111.皆してヒドイや・・・
愛されているが故の不幸な事故はあったが無事にケガ無く戦闘を終えることが出来て良かった。まぁ、俺だけ危うい所はあったけどヨシとしよう。さて、戦利品なのだがどうしたものか。俺が気絶している間に回収してくれたようで床に並べられている。大白蛇の魔石と牙に鱗、白蛇が絡み合っているバングル、白を基調とし所々に金のラインが施されているローブ、後は················これはなんだ?短剣だと思うんだがそれにしては刃が無い。刺突専用か?俺はそれを手に取りまじまじと観ているとユーリが俺の袖を引っ張ってきた。
「········そのスティレット。········欲しい」
ユーリの顔を見ると目を輝かせながらねだるように言ってきた。これスティレットって言うんだ。
「別に良いが········他の皆はどうだ?」
「このメンバーで短剣を使い熟せるのはユーリしかいないから構わないぞ」
「そうですね。私も使いませんし」
「ミラはこれで十分にゃ」
他の皆も反対する事無く、ユーリが所持することが決まった。ユーリも気に入ったのかご機嫌である。
「短剣はユーリに決まったが········このローブはどうする?見た目からして聖職者が着そうなものなんだが」
俺はマリアに視線を向けるとマリアは困った様に言った。
「あ~、私は要らないかな。これがあるし········それにさっきアナライズで確認したんだけどそのローブ、見た目はそうなんだけど魔術師用らしいのよ」
「········はい?」
「魔力伝導もかなり良いし魔力を通せば生半可な攻撃は受けないし、攻撃魔法の威力や行動阻害の魔法の効果が上昇するらしいのよ。まぁ私達の装備程ではないのよね」
「私も基本は弓だから不要なのよね。リンにあげたら良いんじゃないでしょうか?」
「えっ!?ぼ、僕?」
「確かにレヴィアの言う通りだな。魔法特化のリンなら問題ねぇだろ。ルゴウも魔法は使えるけど前衛寄りだし、剣を振るうにも邪魔だろう?」
「だな。それに俺がこんなん着ても似合わんしな」
聖職者みたいなローブを纏ったゴブリン········うん、想像するだけで似合わん。一体何を信仰してるんだって感じだよな。
「ぶっ、にゃはは!確かに似合わないにゃ!」
おい、ミラ失礼だぞ。笑うことはねぇだろ。流石にちょっとは傷つくんだからな。俺はジトっとミラを一瞥してから気を取り直してリンに向いた。
「じゃあこれはリンに················って皆どうしたんだ?俺なんか見て」
ジロジロと目線の矢が突き刺さってくる。リンも受け取ろうとしないし········なんか変な事言ったか?するとレヴィアがパンっと手を叩きニコニコと笑みを浮かべながら言った。
「じゃあ折角なんで着てみましょう」
「はぁ?」
「だな。実際観てみないと分からないしな。というわけで野暮ったい鎧は脱いで着てみろ」
「そうねぇ、ささっ着替えましょうねぇ」
「いや、ちょ、ちょっと、待て」
俺を逃さないようレイナががっちりと腕を掴み、マリアは面白そうに皮鎧を外していく。ってか何で簡単に外していくんだよ!お前ら器用だな!?リンも便乗するな、止めろよ!
「········案外悪くはならない········はず········っぷ」
「わ、笑うなユーリ。ど········どうなるか········わから········っく」
ローナも笑ってるから同罪だからな!!く、くそぉー振り払えねぇ·················
·························
···································
···············································
テキパキと着替えさせられた俺の顔は死んでいた。俺は自分の姿を見る事は出来ないが周りの反応からして察する事が出来る。なんだよこの辱めは········
「にゃーはははー!っくっそ似合わないにゃ!!は、腹が、腹が、よじれ········ぶっ!!」
「い、いや········これはこれで········っくふ」
「ローナ、わ、笑っちゃ·····かわいそ···よ」
「········な、ナイス········ルゴウ········」
「やっぱ似合わねーなー」
こ、こいつ等········いつか········いつかシバいてやる········。俺がそう心に誓っているとリンが下から上へとなめる様に見た後、頬を染めにっこりと微笑った。
「うん!僕は似合ってると思うし格好いいよ!」
「お、おう。慰めだとは思うけどありがとう」
それはそれで傷口に塩を塗るようなフォローなんだが········この悪意のない表情だとこれ以上の不満は言えないな。
「慰めで言った訳じゃないんだけどな········」
「リンはルゴウにご執心ですからね。どんな姿でも········あっ、そうです!」
レヴィアがリンに苦笑いを向けていたが唐突に何かを閃いたのか手をポンと叩き言った。
「変身すれば良いんじゃないでしょうか。そちらの方が似合いそうですし」
「それもそっか。ゴブリンだから似合わないだけで人の姿なら多少はマシになるもんな」
レヴィアの言う通りゴブリンなら似合わないが人の姿なら少しは様になるだろう。
「おー、確かにレヴィアの言う通りだな。様になりそう········んー、いやしなくていいわ」
なんでや。
「そうだね、うん。ローナさん達も満足したでしょ」
あれぇ、リンも反対なのか?
