106.愛しい気持ちと焦がれた想い
なんとか投稿できました
次はいつになるか分かりませんが合間をみて書き進めていきます
つ、疲れた········幾ら何でも自由過ぎる。異国でかつお姫様だから物珍しいから気にはなるんだろうが少しは落ち着いて欲しい。1人で来たときもこんな感じだったのかと聞くと「そこは我慢してたにゃ。早くダンジョンにも行きたかったしお金だってそんなに多く持ってきてにゃいからね。でも今は········お金は余裕はにゃいけどゆっくり見回る時間が出来たから我慢するの止めたにゃ」とふんす鼻息をたて自慢気に言ってきた。別に自慢する程でも無いだろうに········
ようやくミラを連れレイナとレヴィアが使っている宿へと着いた。宿のお姉さんにミラの分の部屋を用意してもらい俺はレイナの部屋へと向かった。
「おー、帰って来たか········って誰だそいつ?」
「また女性を引っ掛けてきたんですか?私達が居るのに?」
部屋の中へと入るとレイナとレヴィアは笑顔で迎え入れてくれたがミラを見るなり呆れ半分········いや、怒っているなこれ。
「引っ掛けてねぇよ。そもそもこいつはーーー」
「ニャ!?なんか普通に部屋の中に女の人がいるニャ!しかも親しげ。あれって冗談じゃなかったのかにゃ」
「なわけあるか········2人とも俺の大切な人だ」
「「················」」
そこで黙らないでくれるかな。俺だって自分の発言に照れてるんだからさ。ほらミラもなんだか居づらそうにしだしてるし。
「ん、んん!!話を戻すぞ。改めて言うがこいつとはそんな関係ではないからな。今日ガルシアから依頼にあったミラ・グルヴィシアだ。んで追加の依頼でしばらくの間面倒を俺達がみることになったんだ」
「よ、よろしくにゃ」
ミラは気まずさが残っているのか若干よそよそしく頭を下げた。
「依頼?········いつの間にそんなもんを?」
「レイナ。貴女は寝てたから分かってないでしょうけど私達はそこにいるミラ・グルヴィシアさんの捜索をする事になってたんです。ちゃんと起きて聞いてて下さいよ」
「いやー、話が長くてよぉ。ついな」
全く悪びれている様子もなく笑って言うレイナにレヴィアは呆れと諦めの雰囲気を出して言った。
「もう········でルゴウ。彼女をいつまで護衛する事になったのですか?」
「おおよそ1ヶ月になる筈だ。その間にダンジョンに潜ったり他の依頼とか受けても問題無いとのことだ」
「筈って事は終わりは決まって無いのですね」
「ああ。ひょっとすると帰りの護衛も頼まれそうだしな。まぁその分報酬は期待しといても大丈夫だろう」
「もちろん期待していいにゃ。少なければミラから文句言ってやるにゃ」
ミラは自分に任せろと云わんばかりに胸を張りつつ叩いた。いや、そもそもミラが自重してればこうならなかったんだが········
「そもそも貴女が大人しくしてればこんな事にならなかったんですけどね」
レヴィアも同じ意見だったかぁ········ま、ですよねぇ。皆想うことは一緒か。
「そんにゃ事言っても新しいダンジョンがあるって聞いたら気になるにゃ。しょうがにゃいことなのにゃ」
「あー、確かにそうだな。俺もその気持ち分かるぜ」
「分かってくれるのかニャ!?」
「もちろんだぜ!俺だって未開拓のダンジョンには心踊るし行きたくなるからな」
「ニャー!!分かってくれるヤツがいたにゃ」
ミラは一瞬にしてレイナに近づき手を取り握りしめた。レイナもニカッと笑い握り返している。ミラもそっちの人種だったのか········薄々そうじゃないかとは思っていたんだけどな。そんな2人に俺とレヴィアは肩を落とす他なかった。
「········まぁ仲が良くなるのはいい事か。ミラ。紹介が遅れたがレイナとレヴィアだ。レイナは前衛職でレヴィアはサポート役だ」
「宜しくな」
「改めて宜しくお願いします」
「こちらこそ宜しくなのにゃ」
「顔合わせも済んだ事だしこの後は········」
