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ゴブリンから始まる物語  作者: となりの戸愚呂
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21.液体の正体と指輪について、そして念願の····

 

 俺達は俺の住んでいる洞窟に到着した。


「ルゴウ、まだここに住んでいたのか?もしかしてあの時からずっとか?」


「ズットココ。デモソノ内、場所変エル予定ダ。」


「そっかー、と言ってもさっき話していたダンジョンが近いからしばらくそのままだろ?俺だったらそうしてるしな」


 ケビンってやっぱりというか察してくれる。こういうのがリーダーとしての資質なんだろうか?それとも人間性かな。


 ······というか、ここ臭い大丈夫だろうか?一応、風魔法とか使ったり水魔法で洗ったりしてるから臭くはないと思うけど。

 産まれた時は気にしてなかったが、外に出てから帰ったとき臭くて一週間魔法の練習がてら清掃してたからな。一部どうしても臭い部屋は土魔法を何重にも重ねて埋め立てた。何で臭いかって?とりあえず獣臭いとだけ言っておこう。


 香りの良い草とか持ってきては交換してたし良くなってるはず。

 シュート達は何ともなくは入るがケビン達は一度ここには来たことがあるので、気合いを入れてる感じがあるが中に入っていくと気を緩めていた。

 そんなケビン達をシュート達は不思議に思い聞いていた。


「ケビンさん達は何で気を張っていたんですか?」


「いやぁ、以前ここには来たことがあってね····」


「「·····?」」


 ケビンはこちらをチラッと見てきたので俺も説明する。


「ココハ以前、俺ノ同族ガ住ンデイタ場所。臭カッタカラ頑張ッタ」


 そう胸を張っていったらケビン達は笑っていた。シュート達はなんの事かが理解できず疑問のままだった。


「いやー、すまんすまん。君たちはゴブリンの巣がどういったものか知らないもんな。」


「ゴブリンの巣ってのはなぁ、奥に入るほど臭いがキツいんだよ。獣とか汗とか色んな臭いで」


「え?ここはそんな感じありませんけど、むしろ薬草の香りがするけど」


「それはルゴウが頑張ったからだよ、薬草みたいな匂いは·····」


「ソコラ辺デ取ッテキテ置イテイル」


「だそうだ。よかったなぁ、最初のゴブリンの巣がここの匂いで。他の経験したら泣くぞ」


 そういってケビン達はまた笑いだした。

 ·····良かったー、頑張っておいて。俺の嗅覚は死んではいなかったか。


 そんなこんなで調理スペースに使っている所に到着して火と風の魔法を使って調理を始めた。

 と言ってもただ焼くだけ調味料がない。リンが俺の魔法を興味深そうに観ている。


「·····ルゴウって、ゴブリンなのに凄いね。魔法無詠唱て同時に使えるし。あ、塩あるけど使う?」


「コレグライハ····本当カ!?イル!」


 塩だと!?今まで欲していた塩があるだと!

 リン、いや、リン様ありがとうございます!


 と、馬鹿な思考になりつつも頂いた物を大切に使い料理を進めていった。

 ある程度焼き上がったら食べれる香草をのせ香りづけるため軽く焼いていく。


 そして完成した。カエル肉の塩焼き·····絶対美味しいだろ。あの味気ない肉に塩が加わるんだから。


 シュート達に完成した肉を渡して食べ始めることに······


 あぁ、あのいつも味気ない肉に塩が入るだけでこんなに美味しくなるなんて····やっぱり調味料って必要だわー。


「お、意外と美味しい」


「だよね、この香草何かなぁ?気になる」


「確かに美味しいけど····んー、脂身が少ないなぁ」


「んー、でもこんなもんじゃない?想像よりは美味しいと思うよー」


 各々そんな感想だけど、俺は大満足だ。

 一応リンに聞いてみるか?


「リン、塩ッテマダアルカ?アレバ欲シインダガ」


「塩はねぇ····ごめんもうなくなっちゃった」


「ソ、ソウカ·····」


 そうか·····もうないかぁ、残念だ。まぁ、良く考えると冒険者で大量に持ち歩かないもんな。


「そんなに落ち込まないでよ、また持ってきてあげるから」


 ········!?


