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ゴブリンから始まる物語  作者: となりの戸愚呂
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2.いきなりのピンチ

 更に半月ほど経って魔法·仙術の量や練度も少し、いやちょこっとは向上した気がするが·····実際、どうなんだろう?基準が分からん。やっぱり何かに向けて放ってみた方がより良いのだろうか?·····んー、分からん。

 

 ただ一つ分かったことがある。と言うかそうじゃないかなぁって思うのがあって、俺が産まれてから母さんは他のゴブリンに襲われてはいない。

 俺がいつも側に居るからか?それとも子を産んだ母親は興味が無いのか?でも向こうの人達は襲われている····やっぱりわかったようでわからない。

 いや、もしかしたらこないだ母さんに食べ物運んできたゴブリンがちょっかい出そうとしたのを魔法で追い返したから····かもしれない。


 あれから母さんも何となくだけど生気を少しは取り戻して俺の事を大事にしてくれ始めている。話しかけてくれるようにもなってきたし、良かった。ただゴブリンにとって人族の言葉って発音が難しくてなかなか上手く話せないのが悲しいかなぁ。


ーーーー「ねぇ、私はいつになったらここから出られるの?早く帰りたい、ここに居たくない。坊やは私から離れないで、お願い」


ーーーー「坊やは良い子ね、お母さんを守ってくれて。ありがとう」


ーーーー「魔法はねぇ、私は詳しくは無いけどあると便利なのよ。頑張ってそのまま伸ばしていきなさい。そして私を守って····」


 ····とまぁこんな感じの会話が·····、ってか重いっす。母さん言葉の重圧が半端ないっす。 

 いや、頑張っていきますけども。俺も今後生きていく中で絶対に必要になってくスキルになるから伸ばしていくけども。

 でもこれって期待されてるって事なんだろうなぁ、ここから出れる手段として母さんは俺を見ているし、だったら応えていくしかないかなぁ。だから今日も1日訓練をやっていった、やり続けた。



 数日経ったある日、急に洞窟の中が騒がしくなった。ゴブリン達の悲鳴と怒号、それに混ざって人族の声が、爆発音もする。

 母さんは誰かが助けに来たのかと期待で生気がどんどん満ちてきている。だんだんと近づいてくる足音止まない怒号と悲鳴。俺は嫌な感じがしたので母さんの前に出た。

 そんな母さんは俺の行動に驚いている、裏切ったの?って言う顔しないで欲しいなぁ、傷付くから。

 

 入り口から顔を出したのはやっぱりゴブリンだった、しかもこの洞窟内にはいなかったはずの大きな個体だ。

 こいつは何しにここに来たんだ?もしかしたら人族を一人でも多く殺す為に来たのか?だったら守らないと、せめて向こうで戦ってる人族がこっちに来るまで時間を稼がないと、いや、音を発ててこちらに来てもらうようにするか?そうしよう。


 「ハハ、ウシロ、イル。オレ、ヒトクルマデ、マモル。アンシン、シテ」


 やっぱり上手く喋れないけど、何とか伝わってくれた。母さんは頷いて俺の後ろに隠れるようにしている。


 まず俺は魔法でファイアーボールを出しデカイゴブリンに向かって放った。

 いきなりの同族からの攻撃でデカイゴブリンは驚きはしたが冷静に避けられた。

 外したファイアーボールは後ろで爆発音を出してくれた。

 まずは一回成功。後は二、三回やる必要があるかな。

 俺を敵と判断したゴブリンは怒った形相でこちらを見て向かってくる。すかさずファイアーボールを二、三発連続で撃ち込んだ。

 一発は当てることに成功しいて爆発で先ほどの位置まで押し戻してやったが、思ったより頑丈だ。

 怪我を負った感じは見られない軽い火傷くらいかな。

 ·····コイツはやっぱり今の俺じゃ倒せないな。でも、頑張らないと母さんの為にも。


 魔法は出来てあとファイアーボール三発分は撃てる感じはするけど、人族が来るまで時間を稼げない。


 だったら一か八かで三発分のファイアーボールをストーンウォールにまわして時間を少しでも多く稼ぐことにしよう。

 

 俺は母さんを連れて後ろへと下がり、壁を背にして魔力を多く練り上げ二人を囲うようにストーンウォールを作った。

 デカイゴブリンも俺の行動に察知して駆け出したが間に合わず土の壁に阻まれた。怒りを更に増幅させたのか土の壁を力任せに殴っている。お願いだから壊れないで欲しい。


 殴る度に土の壁が振動し、強度も弱くなりそうなのを俺は何とか魔力で補填しながら耐えている。母さんも恐怖に耐えながら俺の傍から離れないで祈っている。


 体感にして二時間は経ったんじゃないかと言うくらい攻撃は続いたが実際は十分も経っていないと思う。

 段々と恐怖が増していく、俺の魔力も少なく枯渇しそうである。早く人族は来ないのか、まだなのか、早く来てくれと思うようになってきた。


 母さんも俺の様子をみて感じたのか安心させるために抱きしめてくれた。幾分か安心できた。何とか意識を保とう。まだいける頑張れる、そう思うと内側から仙気が魔力と混ざりはじめ土の壁に注がれていった。

 気のせいか強度が少し増した気がする。殴られている所に流す魔力が減った様な感覚がある。

 これならいける。今のを忘れないように維持し続けていこう。


 デカイゴブリンはまだ諦めないのか攻撃の手を緩めることはなかった。


 早く来てくれ、こっちにいるぞ。



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