「んなもん決まってんじゃねぇか。飲みに行くぞ!」
「デスヨネー」
それはもう良い顔で言うレイナに俺はそう返すしかなかった。そうなるんじゃないかなとは薄々は分かっていたんだけどさ。この人達お酒好きだし。ってかまだ飲むんかよ。
「私としてはここで飲むのもいいですが········ミラさんも居る事ですし歓迎会を兼ねてやりましょうか。あ、ミラさんはお酒は飲めますか?」
「もちろん飲めるにゃ。あ、でもお金がもうないにゃ········」
「んなもん大丈夫だ。俺達の奢りだから存分に楽しもうぜ」
「有り難いにゃ。ご馳走になるにゃ」
「決まりですね。じゃあ支度をしますからミラさんは少し部屋の外で待ってて下さい」
「了解にゃ。ついでにミラの部屋に荷物を置いてくるにゃ」
ミラはそう言い残し急いで先程取ったばかりの部屋へと向かって行った。
「········何と言うか人懐っこくて可愛らしい人ですね」
「否定はしないがここに来るまで大変だったんだからな」
「俺は好きだぜ。ミラみたいな奴は」
「さて私達も準備しましょうか。········っとその前に」
レヴィアはそう言うと立ち上がり俺に向け手を広げる。まぁ云わんとしている事はわかっている。俺はレヴィアに近づき優しく包み込む様にそっと抱き締める。
「ただいま」
「はい、おかえりなさい」
レヴィアも優しげな声と共に広げていた手をそっと背中に回し抱き返してくる。その優しげな声は何処となく母性を感じる様な気がして安心する。抱き締めあったのは10秒にも満たない位だろうか。互いに満足し離れると不意に背中を引っ張らた。俺は振り向くとレイナがむくれた顔で立っている。
「········俺にはないのか?」
ボソリと拗ねた声色で呟くレイナに一気に脳へと血が上るのがわかる。これはあかんヤツだわ。分かっていても身体は反射で動いてしまう。レイナに身体ごと向けると優しくもあり力強く抱き締める。そして言葉に出すよりも先に唇を奪う様に重ねつける。レイナは俺のいきなりの行動に一瞬びっくりしていたが次第に受け入れそっと抱き返し、求める様に唇を重ねて始める。そして互いに唇を離した後、どちらからという訳でなく示し合わせたように互いに額を軽く合せ、そっと笑いあいながら言った。
「ただいま」
「おう、おかえり」
「········もう、見せつけないで下さいよ。妬けてしまいます」
もう1度軽く抱き締めあってから離れるとレヴィアがヤレヤレといった顔をしながら言ってきた。
「おうおう、妬いとけ。俺が先に好きになったんだからこれぐらいやっても文句はねぇだろ」
「それはそうなんですけど········でもそれを言ったらリンの方が早いのでは?」
「················別に早さだけじゃねぇし。好きの度合いだろ」
「一瞬にして手のひら返しましたね」
「う、うるせぇ!さっさと準備すっぞ」
自分が不利なのを感じたのかこれ以上何も言わせないようそそくさと支度をしだした。その様子に俺とレヴィアは顔を向け合い苦笑しレイナ同様支度を始めた。
支度を終えた俺達は部屋を出ると身軽になった服装になった(と言っても武器や手荷物、外套等を置いてきただけなのだが)ミラがそわそわしながら待っていた。そして俺達を視るなり花が咲くような笑顔で近寄ってきた。どんだけ楽しみにしてたんだよ。
「待ってたニャ!さ、行こうニャ!」
ミラはそう言いながら俺の手を取りグイグイ引っ張ってくる。
「ちょっ、落ち着け。そんなに引っ張るな」
俺は転ばないよう力を入れ抵抗はしてみたが········力強いな!?手が抜けそうだからその手を緩めてくれない!?いや、片手じゃ動かないからって両手でしないでくれるかな!
「はいはい、ミラさん落ち着いてね。急がなくてもお店は閉まったりしませんよ」
「はいニャ!」
レヴィアの言葉に素直にパッと手を離したミラのせいで均衡していた力が無くなり仰け反ってしまう。勢い余って倒れはしなかったが········いきなり離す奴がいるか!危ないだろが!
