻すことにした。
「改めて言うけど、やっぱりそんなに要らない。有っても金貨1枚で十分だ。残りは皆で分けてほしい」
「それでいいんだな」
「あぁ、後から文句は言わないし受け付けない!」
俺がそう言って残りは断固拒否と腕を組んでいるとローナ達は遂に折れてくれた。
「はぁ、わかった。残りは皆で分けるよ。銀貨は分けるのめんどくさいからルゴウが貰ってくれ」
そう言ってローナは俺に金貨1枚と銀貨40枚を渡してくれた。残りの金貨34枚は30枚は均等に分けて4枚は活動資金の予備に充てるとの事だ。さて、これで物が買えるぞー、食生活や布団とか充実できるのではないだろうか。オラ、わくわくすっぞ。
俺が今の生活水準が上がる事に思いを馳せているとユーリが話しかけてきた。
「·····ルゴウのお陰で臨時収入が入った。ありがとう。お礼に買い物一緒に行かない?案内する」
「是非ともお願いします!」
俺はユーリからの誘いに断る理由も勿論なく快く承諾した。気分も上々だ。
「あ、んじゃ俺も付いていく。丁度欲しいもんあったんだよね」
レイナもそう言って買い物参加組となる。他のメンバーは特に買うものも無いとのことだから一旦解散となる。ある一言を残して。
「じゃあ、ルゴウとレイナはまた後でねー」
「おう、夕方には向かうわ」
「え、またって·····まさか!?」
俺がはっと気付いた時には遅かった、そこに拒否権は無いかのようにレイナとレヴィアが仲良く言ってきた。
「「勿論、今日も飲むぞ(ましょう)!」」
俺は今日も夜は2人に付き合う事が確定したらしい。俺が肩を落としているとユーリが背中を軽く叩いて言った。
「·······ドンマイ、買い物は楽しんでいこ?」
こうしてユーリとレイナの2人に連れられ買い物に向かうのであった。
善行 4/108
すみません、これ以降の話は文字数が多めになってきました。
分けようかなとは思いましたが区切りが悪くなるため諦めました。引き続き読者の方々に楽しめるよう、また書いてて自分も楽しくやってきます




