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ゴブリンから始まる物語  作者: となりの戸愚呂
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3.別れは悲しいものです

 攻撃は変わらず止まない。デカイゴブリンの攻撃のせいで外の音が余計に聴こえずらい。

 母さんの為にも土壁を突破されないように維持し続けている。どれくらい耐えれば良い?とりあえずやり続ける、ただひたすらに。

 そんななか不意に母さんからこんなことを言われた。


「もう大丈夫よ、頑張らなくていいのよ。ありがとう守ってくれて、坊やはゆっくり休んでちょうだい。大丈夫、母さんが守ってあげるから」


 一瞬その言葉で気持ちが揺らぎそうになったが俺は首を横に振った。


「ハハ、ダイジョウブ。ヒト、モウスグ、クル。ソレマデ、オレ、ガンバル。」


 そんな言葉をかけ、母さんを励ました。母さんは「ありがとう」と言って涙を流していた。


 そしたら今まで続いていた攻撃は不意に止まった。なんだろう、諦めたのか?

 だが足音は離れていない、休んでるだけか?

 いや、違う。人族の声がする。段々と大きくなってきているから近づいてきてるんだ!良かった助かる!


 残りの魔力と仙気をフルに使ってもこれを維持していこう、後少しだ。まだいける。ここで解いたら今までのが水の泡だ。

 母さんも聴こえてきたのか安心と喜びの混ざった顔をしている。やっと助かったと安堵しているんだろう。


「ここにもゴブリンがいたか、いや大きさからホブゴブリンか?厄介な、連携して倒すぞ!」


 そんな声が聞こえて俺もようやく安堵出来た。助かった。壁の外側から剣戟と爆発音、怒号が鳴り始めていた。

 少し静かになるまで待とう、足を引っ張ったらダメだ。


 だが、もう魔力と仙気は限界を迎えて土壁は崩れ始めている。母さんもそれに気づいたのか俺を抱きしめる力が強くなってきている。


 剣戟が止んだ頃には土壁はほとんど意味をなしていなかった。ギリギリ間に合って良かったぁ。


「ん?ここにももう一体いたのか?いや、後ろに女が····ゴブリンが守っていたのか?あり得ない」


「おい、大丈夫か!怪我はないか!そいつから早く離れろ!!」


 色んな声が聞こえるけど、意識が飛びそう。大分限界だったんだなぁ。


「私は大丈夫、この子が守ってくれたから···だからお願い、この子を殺さないで」


 母さん大丈夫だよ、やっと解放されるんだから仲間の所に行ってきて良いんだよ。


「でも、ゴブリンだろう?あり得ないだろ普通···でもここに来るまでずっとそこをホブゴブリンが殴っていたからそうなのか?」


「ゴブリンなんて生かしておいても害になるだけだ。殺るなら、殺っちまおうよ」


「お願いします、やめてください。私の子なの。ゴブリンだけど優しい子なの。だから見逃して」


「っと言ってもなぁ、とりあえずあんたはこれをやるから羽織ってくれ。正直目の付け所に困る。」


 あぁ、ぼーっとはしてきたけど何となくわかってきた。ゴブリンだから殺さないといけないって感じか。転生して早かったけど、これだけはお願いしないとなぁ。


「ハハ、オネガイ、シマス。ブジニ、モト、バショ、カエス。オネガイ」


 俺はそう言って頭を人族に下げた。人族は驚いた顔でこちらを見ている。母さんは変わらず泣いていた。


「マジかぁ、初めて見た。ゴブリンが喋ってる、しかも自分よりも母親を大事にって」


「確かに初めてだ、こんなゴブリン。殺す気が一気に無くなったよ。どうする?見逃すか?連れ帰るにも危険があるし」


「あんたはどうしたい?連れて帰るか?それとも置いていくか?」


「私は·······」


 あぁ、母さんダメだ。俺を連れて帰ったら、なにされるかわからない。俺が先に言わないと。


「ハハ、ダイジョウブ。オレ、ヒトリ、モンダイナイ。オレ、ワスレテ、カエル。イイ?」


 人族は驚いた顔でまたこちらを見ている。

 だから母さんは泣かないでよ。居たたまれないから。

「だとさ、ホントに出来たゴブリンだわ。すげぇな」


「だなぁ、よし。俺たちはここのゴブリンを殲滅した。んで、被害者を救助して帰還する。お前はここに残るか別の所で生活をするでいいか?」


 俺は悩まず首を縦に振る。


「んじゃ、これは漢の約束な。お前は今後人族に手を出さない、まぁ被害を出さないで生きていくこと。守れるか?」


「モチロン、モンダイ、ナイ。タダ、ハハ、タノム」


「了解、約束は守るよ。と言うことで皆お疲れさん、被害者達を引き連れて帰るとしよう」


 皆引き上げようとしたときに不意に母さんが声を挙げた。


「待って、少しだけ時間を下さい」


 母さんは俺に近づいてそっと抱きしめながらこう言った。


「産まれて来てくれてありがとう、守ってくれてありがとう。あなたのこと忘れないから、私のかわいい子、ルゴウ」


 そう言った母さんは暫く俺抱きしめていた。俺も母さんの温もりを忘れないように涙を溜めなながら抱き返すだけだった。



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― 新着の感想 ―
[良い点] これを読むのは初めてで、この小説が大好きです。そのまま書き続けてください。 [一言] 私たちの主人公が、人型の種族になったときに母親と再会し、家族として一緒に暮らすことを願っています.
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