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第一章プロローグ 奴隷商アレクセーエフ




シャンゲティル王国

王都ウンリン


 カプル湖に注ぐ大河川スリックス河のほとりにあるこの都市は、水運を使った交易によって栄えておりこの近辺で最大級の人口を擁していた。

 祖国であるコモラルニーサ大公国を出て大街道を通りこの街にたどり着いた俺は、久々の人ごみにのもまれながら町を探索していた。ダンジョンを中心のハーリンの町と違い、商業中心で発展してきたこの街では俺のような武装している冒険者は余り見かけず、商人や旅人のようなひと達が多く見られる。これだけの人がいれば、ばったり自分の顔を割れていて、アンデットだと知る者に出会うことは無いだろう。


 町のいたるところで、露店や市場が開かれており食料から遠く異国の地の物まであらゆるものが売られていた。時々、その幾つかに立ち寄りダンジョンで得たものを怪しまれない程度に売却していくと、約金貨二十枚程の大金となった。ダンジョンに入る前の月収が大体銀貨三枚、年収金貨三枚半だったことを考えると相当な額だ。

 

 ちなみに貨幣の換金レートは日によって相場が変わるので大体だが、

   

   金貨一枚≒銀貨十枚≒青銅貨(銭)一千枚


 前後が相場で、大体金貨一枚が一般的な農民の年収といえば大雑把な価値観が伝わると思う。今後というかほぼ一生、これだけの大金を得る機会はまあないだろうから慎重に使わなくてはいけない。


 

 さて、一通り街を見て回った頃、この街の冒険者ギルドへと行くことにした。冒険者ギルドは、テンプレのクエスト受注や需要が常にある素材の買い取り、傭兵の外旋などを行っている。安全に公正な価格で仕事を受けられる非常にありがたい存在だ。


 ギルドは街の南側の門のすぐ近くに立っていた。傭兵関係の依頼が多いからだろうか、木造の平屋で椅子とテーブルが並ぶホールの待合室ような見慣れない構造だった。


 「おう、あんちゃんこの街のギルドは初めてかい?」


 「ああ、この街に来たのは初めてなんだ。」


 カウンターらしきところから、いかにも戦士と言わんばかりの背の高い男が話かけてくる。

 話を聞いていると彼はどうやら、ギルド職員らしい。外国から来たことが暇をしている彼の興味を引いたらしい。それからしばらくアンデット関連の事をことをうまく除いて、今までの冒険の話をしていた。

 

 小一時間程経って日が傾いてきた頃、茶髪の中年の男がギルドの扉を開けて入ってきた。どうやらギルド職員と知り合いの様で、こちら来ると親し気に話しかけている。

 少しすると、私に興味が湧いたらしくこちらを見てくる。


 「どうも、私はセルゲイ・アレクセーエフだ。奴隷商をしている。」


 「こちらこそ。エミールです。冒険者をやってます。」


 奴隷商と聞いて少し俺は驚く。アレクセーエフは、見たところ小綺麗でとても社交的だった為、悪徳商人で太っている日本で思っていた奴隷商のイメージとはだいぶかけ離れて見えたからだ。


 「ゼルゲイは、奴隷商の中でも特別さ。」

 

アレクセーエフはかなり良心的らしく、自分で歩いて仕入れて、売り先をしっかり見定めるまでしてくれる。こんな奴隷商は、今時なかなかいないらしい。


 まあただ、驚いたのは俺だけではなかった。長いことダンジョンにいたのですっかり感覚がマヒしていた。一応俺のつけている装備は、市場で買うとほぼ鉄のフルプレートアーマーと同じ価格金貨四枚で取引されるワイバーン製装備である。ワイバーンの硬く軽い鱗を丈夫な絹の糸でつないだそれは、ダンジョンの宝箱から出てきた物だ。当たり前のように使っていたが、普通金持ちか上級冒険者しか持っていないものである。すっかり、失念していた。


 その後アレクセーエフは、俺が腕の良い冒険者と見込んだのか、帰りの護衛のオファーをしてきた。集団戦や護衛の経験がない俺は、少し迷ったが、どうせあて先も無く、提示された報酬も一日当たり銀貨一枚と、相場の倍近く弾まれたので話に乗ることにした。


 出発は明日の早朝とのことなので、今日の宿はアレクセーエフに紹介され同じ宿に泊まることにした。もちろん、部屋のグレードは全然違ったが。




ーーーー




 ベットで眠ることが出来、久々にすっきりとした朝を迎えることが出来た今朝は、澄み渡るような晴天で温かい春の風が爽やかに吹いていた。


 窓から外を見ると早いもので、奉公人や商人見習いが馬車への荷詰めと出発の準備を始めていた。護衛として参加している俺は、もう少し時間に余裕があったので下に降りて食堂で朝食を済ませてから来た。

 商隊の集合場所へつくと、他の護衛の冒険者達も集まり始めていた。商隊の規模は馬車六台のそこそこ大きい規模で、護衛は全部で十数人いる。

 それから、荷済みの様子をしばらく見ていると、意外にも奴隷だけでなく普通の交易品も数多く積んでいた。



 しばらくして、荷詰めや準備が終わり全員が揃ったことが確認される。するとアレクセーエフの乗る先頭の馬車の合図が出され商隊は街を出発する。こうして俺は、ニルナマン帝国首都ウネサへ向けて旅立った。






もし、よろしければ感想や評価・ブックマークをおねがします。;つД`)



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