ローナも2人の反応に疑問を持ったのか首········を傾げながら言った。
「レイナもリンもどうしたんだ急に。見たくないのか?」
「そりゃ見てはみたいが········なぁ」
「うん、これ以上増えたら大変だしね········って言ってももう既に遅いかもだけど」
どういうことだ?増えるって何が?しかも遅いかもってどういう意味?
俺が困惑していると袖をクイっと引っ張てユーリが手招きをしている。耳を貸せって事か。俺はユーリに合わせて絡むとそっと耳元に顔を近づけ囁いた。
「········その姿だと似合わないけどあっちだと似合ってると思う。········だからリンもレイナも反対してる。········後は察して」
「················?どういう事だ?」
「········内緒。········分からないルゴウが悪い」
ユーリはそう言うと離れようとしたので俺も立ち上がろうとした。すると不意に頬に柔らかい感触が当たり、振り向くとユーリがニヤニヤとしながら口に指を当てていた。
「········ヒントともう1個の内緒」
「························」
これがヒントって········何となく察する事は出来たが服装と姿が変わっただけでそうなるのかね?というか今のって本当に友人同士でもやらんだろう。
俺はどうしたもんかという感情と好かれているといったむず痒さを紛らわす為、頬を掻きながら未だに言い争っているローナ達をただただ観ていた。
····························
····································
················································
結局ローナ達が折れた事により俺は変身することなくローブはリンに渡すことになった。残りの装備であるバングルはローナが持つことで決定した。効果は状態異常耐性をかなり上げる事が出来るものらしい。俺も欲しいとは思ったけど魔石の方が欲しい。次の進化の糧になるからな。残りは換金や武具の素材にすることになった。
さて、予想以上に時間を食ってしまったが奥へと進むとしよう。そうこの部屋にはまだ奥があった。最初にあのデカイ白蛇が居た所の奥に扉があった。この隠し部屋には続きがあるのだ。
扉を通りしばらく真っ直ぐな道を進んで行くと小部屋へと辿り着いた。部屋の中は薄暗く物や柱とかは無い。ただ1点を除いての話だ。部屋の中央には魔方陣が大きく描かれ、魔力を持っているのか青白い光と粒子が飛んでいる。本来であれば警戒しなくてはいけないのだが、この空間と暗さがマッチしているのか幻想的で見惚れてしまう。
「これは········」
「綺麗だねー」
「にゃ~」
「だな。思わず見惚れてしまうな」
眉根を寄せるローナとは逆に、俺とリン、ミラがそんな呑気な事を言うとローナから溜め息が返ってきた。
「何を言ってるんだ。少しは警戒心を持ってくれ」
「そうですよ。もしかしたら罠かもしれないんですよ」
「これくらいは良いじゃない。実際に綺麗だもの。それに3人共こういうの視たことないじゃない」
「········まぁ、それもそうか」
「なんかすまん」
マリアからフォローがあったがもう少し緊張感は残した方が良いよな。反省。
「さて、レヴィアとマリアはこの魔法陣をどう観る」
「んー、そうですね········危険は無いかと思いますよ。見た感じは何処かへの転移陣のようですし」
「邪な気配も魔力も感じられ無いから入っても問題無いわね」
「ふむ········」
そんな事を観ただけで判断出来るって2とも凄いな········。俺が一人でこの魔法陣を見たらまず入らないだろう········いや、入るかも。ボスっぽい奴が道を塞いでいたんだからご褒美があるだろうって感じで。
ローナは先の事を考えているのか少し考え込み、結論が出たのか頷いた。
「よし、行く事にしよう。この先に何があるか判らないから何時でも戦闘態勢に移れるようしてこう」
「しゃあ!そう言うと思ってたぜ。ここまで来て退けないもんな」
「········お宝あればいいな」
「どうですかね?もしあるのであればお金になれば良いですよね」
「どうせ酒代の足しにしたいだけでしょうに········」
「当たり前です。一仕事終えたエールは最高なんですよ」
「間違いないな!俺もそれが楽しみでしゃーないんだ」
「だからと言って2人共飲み過ぎるなよ。介護するの俺なんだから」
「別にいいだろう。ルゴウだって悪い気はしてないの知ってんだからな」
「いやまぁ········そうなんだけどーーーー」
「そういうのは後にしてくれ。そろそろ行くぞ」
ローナが呆れながら割って入り話を打ち切らせた。サーセン。
気を取り直して俺達は魔法陣と向き合いそして歩みを進める。この先に何が待っているのか不安や好奇心を持ちながら視界は移り変わっていく。
善行 14/108
いつも通りの行き当たりばったり、思いつきの構成です
さてはてどうしたものか・・・次回は暴走しなければいいなぁ(手遅れかも)




