38.まぁ、ですよねぇ
そんなこんなでロサルガと言う街に到着した。俺は街と言われたから家屋が並んでいたり、賑わっているイメージだったが目の前にあったのは壁と門である。目測だが高さは10メートル位あり、四角く内側を囲っている。
俺はその光景に驚いていていたのと同時に不安も徐々に膨らんできた。
「なぁ、俺って入っても大丈夫なのか?ゴブリンだぞ?」
「ん?あぁ、大丈夫だって。心配すんな」
「いや、無理がないか?」
「レイナは楽観的なんだから。ルゴウは私達に出来るだけ離れないようにね」
「お、おう」
ローナの指示に従った方がいざこざは発生しにくいだろうと考え進んでいった。そして·····
「ご、ゴブリン!?いや、『紅の戦乙女』の皆さんは何故に連れて来たんですか!?」
門番をしていた兵士が驚いているが警戒の為····というか当然の対応が如く槍を俺に向けてくる。いやぁ、そうだよねぇ。それが普通だよ。帰りたいわぁ。
「いやー、それがよぉーーー」
「はいはい、レイナは黙ってなさい。ややこしくなるから。彼は敵意はなくて基本的に無害なの。連れて来たのは彼が『土蜘蛛』を討伐したからその報告としてギルドに連れていくところなの」
レイナは喋らせて貰えず落ち込んでいるのを傍目にローナが兵士に説明した。説明も受けても怪訝そうに此方を視るだけで槍は下ろしてはいない。
「例え、そうだったとしても魔物を街の中に入れることは出来ません。テイマーであれば問題は無いのですが····『紅の戦乙女』のメンバーでテイマーはいない筈ですよね」
「····確かにいないが、彼は問題ない。それに何か起こそうとしたら私達が対処しよう」
「被害が出てからじゃ遅いんですよ····といってもゴブリン1体なら対処は可能かな····ちょっと上司に確認してくるんで待ってて下さい」
そう言って兵士は門の所に設置してある詰所に入っていった。
「ダリルさんすみません、私達の私用で時間を掛けさせてしまって」
兵士を待っている間にローナは御者をやっているダリルに謝った。するとダリルは何とでもないかのように振る舞った。
「いや、良いですよ。長くこの仕事やっていましたが珍しい事に遭遇出来たので良い経験でしたし。それに彼がダンジョンに潜ってるって話を聞けてさらに物々交換でダンジョンの物が手に入りそうなんで良いことだらけですよ」
「ありがとうございます」
そう、この道中でダリルとも話しておりダンジョンで手に入った物を視てもらっていた。自分が使ってないもの死蔵しているダンジョン産の物も有れば引き取って貰えることになった。翡翠の籠手を見たときのダリルは獲物を見つけた猛獣の様だったのが記憶に新しい。ホントに商人は逞しいなぁと思った時である。
少し待っていた後に先程の兵士ともう1人違う兵士が来た。如何にも屈強そうな兵士である。その人が俺を一瞥した後ローナに向き直り事情を再度聞いてきた。ローナは説明し街に入る許可を求めると兵士は考える素振りを見せていた。
そして考え抜いた結果、ゴブリン1体で何かしようにも『紅の戦乙女』なら対処出来るだろうと判断して許可が下りた。ローナ達はホッとしていたがダリルが兵士に近付いて何か話している。兵士は驚いた後に渋々と言った感じでダリルに何かを言い渡し、ダリルは満足のいった顔して戻ってきた。······聞いて良いのかなぁ?
「いやー、良い門番兵でしたね。理解がある人達で良かったです」
「ホントによかったです。所でダリルさんは何を話してたんですか?」
「それは秘密ですよ、私も冒険者ギルドに用事が出来たんでお店寄ってからでも良いですか?」
「は、はぁ、大丈夫ですけど····」
俺達はそのままヤクト商会の店に積み荷を卸してから冒険者ギルドに向かうことにした。
善行 4/108




