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第一話 ある日♪草の中。魔物に、出会った~♪


本日2話目です。

毎日投稿の今日の分となります。



アーウィン王国

ウィザー平原



 カプル湖沿岸の森林地帯を東に抜けると、乾燥した内陸部が見えてくる。そこでは春に生え始めた草が生い茂り、見渡す限りの草原となっていた。


 ウンリンの街を出発して今日で三日目。今のところ大きなトラブルなく、商隊は順調に進んでいる。何度かこの街道を通ったことのある冒険者によると次の街に着けば、目的地まであと半分といったところまで来たそうだ。


 「お~い。そろそろ交代だぞ」


 見張り番のローテーションを組む冒険者から、せかすように言われる。


 「ハイハイ。今行くから。」


 大きなトラブルが無いという事は、裏返せば仕事をしていないという事でもある。最近まで、常時戦闘態勢であったっと言ってもいい。その為、何も無いとなるとそれはそれで何だか寂しいのだ。身も蓋も無い事を言えば、何も起こらない変化のない平原を、ずっと周りを見張りながら歩き続けるのも、だいぶ飽きてきたのだ。


 「はあ~。商隊の護衛というと、襲い掛かる盗賊や魔物を派手に倒していくっていう、なんかそんなイメージだったんだがな~。」


 「んな訳あるか。大体、毎回そんなに魔物だー盗賊だーって言ってたら、とてもじゃ無いがそんな仕事割に合わないだろ。」


 ごもっともな意見がかえってきて、なんだか悲しい。現実はとても地味である。

 ちなみにそいつによると、そもそも盗賊は護衛がついている商隊は狙うことは無いそうで、魔物に至ってはよっぽど道なき道を進まない限り、十回依頼を受けて、一回出るか出ないかぐらいだそうだ。


 逆に言うと、(普通の)冒険者からすれば、比較的リスクが低く割のいい仕事なそうだが。






 さて、それから4、5時間過ぎ、そろそろローテーションの時間になったのだが、後ろの方の馬車が少し騒がしくなる。


 「おい、あれを見ろ。南の方角に、大型の魔物が!」


 ……


 なんでこう、もうちょっとで休憩とかいう時に限って?魔物なんかが⤴出ちゃうんですかね~。ホント、一体魔物とか滅多に出ないとか言った奴誰だよ。しかも何だよアイツ初めて見たぞ。


 「デーモン・マンモスだぞあれは」


 来たわ、此奴だったわ。


 「あれは体力だけは中々デカいが草食動物が魔物化した奴だ、鋭い角さえ気を付ければいい。お前さんの装備ならそんなに苦労しないだろ。一匹だけだし。じゃっ、俺は非番なんでこれで。」


 「おいマテ貴様!」


 もちろん構ってくれない。そのまま馬車の席にどってっと座ってしまった。


 はあ。いや仕事だしね。そう自分に言い聞かせて俺は、何とかマンモスとやらに向けて走った。




ーーーー




 その日は、もうだいぶ日が傾いて来たこともあって、マンモスを倒した近くで野営を行うことになった。

 

 え?マンモスはだって?


 なんか、目を狙って剣を刺したら案外柔らかくて、こう脳天までズバッと一突きでした。はい……。まあ、そのおかげでかなり綺麗な状態の毛皮が取れたので、青銅貨50枚程でアレクセーエフに買い取って貰えた。


 ちなみに、本来マンモスを狩る際は、一人が弓矢でヘイトを買った後、周囲で待ち伏せしている人が横から一斉に槍やナイフを投げて倒すものらしい。

 誰だ?一人でも苦労しないとか言った奴、怒らないから早く出てきなさい。このせいで、他の冒険者からバーサーカーか何かと思われているんだけど!

 

 当の被告は、

 「冗談で言ったつもりなんだが……。」

 との供述をしています。うっ。




 さて日も暮れてきて辺りが薄くなった頃、マンモスを解体して出てきた肉を商隊の全員で焼いて食べていた。

 

 魔法使いが付けた火の上で、とれたての新鮮な肉を贅沢に焼く。香ばしいかをりが漂ってきて、食欲を刺激する。火が通ったことを確認すると、せかくの骨付き肉なのでガブリと噛みついてみる。

 味としては、比較的臭みの少ないイノシシの肉のような感じで、全体的に筋肉質が多かった。たれや胡椒が欲しかったが、この世界では肉を食えること自体が少ないので、今はこれでも満足だった。


 そう考えると奴隷たちにも食べさせいたので、前世の常識に比べて随分いい待遇だなと思った。まあ、出し渋って残しても次の街までに腐ってしまうのも有ると思うが。


 奴隷については前世では酷い扱いだったので、旅の間も気になってはいた。こちらの世界ではそこまでの扱いでは無いらしく、どちらかというと住み込みで賃金の出ない労働者といったとこらしい。

 その為、基本的に衣食住が保証され、主人の気まぐれで殺されたり,暴行されたりといった事は少ないそうだ。


 しばらく奴隷たちの様子を眺めて入りと、


 「奴隷に興味があるのかい?」


 とアレクセーエフが話しかけてきた。

 奴隷の所有かあ。前世のイメージも相まって考えたことも無かった。


 「エミールは、ソロの冒険者らしいじゃないか。旅のお供にもいいと思うが……。もし欲しいのなら、知り合いにいる冒険者向けの奴隷を扱っている奴を紹介しよう。ま、一考してみてくれ。」


 

  今は少し備蓄もある。まあ、奴隷も案外悪くないかもしれないとは思った。






もしよろしければ下の星をぽっちと押すだけですので、

何卒、感想や評価・ブックマークをおねがします。_(._.)_


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