俺は恨みがましくミラを睨みつけるが当の本人は全く気にした素振りは無かった。
「で、何処に行くのかニャ!美味しいお店なのかにゃ?」
「ええ、昼間に行きましたけどメニューも多いですしお酒も美味しかったところです」
「ニャ!?」
「ああ、あの店な。今度ルゴウも連れてってやりたいと思ったんだよ。んじゃあそこにすっか」
「へー、レイナとレヴィアが満足した店か。気になるな」
「おう期待していいぞ。んじゃ行くとするか」
レイナとレヴィアの案内の下、俺達は店へと向かって行く。目的地は少し距離があるとの事で今の今まで我慢していたがミラに聞いておくか。
「なぁ。ミラって虎人族だよな」
「にゃ?そうにゃ。にゃんで今更そんな事聞くにゃ?」
「いやぁ、なんで語尾に『にゃ』なんて付けてるんだろうなって。言いづらくないか?」
「そうですよね。私も疑問に思っていたんですよ」
「だな。猫人族でたまに使ってるヤツが居るから虎人族では珍しいだろ」
俺に賛同するようにレイナもレヴィア聞いてみるとミラはキョトンとしながら当たり前かのように言ってきた。
「そんなの可愛いからに決まっているからにゃ」
「「「········え?」」」
「それにママが言ってたにゃ。『ミーちゃんはもう少し女の子らしくしなさい。こんなに可愛いんだから。いっそ猫人族みたいに言葉の最後に『にゃ』って付けてはどう?········ほらやっぱり可愛いじゃない。これからもそうしましょうね』って。それから可愛い可愛いって褒められたのとミラも気に入ったから使ってるにゃ」
「········よくお父さんは許したな」
何となく俺自身の口元がヒクついているのが分かる。ってかお母さん。可愛いからって理由で何を勧めているんだよ。
対するミラは顎に指を当てながら記憶を辿る為か目線を上にあげた後、やはり何でも無いかのように言った。
「確かにパパは最初反対していたにゃ。虎人族の威厳がーとか虎人族に可愛らしさなんかーとか言ってたけどママに言われた通りに言ったら悶絶しながら許してくれたにゃ」
「········因みになんて言ったんだ?」
「『パパ駄目なのかにゃ?ミラは可愛くないのかにゃ?』って。イチコロだったにゃ」
お父さん!?娘に甘くないか!威厳とかどうでもよくなったのか。でも流石に小さい時は良くても成人してからは直そうとかの話にならなかったんだろうか。
「因みにその語尾を直そうとは思った事ないのか?」
「ないにゃ。むしろ小さい時からずっと使ってるから直すなんて無理にゃ。それにパパもママも今更変える必要性は無いっていってたにゃ」
「さいですか」
まぁ小さい時からずっとしてたら無理だわな。1度癖づいた物事ってそう簡単に直せないしな。両親が直させる気がないのならそのままでいいだろう。うん。取り敢えず疑問に想っていたのが解消出来て良かった。
その後は店に着くまでちょっとした小話(主に俺達の出会い)をしていたら気づけば到着していた。
「やっと着いたぜー。さ、席について飲もうぜ」
「最初はやっぱりエールにしましょうか。ミラさんはエールで大丈夫ですか?」
「問題無いにゃ。むしろお酒よりもご飯食べたいにゃ」
「どんだけ腹空かせてるんだよ········まぁ俺もだけどさ」
「いらっしゃいまーーーーえ?」
「ん?」
女性の店員は手にしていたボードを落とし何かに驚くような、いやまるで疑うような感じの声を出して俺を見つめてくる。俺はレイナ達から目線を外しその女性に目を向けーーーーえ········
「会いたかったわ。ルゴウ!!」
その人は目元から涙を零しながら俺へと駆け寄りギュッと抱き締めてきた。俺との再開が余程嬉しかったのか抱き締めてくる力は段々と増していく。俺も溢れ出てくる感情を抑えきれずそっと背に手を回ししっかり抱き締めた。頬を伝う涙を感じながら優しく、焦がれた想いを乗せながら口にする。
「俺も会いたかった。母さん」
善行 9/108