「本当カ!?アリガトウ!」


 落ち込んでいる俺にそんな声を掛けてくれたリンに勢い良く顔を上げて礼を言った。·····嬉しすぎて手を握ってしまったが、まぁ気にすることはない。ちょっと冷静になってから恥ずかしく思いつつ手を話した。


「そ、そうだ。塩をあげる代わりにさっき食べたお肉に使ってた香草教えてよ。」


「アア、イイゾ。何デモ教エルゾ」


 念願の塩が手に入るとなったら、気分も上がる。リンには香草に使った葉の形とどこら辺に生えているか伝え、少量だが幾つか渡した。

 だが、ウルバよ。そんなに睨むなって俺はゴブリンだぞ。俺が人だったら対抗心はわかるけど、ゴブリン相手に対抗心燃やしてどうする。


 そんな感じでそのあと少しみんなのんびりしていた。ふと思いだしケビンにあの緑の謎の液体について聞いてみることにした。


「·····ルゴウ。君はこれをどこで手にいれたんだい?」


「·······?ダンジョンダガ?」


「これはね、キュアポーションって言ってね毒とか病気とか治療するのに使う物なんだよ。そして調合が難しくて高値で取引されているんだ。まぁ、鉄級の冒険者で頑張れば買えなくはない物だけど」


「イマイチ、ワカラナイガ2本持ッテイクカ?」


「良いのか?結構貴重なんだぞこれ」


「構ワナイ、母サン助ケテクレタ礼」


「すまないな、ありがたく貰うよ。ちょうど俺も欲しかったモノなんだ」


 早速役にたてそうで良かった。それにこの液体について知ることが出来て良かった。残り1本だがダンジョンで同じやつが出たら取っておこう。

 でも、体力とか魔力の回復薬だと良かったんだけどなぁ、残念だ。

 そう思っていると、ケビンはもうひとつ聞いてきた。


「今気づいたんだが····ルゴウその指に嵌めてる指輪見せてくれないか?」


 そう言われたので素直に見せることにした。


「あぁ、やっぱり。それはねぇ毒から身を守る指輪だね。まぁと言っても弱い毒だけど、強いものだとある程度緩和出来るくらいだね。大事に使うと良いよ」


 ······へぇ、そうだったんだ。いつの間にか毒への耐性をつけていたらしい。まぁ今後ともお世話になろう。


 知りたいことも知れて良い収穫にだと思ったり、あれからの母さんについて話もできて良かった。

 のんびり過ごしてから少し時間がたってケビン達は立ち上がり号令を掛けた。


「さてと、シルバーウィング。もうそろそろ帰るぞー、ちょっとイレギュラーもあったが冒険者にはそういう運もつきものだ。今回の依頼は今のところ問題無いから気を引き締めて帰るぞー」


「「わかりました」」


 そして各々出発の準備を始めて、入口まで見送ることに。


「ルゴウ、ありがとうね。塩持ってまた来るからね」


「楽シミニシテル」


 そういってリン達は帰っていったが、ウルバだけは何故か戻ってきた。何故?


「······けない··な··」


「······エ?」


「····負けないからな、ゴブリンになんて!」


 ·······はぁ?


 それだけ言って直ぐ踵を返してみんなのところに戻っていった。何を思ってウルバは言い出したのか·····かは分かるけども·····そんな気は無いんだけどなぁ。ゴブリンから人をなら分かるんだけど俺はそんな気は無いし。かといって逆とかあり得ないだろう。

 逆だったらその人の性癖疑うぞ。ホントに。


 そんな感じでいつもよりは長く感じるくらい1日を終えるのだった。





 ーーーーーーーーその日の晩


「エミリア、今帰ったぞ!」


「·····お帰り···兄さん、どうしたの?」


「あぁ、今日俺の友人からお前の病気に効く薬を貰ったんだ!」


「······そんな高価なもの、いいの?」


「あぁ、構わない。使ってくれ」


「ありがとう、兄さん。その内その人にお礼しないとね」


「そうだな、本人は気にしないでとは言っていたけども何か考えておこうか」


 善行 3/108


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